白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

―エシャロットの真実―

2015年06月30日 | シャロット

趣味の家庭菜園では、商業栽培では殆ど取り上げられる事の無い珍しい作物や特定の新しい野菜品種を探して育てる等、様々な楽しみ方があり、昨年からフランスからの輸入種子であるエシャロットを育てました。

今や海外からの輸入種子が簡単に手に入るようになりましたが、肝心な詳しいその栽培法となると入手が困難であり、海外のネット情報から直接探し出すのが唯一の手段になります。

 此のブログの前々回で、エシャロットは取り上げましたので、その続きには成りますが、日本でのエシャロット、名前が知れわたっているのは「若採りラッキョウ」の事であり、国内ネット情報ではベルギーエシャロットと呼ぶと区別してますが、それが肝心な点では実体が伝えられているとは言えない、お粗末な話が多いと申しても過言では有りません。

 

―菜園で掘り上げたバナナエシャロットを天日干しする!-

たとえば、ネギ科野菜の中での五葷と言えば、仏教での禁葷食であり、ニラ、ニンニク、ネギ、ラッキョウ、アサツキとありますが、其の一部が入れ替わって、慈蔥(エシャロットと茖蔥(ギョウジャニンニク)の場合があると、“Wikipedia”の中でも、エシャロットの名が使われていました。

しかし、慈蔥(エシャロット)が、玉葱の一種との説明も全く無く、慈蔥が何故に、フランス語で言うエシャロットになるのか、「慈蔥」なるものが、どんなものを指しているのか全く分からず、エシャロットに誤解を生む話であります。

 それがエシャロットの実体と言うのであれば、欧米でのエシャロット情報、先のブログでも触れたフランスでの「エシャロット戦争」の話の中でのエシャロットを始め、コーネル大学からの公開園芸講座の中の「エシャロット」に就いて品種説明等、エシャロトには色々あり、其の名称は世界中でも、何を指してそう呼ぶのか、実ははっきり統一はしていない事に成ります。

そんな事ですから、日本で言う「ベルギーエシャロット」、そんな名前のエシャロットは欧米では見当たりませんが、日本ではそれが罷り通る理由かも知れません。

 それに亦、インドを始め東南アジア一帯で、古くから作られて来た分球する赤小玉葱、フランスで言うエシャロットと同じものでは無い事ははっきり分かって居ますが、それが断言されて無い事でも良く分かります。

 

ーフレンチエシャロットGriselle

英名で 「シャロット」と呼んでいる分球繁殖型の小玉葱の中でも、一寸異なる「ポテトオニオン」と呼ばれる、やや大型の分球型玉葱があり、それらの中から稔性を持つ種類の種子交雑で生れたのが、種子繁殖すると1球となって大きく肥大する、今日一般に言う、玉葱では無いかと思われます。

面白いことに、一般の玉ねぎを翌年植えて見ると、殆どが翌春に花が咲いて種子が出来るのですが、多くの場合で分球した小玉葱に変わる事があります。

 其の分球繁殖型の小玉葱の中でも、特に旨味や香味で優れるものが選別され、何世代もその形質を守って伝えられて来たのがフランスの言う伝統種エシャロットであり、其の中にあって、偶々稔性を持つものから種子交雑でも育て上げられる玉ネギ品種があり、フランスで伝統エシャロットと並んで種子繁殖も出来る、特に香味、旨味で優れる、通常は分球繁殖されている小玉葱品種がエシャロットにはあるのです。

 

フレンチエシャロットJermor

これはまさに、フランスの食文化が作り上げた伝統野菜であり、其の中でも全く不稔であって、分球からの栄養繁殖のみで今も栽培されている、昔から特に食味に優れるものが 「真正エシャロット」(True Shallot)と呼ばれる固定種であり、フランスでは特に珍重されていると言います。

 エシャロットと呼ばれる、優れた形質の栄養繁殖型の分球小玉葱、本当はフランスがその名の元祖であり、その優れる食味と香味を持つ、品種形質を伝統的な栽培法で守って高い評価を受けて来たのあり、その固定種のエシャロットに替わって、容易に種子繁殖が可能なように新しく育種された、様々なF1分球小玉葱がエシャロットの名で登場して居るのです。

そのそっくり交雑種、播種から収穫まで、大規模な機械化農法で安価に生産できるようにして、エシャロット市場を席捲したのが新興オランダ産エシャロットであります。

そこで旧主派のフランスエシャロット栽培農家は業を煮やし、訴え出たのが 「エシャロット戦争」と呼ばれる法廷闘争であります。

 其のどちらにも加担しない配慮からなのか、日本では、偶々若取りラッキョウを、ハイカラーな名前を付けて売り出したら受けると 「エシャロット」と名付けて仕舞い、其の後日本に入って来た外国産エシャロットと区別する為に、フランスでも無く、またオランダでも無く、其の中間の「ベルギーエシャロット」にしたと言うのであれば、何とも粋な日本人の計らいと感服してしまいますが、其の真相は知る由も有りません。

 

フレンチエシャロットPesandor

しかし、今や世界は、豊かで優れる食味や香味を求めて広がる、新しい食の探訪の国際化時代であり、日本料理のユネスコ無形文化遺産入りもあって、対称的に日本でフランス料理の伝統食材でもあるエシャロットへの真の姿を求めて関心が集まるのも当然です。

優雅な呼称[?]のベルギーエシャロットでは無く、本物エシャロットを理解する必要があるのではと思われます。

 何故なら、丸っこい分球小玉葱は、何百年の昔からあったのであり、今尚、東南アジア諸国では多く作れて常食化されているのであって、それらを含め、形が似て、形状形態が同じように見えるだけで、区別なく、フランス名のエシャロット、英名のシャロットと呼んで居る様では、真に不見識と言うか、一寸情けない話になるからです。

 

フレンチエシャロットMikor

今般、フレンチエシャロットを育てる動機となったのは、其のエシャロットと呼ばれる分球型の栄養繁殖する小玉葱の特徴、フランス料理で珍重されて高く評価されている、伝統エシャロットの栽培の歴史や神聖なるエシャロットと呼べないとフランスの伝統種栽培農家が言う、新興オランダ種子栽培エシャロットとの違い、それを知りたい興味からです。

営利目的の商業栽培では、本物は良く知らない唯の珍しさ、一部の知る人ぞ知る興味対象、極限られた料理需要などだけでは一般に隠された存在となり、其の情報も産物も市場に出る事は無いのですが、それが趣味の園芸栽培だからこそ知る事ができる、栽培特権であります。

それには、当然一定の栽培技量や経験が必要ですが、持ち時間が少なくっているマニア老人には、何と言っても必要なのは正確な情報であり、日本では中々入手出来ない海外からのネット情報、当に有り難い情報の宝庫です。

 もし、エシャロットを日本で入手されて料理に使うのであれば、先ずフレンチエシャロットを知って選ぶ事であり、一般に言われているベルギーエシャロットではF1種も混ざり、本物の香味は分かりません。

 

フレンチエシャロット生粋種のGrise

そのフランスで作られている伝統種エシャロット、其の判断のポイントが載って居ました。それらは大きく3つのタイプに分けられると言います。

其処で大切なのは先ず、伝統栽培の本当のエシャロットと種子量産の疑似エシャロットとの見分け方であります。

それは全体の形状と底部の形、二つに割った中のリン片で判断すると言います。単なる小玉葱や種子栽培エシャロットは、りん片が同心になって居ると言いますが、究極の違いは矢張り香味であり、種子栽培品は本物と比べると、一味も二味も落ちると言います。

 フランス産エシャロットの中で、先ず揚げられるのが、細長いタイプのJersey種です。 全長が10cm程のやや大型であり、外皮の中が2つに分かれていて、色合いは薔薇色に銅色であります。

 次がその半分ぐらいの長さのJersey種ですが、より小さくて、より丸っこい形で、中は銅色になって居ます。香味は細長いタイプより一寸少なく、全体が小さい為に、料理で外皮を取るのに手間が余計にかかります。しかし、利用するのに何も遜色もありませんし、充分満足できます。

大型の細長いJersey種より値段が安く、それだけ市場では多く出回り、それに似せた類似品が多く成って居るのも確かと云います。

3番目のエシャロットが、生粋の品種のグレーエシャロットであります。不透明な灰色をしているので、そう呼ばれているのであり、皮が厚くて堅く、剥くのが難しく、鋭利なナイフで切り開く程です。普通、ナイフを使って刺し、切り口を作って剥ぎます。

そんな堅い皮に包まれているので、長く保存出来ると思われますが違います。グレーエシャロットは僅か3ヶ月ほどしか保存出来ず、忽ち市場から、その姿は消えて仕舞います。

しかし、その香味の良さは素晴らしく、すべてのエシャロットを一堂に集めた香りと言いますが、フランスでも、ごく限られた南西部でしか作られて居ない超貴重品種と言います。

 

ー典型的な形のフレンチエシャロットー

それでは、多く作られているフランスのエシャロット、其の細長い、バナナ型のエシャロットの品種名ですが、Cuisses de Poulet du Poitou, Eschalote Grise, Jemor, Long Red Florence, Zebrunne,等が挙げられます。

そのCuisses de Poulet du Poitou、のバナナエシャロットを今般外房菜園で育てたのであり、その本当のエシャロットと玉葱との違い、比べて賞味するかが何よりの楽しみです。

勿論、本来のフレンチ、エシャロトの香味、旨味が出ているか如何かは収穫しての出来映えですが、先の試し掘りで見ての大きさ、玉葱の良く育つ此の地の気候と土壌に良く適しているようであり、今般の全収穫で、それがはっきり確認できました。

 尚、エシャロットの収穫時期ですが、春になって葉柄がすっかり伸びて展開したら、早速葉が青い内から順次抜き取って、サラダして食べ始めるのがお薦めと言います。

 

―家庭菜園で作られるフレンチエシャロットーWebPagesより

ラッキョウと同じ様に 「エシャレット」の酢味噌を付けての食べ方ができるのであり、保存の為の収穫には、葉柄の約 3/4が枯れたら、抜き取って全体をその場で乾かして、ブロンズ色の休眠状態に成る迄、葉や根は切り取らないようにする事であり、昔からの玉葱の保存法と同じです。上手く行けば、此のフレンチバナナエシャロット、毎年当菜園の定番野菜になるかも知れません。 

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