日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

刀 兼定(之定) Kanesada Katana

2016-05-17 | 
刀 兼定(之定)


刀 兼定

 刃長二尺一寸半、反り五分強。頗る扱い易い打刀である。柄と鐔を装着して手持ちが良いことを確認している。肥後拵に収められており、まさに抜き打ちに用いたもの。戦場で活躍したであろうことが想像される。姿からも物打辺りが使われていることが判る。板目鍛えが良く詰んで地沸が付き、映りが起ち、焼刃の沸が地中に流れ込んで凄みがある。刃文は匂に沸が付いて浅い湾れに互の目を交え、所々に尖刃が組み込まれている。物打辺りが折れないように浅い互の目湾れとされている。
 最近考えていることだが、刀の寸法は様々あるが、最も良く使われているところは鋒から三十センチぐらいの範囲で、物打と呼ばれているところ。では、その下、区から刀身中程までの範囲で斬ることなどあるのだろうか。使わなければ刃など必要ではなかろうと感じてしまった。日本刀が本当に実用の道具としてしか見られないのであれば、斬れる部分だけが存在すればいいわけで、何も刀身中程から下は折れ難く曲がり難い堅牢な構造物であればいいわけだが、そういった刀はない。それに近い武具として考えられるのが薙刀や槍である。槍は「穂先三寸」の言葉があるように、十センチほどあれば充分に攻撃としての効果がある。江戸時代の女性の武術であった薙刀も、一尺強の刃長で充分に刀に対応ができた。そう、刀の物打より下はなくてもよいではないか・・・と。ところがここに日本刀の真の存在意義がある。このように、実は鎌倉時代から実戦武器としては薙刀が用いられていた。薙刀と刀で戦ったら薙刀の方がだんぜん強い。それでも刀や太刀を備えているのは、刀が武士の象徴的存在であるからに他ならない。象徴とはいえ形骸化した飾りではない、切れ味は最高である。武士の存在を示すのが刀や太刀である。だから美しく造り上げた。美を見出した。そう、姿にも美しさ、格好の良さが見出されねば刀ではないのだ。区まで刃が存在して刀。実用の道具としてはさほど必要ないものだが、決して必要のない部分ではないのだ。





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