西尾の行政書士  Getting Better  

愛知県西尾市で市街化調整区域の許認可、相続を主な業務とする行政書士事務所と
不動産会社を経営しています。

海炭市叙景

2012年06月26日 | 映画・音楽・読書

今日は本の紹介です。

「海炭市叙景」  佐藤泰志 著

小学館文庫

初版は1991年12月、集英社刊


5度の芥川賞候補になるも、90年に自死を遂げた悲運の作家、
佐藤泰志(享年41歳)の遺作となった連作短編集。

海に囲まれた北国の架空の町「海炭市」
(作者の故郷である函館市がモデル)
に生きる普通の人々が織りなす18の人生。

心に屈託や絶望を抱えながら、変わらない日常を生きる人々。
老若男女のありきたりな生活、喜び、悲しみ、不安、そして希望。

幻の遺作と言われた本書は、熟練の匠が渾身の作に魂を
込めるかのように、煮えたぎる情熱を深く静かに封じ込め、
見事な筆致で描ききる。

1991年に単行本として集英社より出版、その後、絶版と
なっていた本書が2010年の映画化に合わせて文庫化。

映画は残念ながら原作の良さが出ていないように感じましたが、
その映画化のお陰で本書を手に取る事ができた。

ここにはハッピーエンドや絵に描いたような感動は無いけれど、
静かに深く登場人物に感情移入し、心奮わせる。

この1年、私が読んだ小説の中では断トツのベスト。

梅雨のひととき、ぜひ架空の町「海炭市」の世界へ!

 

 
 



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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (しんめい)
2012-06-28 00:32:25
初めて聞く作家です。
興味あります・・・。ポチッ!
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Unknown (コスモ)
2012-06-29 07:30:54
私も初めて知りました。
読んでみます。

応援チャチャチャ!
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Unknown (西尾の行政書士)
2012-06-29 23:12:44
しんめいさんへ。

私も勧められるまで知りませんでした。
埋もれた中にも優れた作品がたくさんあるんでしょうね。


コスモさんへ。

ぜひ、手に取ってみてください!
改めてこの作家の早すぎる自死に喪失感を
感じると思います。


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