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日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

太刀 信國 Nobukuni Tachi

2016-04-25 | 太刀
太刀 信國


太刀 信國

 山城の刀工と言うと、来や粟田口のように緻密に詰んだ地鉄を思い浮かべるが、相州伝の影響を受けて以降は、来派も一時的ながら激しい地相の作を製作している。この信國の太刀が良い例であり、地景を交えて一層際立つ板目鍛えに沸を強く意識した焼刃を施している。地中のみならず、刃中にも鎬地にも激しく渦巻くような杢を伴う板目肌が現れ、地沸が強く、肌目を強調し、黒く澄んだ地景が強弱変化しつつ沸の焼刃を横断し、刃中でも金線として働く。刃境には肌目に沿ってほつれが和紙を引き裂いたように広がり、鍛え目はこのほつれを渦巻に変え、時に流れるように、時に波打つ磯のように景色を成している。鍛え目は物打辺りでさらに強まり、激しく乱れ込んだ帽子も渦巻き、玉状に沸が凝って先は火炎風に掃き掛ける。あまり出会うことのない左衛門尉信國の在銘の太刀である。□