白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

-硝酸態窒素の人へのリスクと恩典-

2015年11月14日 | 健康

先のブログ 《危険な野菜と騙される話》で取り上げた野菜に含まれる硝酸態窒素、ネット情報で見ると意外な程多くの方が、野菜の含まれる高濃度な硝酸態窒素は、唯危険と受け取って居られるようですが、危険ばかりでは無く大切な恩典もあるのです。但し、そんな話は日本のネット上では先ず見当たりません。

もとより、野菜を含めての高等植物や人の栄養生理についての一般知識が、概して乏しい事が起因しているのでしょうが、その規制値の根拠が、健康上の理由となれば不安にもなりますし、唯一方的な危険では、先のブログの話の様に勝手な解釈も生まれるでしょう。

 

     ―窒素の循環イラストーWebImagesより

毎日の食生活で欠かせないのが野菜や果物でありますが、其の豊富に含まれるビタミンやミネラル、ポリフェノール類などの栄養素は、人間に取ってどれ程大切なものかは言うには及びません。

ところが、野菜に多量の含まれる硝酸態窒素を恰も無用物の様に捉えて、生体内で亜硝酸イオンに還元されると発癌性を持つニトロソアミンが生成されて人の健康を害するのであり、血中のヘモグロビンに作用することによって、酸素運搬機能が欠如したメトヘモグロビンが生成され、それが特に乳児には危険等と言われると、今更野菜にそんな危険があるのかと、何方も驚くのも当然かも知れません。

 

―血圧を調節する作用を持つ硝酸態窒素―WebImagesより

そうした指摘があってEUでは、ほうれん草やレタス等の野菜に含まれる硝酸態窒素量の上限となる許容数値が、定められたと伝えられています。野菜に含まれる硝酸態窒素の摂取によって、生体内で還元される亜硝酸が、健康にどの程度影響するのかはっきりした見解を示して、その其の許容上限数値を定めたのであれば、誰も納得されるでしょうが、それがはっきりしてない情報だけに尚の事、多く方が、其の真意は一体どこにあるのか疑問に思い、もっと詳しく知りたくなるのも亦当然です。

そのEUが定めた背景には何かすっきりしてない一面があり、それで憶測には成りますが、其の背景情報を一寸追って見ました。

先ず、日本の水道水の硝酸性窒素・亜硝酸窒素の許容含有量は合せて10ppmとあり、これは世界保健機関(WHO)で定めている飲料水に含まれる硝酸態窒素濃度の上限値の10 ppmと同じで有ります。

其の水道水での許容数字を一般の野菜に含まれる硝酸態窒素量と比べて見ると、その間には大きな違いが有る事が一目瞭然であります。

野菜に含まれる硝酸態窒素量の一般的な数値は、2,000から3,000 ppmにも達しています。飲料水や野菜を通じて摂取された硝酸態窒素の一部が、口内細菌や体内消化器官の働きで、生体内で危険な亜硝酸イオンに変換されると言うのであり、その亜硝酸イオンの量は、元の硝酸態窒素の5%内外の程度とも言われて居りますが、其れでも飲料水に含まれる硝酸態窒素濃度の許容上限値の10 ppmと比べれば、其の数字が如何に大きいかは明白であります。

 

―野菜が危険な硝酸性窒素の供給源とは?―WebImages より

此の事は言い換えれば、野菜に含まれる硝酸態窒素は、飲料水で規制される無機態の硝酸イオンとは別であり、生体内にあって発生する有毒な亜硝酸態窒素は、生体で一酸化窒素に代謝された後は残りの硝酸イオン共々尿となって、他の老廃物と共に排出されるのであり、其の数字の違いは、別の次元で捉えなくてならないもので有る事を示唆しています。

欧州では、健康被害の可能性を危惧して、ほうれん草やレタス等に含まれる硝酸態窒素濃度を規制する事になったと言うのですが、日本の農林水産省は、それに倣ってか同様の許容数値を揚げてはいますが、其の明白な見解は明らかにしていませんし、特に規制は設けて居りません。

それは、野菜の摂取が健康増進に寄与する事は、周知の事実である一方で、一部の研究者が言うように、野菜に含まれるビタミンCやポリフェノールといった抗酸化物質には、本来硝酸態窒素からニトロソ化合物への変換を妨げる作用があり、それで生体内では、健康被害から免れるとも考えられるのであって、其の辺は今尚、はっきり言って良く判らないのが実情であります。

 

―野菜の素晴らしさはその多彩な個性です!-WebImages より

野菜の硝酸態窒素濃度の規制の意図の背景には、一般に想定される健康被害の可能性を危惧しているだけでは無く、其の狙いには、何か別な思惑の存在があり、実は或る意味での一種の便法では無いかと思われる一面が覗われるのです。EUでは既にの硝酸指令なるものがあり,無駄な施肥を行なわないことを法律で規定しています。

 そうであれば、皆さんは其れが何だと思われますか? 私見では有りますが、それを言うなれば、農作物生産がもたらした、耕作土壌から流亡する硝酸態窒素に依る地下水源の汚染に対してであり、特に地下水を水道水源とする国々にとっての深刻度を増している、地下水汚染対策の追い打ち措置では無いかと言う事であります。

 

―地下水脈源の構造図―WebImagesより

此の地球上で人類が、自然の持つ窒素循環の作用変更をもたらした事によって、飲料水源となる大切な地下水源に、深刻な硝酸態窒素の集積を結果として残し、既にそれが世界的に発生しているのです。

水道水となる水資源を守るには、硝酸性肥料の地下水への流亡を根本から減少させるしかかなく、それには先ず、窒素肥料の施用を適正量に減らす農作物生産が、緊急の対策課題になると言う事であります。

 其れと言うも、野菜に含まれて摂取された硝酸性窒素、それ自体は無害であり、安定して人には不要な物質と考えられて来ました面もあり、それにはその危険なレベルがあると言う事実の一端を世に問い、先ず、問題提起の発端としたのが、水道水源を地下水に多く頼るヨーロッパ大陸の国々であり、亦水道水源の40%以上が地下水であると言う、アメリカ合衆国での硝酸性窒素汚染に基く深刻な健康被害が、今危惧されている事実であります。

其の原因物質は当然、野菜に含まれる硝酸性窒素と同じものであり、先ず、此の儘では、飲料水に含まれる硝酸態窒素濃度の許容上限値の10 ppm以下は守り切れないとあって、先ず、そのとばっちりを受けた形となったのが、特に高い硝酸性窒素を含む野菜の窒素肥料の低減化であり、その主原因とする農作物生産対策と想像できるのです。

 其の硝酸性窒素、前述のように、生体内で亜硝酸イオンに還元されると、人の健康を害するニトロソアミンが生成され、且つ亦、血中のヘモグロビンに作用することによって、酸素運搬機能が欠如したメトヘモグロビンを生成し、メトヘモグロビン血症をもたらすのは明らかとされて居りますが、決して見落としてならない恩典は、昔から明らかにされて来た、硝酸塩の持つ狭心症の治療を助ける薬理作用であります。

 

―治療効果は心環状動脈の拡張作用―WebImagesより

ニトログリセリンは硝酸塩の関係物質であり、伝統的に狭心症の治療薬として、今も利用されて居ます。血管の拡張作用があり、血圧を下げる働きがあって、特に環状動脈を拡張させて、虚血や大規模な血管閉塞を防ぐ作用が有ります。

唯、野菜に含まれる硝酸性窒素が狭心症や血管閉塞を予防したりする能力に就いての人での研究は、今までには明らかにはされて居ません。

しかし、体内を循環する亜硝酸性窒素は一酸化窒素の最大の貯蔵体で有るとする考えと共に、体内を巡る硝酸性窒素全体が、今日では大きな興味対象となって居ると言います。

 一酸化窒素は、血液循環を担う一種のガスであり、血管を拡張させて、血液凝固と血管の石灰化を阻止します。人によっては酸化窒素は、自前のニトログリセリンとも言いますし、動脈血管内面に亜酸化窒素の貯蔵体から、一酸化窒素が作り出されるとも言います。

此の分野での研究では、アメリカの3人の研究者が、一酸化窒素は環状動脈系から送出される信号分子で有る事を発見した功績で、1998年にノーベル医学・生理学賞を受賞して居ます。

 1998年にノーベル医学・生理学賞を受賞した3人の研究者

                     

 

Robert F Furchgott,  

Dept. of Pharmacology,
SUNY Health Science Center
New York

Louis J Ignarro

,Medical Pharmacology
UCLA School of Medicine
Los Angeles

Ferid Murad

Dept. of Integrative Biology Pharmacology and Physiology
University of Texas Medical School, Houston

其の中でも興味を惹く課題と言えば、食事の中の酸化窒素の前駆体である硝酸性窒素や亜硝酸性窒素であり、ベジタリアン食が、心臓疾患を予防するとされる主な理由で有る言う事であります。

それに其の研究者達は、高血圧症を予防するダイエット食に就いて、WHOが推奨よりも、5倍も多くの硝酸態窒素を含むダイエット食が、少なくても高血圧を下げる恩典を持つと推測して居り、それが公式には認められない理由にもの成ってなるですが、高血圧予防ダイエットで観察された健康効果であると言うのです。

 以上の話からお分かりと思いますが、硝酸性窒素の生体内での影響には、確かにリスクもありますが、それを上回る健康面での恩典が、野菜摂取には有り、健康リスクヘッジの観点から、出来ればEUが定めた許容上限を守って、先ず健全に育てられた季節の旬の野菜を充分に摂取する事であります。

 

―地下水硝酸性窒素汚染も低減する!-WebImagesより

其の限りでは、野菜摂取は全く問題にする必要は無く、其の意味では、特に有機認証野菜にこだわる必要はなく、エコファーマー制度が作る、農薬も化学肥料も慣行栽培の半分以下にした、その季節毎に旬の特別栽培野菜を率先して購入消費する事を、個人的には推奨いたします。

拙宅での自家菜園で自ら作る野菜の価値、其の健全野菜に意味があるのであり、老骨に鞭打って野菜を自分で育てる励みにもして居るのです。

肥料の与え過ぎ、特に窒素肥料の多投のメタボ野菜作りは論外ですが、野菜作りで難しいのは、何と言っても肥料の適性施肥量の決め方であります。

―参照情報サイトNitrates are beneficial. Where did I get it wrong?

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