こんなに早く地上波で「おくりびと」をやるとは思っていなかった。相当視聴率がよかったに違いない。
うわさどおり素晴らしい映画だった。この言葉にできない感動は何なのかを自分自身に問うてみれば、結局、愛なんだと思う。
私自身何回も身内の死に立ち会っている。その度に、ぐじぐじと泣いたりするのが大っ嫌いで、最後にお棺の中の顔をみて見送りするときも、よく見もしないでお別れしていた。それが最後になることを認めたくなかったのだろう。
息を引き取るとき、最初の別れがある。
そして、物理的に身体を火葬することは、もう触れることも見ることさえもできなくなるという意味で、最後の別れを迎える。
もう二度と触れることができないからこそ、生前に受けた愛情が純粋な形で浮かび上がってくる。
その愛する対象である死者を、大切に扱い綺麗に化粧していく行為は、美しい儀式だ。そこになんの穢れもない。
映画を見ただけで涙が出てくるのだから、本当に愛する人が死んでしまうことになったら、どうなるか自分でもわからない。
その状況に耐えられそうにない。だから生きている間に自分にできる最大限の愛情を与えようと思う。死んでから泣いたって仕方がないから。