刀 薩州住良一

刀 銘 薩州住良一 天明五年巳二月


正良の門人で、その協力者として生きたが故に、良一銘の作品はきわめて少ない。微塵に詰んだ小板目鍛えの地鉄は、繊細な地景を交えて杢目状の肌がうっすらと浮かび上がって見え、総体にしっとりとした観がある。匂が淡く広がる刃中に小沸が深く付き、これが地刃の境を越えて叢付く。刃境には小沸のほつれが流れるように付いて爽やかな砂流しに連なる。地刃の働きには過ぎることのない抑揚があり、これが大きな魅力となっている。恐らく特別の注文に応えて入念に鍛えたものであろう、二尺四寸五分の寸法に身幅広く重ねがっしりとしており、強みの感じられる刀だが、精妙なる出来となっている

刀 銘 薩州住良一 天明五年巳二月


正良の門人で、その協力者として生きたが故に、良一銘の作品はきわめて少ない。微塵に詰んだ小板目鍛えの地鉄は、繊細な地景を交えて杢目状の肌がうっすらと浮かび上がって見え、総体にしっとりとした観がある。匂が淡く広がる刃中に小沸が深く付き、これが地刃の境を越えて叢付く。刃境には小沸のほつれが流れるように付いて爽やかな砂流しに連なる。地刃の働きには過ぎることのない抑揚があり、これが大きな魅力となっている。恐らく特別の注文に応えて入念に鍛えたものであろう、二尺四寸五分の寸法に身幅広く重ねがっしりとしており、強みの感じられる刀だが、精妙なる出来となっている
