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紫陽花の季節

2024-06-19 | みんなの花図鑑

梅雨時に雨を受けて咲く紫陽花の花は、梅雨の風物詩です。ブログでも各地域からの紫陽花情報が連日届きます。とても美しい紫陽花ばかりで、梅雨入り前の鬱陶しさも忘れて癒されています。

【Official】花耶『あじさい』

私もあけぼの山農業公園や近隣の紫陽花名所で、撮影してきた紫陽花の写真と共に、紫陽花について考えてみました。



<アジサイ アジサイ科アジサイ属>


アジサイの花は小さな花が集まって、丸い花の形を作っている姿がかわいらしい花です。

<ガクアジサイ「三河千鳥」 アジサイ科アジサイ属>

花のように見える部分は、花びらではなく葉が変形した萼(ガク)と呼ばれるものです。アジサイの花の構造は以下のようになっています。

<アジサイの花の構造> アジサイ情報センターより


1つの花房は、中心付近にあるような小さくて多くの数がある両性花と、その周辺に並んでいる少ない数で大きな装飾花で構成されています。

<アジサイの群生>

アジサイ(ホンアジサイ)は、日本の房総半島から四国の海岸沿いに自生するガクアジサイが改良されて誕生しました。

 

<アジサイ(ホンアジサイ) アジサイ科アジサイ属>

ホンアジサイは国内でみられる最もポピュラーなアジサイです。花序のほとんどが装飾花からなり、手まり咲きとなります。

 

<アジサイ(ホンアジサイ) アジサイ科アジサイ属>

また、ホンアジサイが西洋に渡り、大輪の見事な花を付けるように品種改良され、日本に持ち込まれたものを西洋アジサイといいます。

 

<セイヨウアジサイ 西洋アジサイ系>


一般には、ホンアジサイや西洋アジサイを単にアジサイということが多いようです。

 

<アジサイ(ホンアジサイ) アジサイ科アジサイ属>

自生しているアジサイで日本固有の代表的な品種は、ガクアジサイとヤマアジサイです。

 

<ヤマアジサイ「霊峰の雪」 アジサイ科アジサイ属>

そのほか日本原産のアジサイが海外で改良されて、逆輸入された品種も少なくありません。

 

<ヒメアジサイ「安行四季咲き」 アジサイ科アジサイ属> 

内外で新しい品種がつくり出されていて、いまでは細かく分けると約2000種類にも達しています。

 

<ガクアジサイ「潤水」 アジサイ科アジサイ属>

 

「紫陽花」がどうして”あじさい”と読めるのでしょうか?
あじさいは漢字で「紫陽花」と書きますが、どうして”あじさい”と読めるのか、私は不思議でなりません。調べてみると意外なことがわかりました。

<アジサイの群生>


昔からのあじさいの発音は「あじさい=あづさヰ」でした。「あづ」は小さいものが集まる様子を指しており、「さヰ」は「真藍(さあい)=青」を意味しています。

<アジサイの群生>


つまり、「あづさヰ」は「青い小花が集まって咲いている花」を意味しており、あじさいの見た目に当てはまる名前であるといえるのです。

<アジサイ・額咲き>


では、なぜあじさいは「紫陽花」と、書くようになったのでしょうか。あじさいを漢字で「紫陽花」と書くようになったのは、勘違いが原因だったとされています。

<アジサイ・手毬咲き>


実は、「紫陽花」という漢字を使うようになったのは平安時代の頃。源順(みなもとの したごう)という歌人兼学者が、詩で「紫陽花」と詠んだことがきっかけになったとされています。

<アジサイ・穂咲き>


源順は、中国の歌人である白楽天の詩にある「紫陽花」を、日本にあるガクアジサイと同じものだと判断して詩を詠んだそうです。

<アジサイ(ホンアジサイ) アジサイ科アジサイ属>


しかし、当時の中国にはあじさいが咲いていなかったため、実は白楽天の詩にある「紫陽花」はあじさいのことではなく、別の花だったということが後に判明したのです。(花キューピットより)


<ガクアジサイ「三河千鳥」 ガクアジサイ系>
愛知県の奥三河原産です。名前の由来は貝殻のような花弁が反り返って雄蕊が長く、千鳥の足に似ていることから。


アジサイの名所と言えば全国各地にある「アジサイ寺」を思いつきます。アジサイ寺は、日本各地に点在する境内にアジサイの花を多く植えている寺院の愛称です。梅雨時の古寺に彩りを添えるため、観光の目玉にもなるところも多いようです。

 


<ナデシコガクアジサイ(撫子顎紫陽花)ガクアジサイ系>
ガクアジサイの品種の一つで、装飾花のふちがギザギザしているのが特徴です。ナデシコの花に似ていることから、この名前がつきました。


なぜアジサイは寺院に多く植えられているのでしょうか?
私も前から疑問を持っており、調べてみました。諸説あるようですので、代表的なものをご紹介します。

 

<テマリテマリ(手鞠手鞠) 西洋アジサイ系>
てまりてまりという名前も可愛らしい西洋アジサイは、加茂花菖蒲園で交配されたオリジナル品種です。両性花はなく、装飾花のみが咲く品種です。


(理由その1)
アジサイは日本が原産国なので日本の気候・風土に馴染みやすく、また半日陰にも比較的強いことから、うっそうとした樹木に覆われた寺院の境内でもきれいな花を咲かせるからです。

 


<ヤエカシワバアジサイ(八重柏葉紫陽花) アメリカ産アジサイ自生種>
北米原産の八重花種です。Snow Queenともいわれ、花期の後半赤く色づくことがあります。ドライフラワーにも加工されます。


(理由その2)
その昔、お寺は戦いの拠点になることが多々あったので、水に恵まれていることが条件になります。つまり古いお寺は水に縁が深く、紫陽花が生育する条件が整っていたからです。

 



<ウズアジサイ(渦紫陽花) ガクアジサイ系>
ガクアジサイがウイルスに侵されたものが園芸品種として定着しました。鰐片が内側にまるまって渦を巻くように見えることに見立てた名前です。


(理由その3)
4月8日の「灌仏会(かんぶつえ)」、つまりお釈迦様の誕生日には、アマチャの行事がとりおこなわれますが、アマチャは紫陽花の変種だと言われています。

 



<エンドレスサマー ブラッシングブライド タマアジサイ系>
エンドレスサマーは、剪定次第で見事な花が繰り返し咲き、長期にわたって花を楽しめる品種です。ブラッシングブライドは白い花嫁が頬を染めるという意味です。 


(理由その4)
季節の変わり目で亡くなる人の多い6月に、仏花として簡単に調達できたためです。

 

 


<アナベル アメリカ産アジサイ自生種>
北米に自生するアメリカノリノキの変種を品種化したものです。日本のアジサイに比べると豪華ですが繊細な印象の花です。


シーボルトが愛したアジサイ
シーボルトは日本人医師の育成をする傍ら、日本の風物や植物などを世界に広く紹介したことが知られています。シーボルトは数ある植物の中でも日本の植物であるアジサイを愛したようです。

 



<アスペラ・ストリゴーザ  タマアジサイ系>
中国南部~インド北東部原産のタマアジサイの仲間です。白~白緑色の装飾花がテマリ状に咲く花序が魅惑的です。


彼の著書『日本植物誌(フローラ・ヤポニカ)』には、彼が日本で知り合った「オタキさん」という女性の名前からつけられたといわれる「Hydrangea otaksa(ハイドランジア オタクサ)」という学名でアジサイが紹介されています。

 



<ダンスパーティー ガクアジサイ系 >
2008年頃から目にするようになったガクアジサイの園芸品種です。すっきりと尖った装飾花は気品があり、貴婦人がダンスを踊っていると見立てた名前です。


ただ、アジサイの学名はシーボルトが命名する以前に「Hydrangea macrophylla (ハイドランジア マクロフィラ)」という名前で発表されていたのでオタクサの名前は認められませんでした。

 



<ハイドランジア・宵の星 ガクアジサイ系>
宵の星はガクアジサイではあるものの、株姿はヤマアジサイに似ています。一般的なガクアジサイに比べて、全体が少し繊細な造りをしていて線が細いです。


ちなみに、ハイドランジアは「水の器・水瓶(果実の形が水瓶に似ていることから)」マクロフィラは「大きな葉っぱ」という意味です。大きな葉をして、水を好むアジサイにぴったりの名前ですね。

 



<ピンクアナベル アメリカ産アジサイ自生種>
アナベルのピンクバージョンです。


アジサイはお祝いや感謝の気持ちを伝えるには不向き?

アジサイの花言葉は「移り気・浮気・冷淡・高慢」などであり、お祝いや感謝の気持ちを伝えるには不向きなように思えます。

 



<スミダノハナビ(墨田の花火) ガクアジサイ系>
スミダノハナビはサカタのタネが発売したガクアジサイの園芸品種です。周りの装飾花が八重になっており、白から次第に青色がほのかに入ります。 花火のように星形の花が飛び出すような形をしています。


しかし、アジサイには他にも花言葉があり、花の色によって花言葉も違います。
白い花:寛容
青い花:辛抱強い愛情
赤い花:元気な女性

など「母の日」にぴったりな花言葉もあり、最近ではカーネーションに代わり、アジサイの鉢植えを母の日に贈る人も増えてきているようです。

 



<ベニガク(紅額) ヤマアジサイ系>
ヤマアジサイの1変種。江戸時代の書物にも記載があり、古くから栽培されています。ガク片の先がやや尖り鋸歯が出ます。白色から日当たりで紅色に変化します。


アジサイについて最後までお読みいただきありがとうございました。