白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

―東京五輪-国産食材出せない?-

2017年03月30日 | 農法

表題のような見出しの新聞記事が、先日の東京新聞の「こちら特報部」に掲載されました。其の冒頭の別枠には 「2020年の東京五輪・パラリンピックの選手村などで提供される食材の調達基準が24日にも正式に決まる。それが、五輪を国産農産物のPRの場にしたい政府の思惑とは裏腹に、国際的なお墨付きとも言える認証取得などが進んでいない。「環境五輪」の看板が大きく揺らいでいる。」とあります。

 

ー東京五輪のおなじみマーク 持続可能性は?ー

そこにある「国際的なお墨付きとも言える認証取得」、この記事を読まれた一般の人達はその意味することの重大さを如何程に受け止めているのか想像も出来ませんが、食にまつわる環境の大切さは理解されておられると思い、感想を一言申し上げさせて頂きます。

東京五輪の期間中には、千五百万食程度の食品が選手村や売店などで提供される見通しと言います。その食の持つ安全性はもちろんの事、生産過程で環境を汚染したり、働き手を虐げたりする食材の調達は許されず、環境や人権に配慮した運営が評価された12年のロンドン五輪に続いての東京五輪でも 「持続可能性」をその基本理念に掲げているのです。

 

―「持続可能性」では成功であった12年のロンドン五輪―WebImagesより

そうした理念を満たす食材調達の基準となるのが農産物では、農薬の量や生産管理の徹底を定めた国際認証基準、Global Good Agricultural Practice”  略称「グローバルギャップ」であり 「国際適正農業規範」と訳されいますが、日本にはそれに倣った日本版の「J-GAP」があって、その取得などが求められていると書かれています。

東京五輪の組織委は、この基準案を微修正して、食材調達基準を正式決定するとあります。

日本ではその国際認証基準、Global Good Agricultural Practice”を 「農業生産工程管理」とし、農業においてある一定の成果を得ることを目的として実施すべき手法や手順などをまとめた規範としています。

それが適正に運用されていることを審査・認証する仕組みであり、審査料が数十万円にもなり、更新料も毎年必要で、日本の消費者意識は未熟であり、農産物の生産過程を気にする人も少なくて、取得費用の産物価額への転嫁もままならず、農家にとって認証の取得のメリットはないと言うのが実情であり、取材で集めた関係情報がいろいろとで伝えられていました。

 

ーリオ・オリンピックでも引き継がれた「持続可能性」―WebImagesより

日本国内の農家数は、約二百十五万戸と言いますが、国内で示されている基準を満たしている農家は約4千百農場でしか無く、それが世界で通用する 「グローバルギャップ」となるとわずかに390農場ほどだそうであります。この現状では、日本の農産物で東京五輪の食材を賄うのは極めて困難と言うのがその結論です。

それに原発事故下の日本の食材に対しては、海外の選手は警戒もしているだろうし、各国が選手自ら食料品を持ち込むなど、防衛策を講じるか知れないと記事の中で述べています。それを政府の言う 「攻めの農業」の政策上のちぐはぎと指摘していますが、その根底にあるのは、是是非の判断に中々煮え切らず、世界の潮流には乗ってはついて行けない偏屈で、片意地張りな日本人の島国根性の国民性が災いしていると思われてなりません。

 

ーGAPの誕生は食の安全と持続可能性の両立です!-WebImagesより

それでは此処で、GAP誕生の背景について一寸触れ見たいと思います。元々は、FAOやWHOの組織が1970年代に、農薬使用に関連した規範を作成したのが始まりであり、それが適正農業規範の元祖とされています。

そこから持続可能な農業の手法として、総合的病虫害管理、総合的肥料管理、保全農業など、様々な種類の適正農業規範が推奨され、農業現場での適用へと発展したのです。

そして、その背景は、基本的に次の4つの原則に則ったものであるとあります。

  • 利益的にも効率的にも充分な収穫量を実現し、安全で栄養価も高い作物をつくる。
  • 豊かな自然資源の更なる強化と維持に努める。
  • 持続可能な農業を通して、持続可能な開発と労働者の生計を確立させる。
  • 社会の文化的・社会的な需要に見合った農業を行う。

それが面白いことに日本のJ-GAPですが;

・各都道府県が独自に定めたGAPであり、一部の都道府県で第三者による認証を実施

・各JAが独自に定めて取り組むGAP、一定の要件を満たすJAに対し、全農が認証システムを提供

・生協の「産直」商品を主な対象としたGAPの基準、生産者自身による点検と生協の二者点検の実施

・(一財)日本GAP協会が主体となって、農業者、JA、大手小売業等が参加して開発し、指導員を育成

する仕組みをもつ、第三者による認証を実施する方式

 

以上があり、それぞれの立場の違いを都合よく反映させての制度化であり、本来の適正農業規範の持つ原則とは、得てして一寸かけ離れるかも知れない農業生産工程管理と名を変えている日本製のJ-GAPの誕生となっています。

 

ー農薬散布大国の日本に未来はあるの?-WebImagesより

しかしながら、日本の大部分の農業生産者からは、そのJ-GAPさえもソッポを向かれているのであり、それとは裏腹でしょうか日本は、中国、韓国に次ぐ世界の三大農薬散布大国となって居ります。その汚名の払拭には程遠いのが今の日本の農業生産の現状でもあります。それをの打開には、国を挙げての意識改革が大体的に必要と思われてなりません。

其れこそ東京五輪が、その契機となればとの思いを馳せるのですが、残念ながら老人に残されている余命では無理な話になるかとの想いが先走り、方や諦めてもいる昨今です。

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