日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

脇差 備前守氏房 Ujifusa Wakizashi

2016-12-01 | 脇差
脇差 備前守氏房


脇差 備前守氏房

 寛永頃の尾張刀工、古刀末期から続いた兼房の流れであることから、出は美濃。だが氏房の系統は、他工と同様に相州伝を採り入れており、殊に沸強く深い湾れ互の目を得意としている。この脇差も、一尺三寸ほどの平造であり、実戦の時代にも多く製作された扱い勝手が頗る良い攻撃的武器。たびたび紹介しているように、南北朝時代からこの造り込みが重宝され、戦国時代には美濃において盛んに製作されたが、江戸時代に入り寛永を過ぎた辺りであまり製作されなくなる。平和な時代が訪れたからに他ならない。この脇差は刃先鋭く棟厚く堂々としている。地鉄は板目に小板目が交じって肌立ち、ここでも激しさが窺える。刃文は湾れに互の目を加味し、沸強く刃境にほつれ砂流し金線を、織物を引き裂いたように働かせている。

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