日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

刀 河内大掾正廣 Masahiro Katana

2016-03-26 | その他
刀 肥前国河内大掾正廣


刀 肥前国河内大掾正廣

 鎌倉時代後期から南北朝時代にかけて相州鍛冶の作風を受け継いだ刀工は頗る多い。鎌倉で相州鍛冶に学んだと考えられている長谷部國信や國重のほか、左文字、志津、備前の兼光や長義なども影響を受けている。戦国時代末期から江戸時代初期には、そうした二次あるいは三次的に相州伝の影響を受けたと考えられる工も多い。この四代目正廣は志津の大きく湾れた刃文を手本としたようだ。志津と一口には言うも、初祖である大和から移住した志津兼氏はその大和風を強く残しており、その子や弟子、あるいは孫弟子辺りになると、後の美濃風の刃文構成が強く見られるようになる。もちろん本来の美濃伝は、板目が大きく流れるような地鉄や、それが良く詰んで小板目状になるものがある。この正廣の地鉄鍛えは、江戸時代初期に肥前鍛冶が追い求めた山城伝の小板目鍛えを基礎に置いていることから、この刀も緻密に詰んで地沸が付いた肥前肌、小糠肌とも呼ばれる美しい地鉄鍛えとなっている。刃文が志津伝で、刃縁に小沸が付いた湾れに乱刃が交じった構成。刃中には島刃とも大きめの葉とも言える働きが点在している。肥前刀では互の目の刃中に葉を伴う働きを虻の目とも言われているが、それに似た働きが湾れにも現れている。破綻なく、弛みなく、綺麗な地鉄に綺麗な刃文が焼かれた作である。



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