今年は3月に入ってから気温が一気に高くなり、桜の開花が例年より早まって、東京では早くも開花宣言がありました。春爛漫の季節の到来であり、春野菜の播種や苗の植え付けを、時を失せずに始めなくてはなりません。
扨て、其の野菜と言えば先のブログ 「治癒が起こり易い食生活」の中で中断の形となってしまった果物と野菜、繊維質に就いての話ですが、実はアンドルーワイル博士は、其の文中では一寸短く切り上げて終わらして、続く第10章の「有害物質から身を守る」の中で、強調したいデトックスの観点から野菜の役割の大切な点や効用を改めて詳述されていましたので、その題名で続けさせて頂きます。
―この男性はあなたをヘルシーにできる?―タイム誌より
其の10章の冒頭では 「自発的治癒は、治癒系を構成する全ての要素のスムースな効率の良い作動に依存し・・・、治癒系にとって最も大きな脅威の一つは現代の環境に潜む、ありとあらゆる有害物質からの毒性に晒される脅威である」と述べています。
そして、いみじくも米国の農薬行政の問題点に批判を込めて 「・・・・政府や企業に雇われ入る医学者たちは、毒性残留物によって公衆衛生が脅威に晒されている事を認めようとしないし、反対に、・・・不当に軽視している。」と言うのです。
其の例として揚げた話のでは 「・・・有機食品も従来食品も、其の20から30%には残留農薬が存在すると報告されているが、其れ等の残留農薬は通常、公式な許容水準のものである。しかもその水準は、消費者の健康を適切に保護するに充分なほど低く設定され、・・・許容水準内の残留農薬によって消費者に被害をもたらしたケースは一件の報告されていない。」と引用し、これが公的機関の反応の典型であると断じています。
アンドルーワイル博士は、「その手の提唱者の主要関心事は「被害」であり、それも即座に判明する急性反応としての被害である。・・・」と言い、「農薬を始め環境有害物に対する私の関心は、むしろ長期に亘って治癒系を弱らせる事で、癌、免疫機能不全、又毒物との因果関係が解明されていない、(パーキンソン病のような)様々な慢性疾患になるリスクが高まる言う点にある」と語り、それは 「長期間、多様な汚染源と接触し続け、有害物質が少しずつ蓄積した結果、其のような影響が出ると思われるからだ」と言うのです。
ところが自然界には様々な有害物が存在し、農薬や食品添加物等の毒性だけを指摘するのは片手落ちとする考え方もあるのだが、アンドルーワイル博士は自然の中に有害成分があるからと言って、環境をさらに汚染する口実に、その事実を使うのは卑怯と言い、黒コショウ、バジル、タラゴンと言った香辛料、アルファルファスプラウト、セロリー、ピーナッツ、ジャガイモやトマト、マッシュルーム等に毒成分が含まれて居るのは事実だが、其れ等の種と共に進化してきた人間の体には、其れ等の毒にうまく対処する能力が備わって居てもおかしくないと言っています。
―セロリーが有毒物を作るのを知ってましたか?-Web画像より
そして、もし人間の治癒系が天然有害物の解毒処理に追われて居て手一杯だとしたら、人口の有害物の追加は、治癒系の処理能力に更に負荷をかける事だと反論しています。
同様に、地球上の特定地域のバックグラウンド放射能が強いからと言って、X線や原子力廃棄物に無頓着であって良い筈が無く、体の防御能力を簡単に超えるような事があってはならないのです。
有害物質に対する懸念を否定するような人達を、簡単に信用してはならないし、環境有害物は真の脅威であり、我々人間は、その防御手段を身に付けて置く必要があるのとはっきり断言しています。
其の不要な物質を排除する身体の能力は、消化器系・泌尿器系・呼吸器系・皮膚の四つのシステムの健全な機能に依存していると言います。
体は大便・尿・呼気・汗と言う形で廃棄物を排出していますが、肝臓が大概の異物を処理して可能な限り解毒し、その身体の四つの経路から排出来るように、より単純な化合物に変えていると言います。
それには、排出機能である四つのシステムが整然と働いていなくてはならず、其の為には、きれいな水を沢山飲んで、腎臓の尿の排出を助け、沢山の食物繊維を摂取して腸の調子を整え、呼吸器系を正しく使って、きれいな空気を沢山吸う有酸素運動、スチームバス、サウナ等でしっかり汗を出す必要があると言っています。
現代社会では、誰もが空気、水、食物を始め、様々な汚染源との接触を余儀なくされているのですが、その中でも大切な果物と野菜、繊維質の汚染源と言えば、先ず揚げられるのが農薬による汚染であります。
アンドルーワイル博士は、有害食品の項では、無農薬・有機栽培の果物や野菜等は普通より高価であって入手が面倒な事が多く、全て汚染されていないものに変えるのは無理と言い、其れには、特に汚染が激しい品目を知って避けるようにする事と言っています。
―林檎はアメリカでは農薬汚染度 No.1-Web画像より
アメリカでは、農薬の汚染度が特に高いのが林檎であり、続いてイチゴ、桃や葡萄、オレンジ等であり、野菜と穀物では、ジャガイモ、ニンジン、レタス、グリンピース、ピーナッツ、小麦などが揚がられ、少なくも、それらの食物は無農薬・有機栽培品を探すようにと忠告しています。
何故なら、人工の有害物質、特に野菜や果物に残留している農薬成分は、全て残留レベルが法に依って定められた 「基準内」の使用と言う事になっていますが、今の農薬の多くの残留成分は植物の組織と固く結合していて組織の奥深く迄浸透し、水で洗浄しても多くは除去出来ないからであります。
今や食品中に含まれるそうした化学物質の複合汚染が重なって、体の本来の異物処理能力が人によっては限界に近くなっている脅威の事実を、医学界や政府が見逃している事が余りにも多いのだとアンドルーワイル博士は苦言を呈しています。
其の例として揚げているのが、日本の異常な程高い出現率のアトピー性皮膚炎であります。日本を旅行していると驚かされるのは、日本では乳幼児の約半数が多かれ少なかれ、アトピー性湿疹の症状を呈して居て、青少年における症状の程度も亦、アメリカよりはるかに深刻であると言うのです。そして、その原因に就いては次の様に述べています。
「‥‥日本にアトピー性皮膚炎が増えたのは最近のことである。何が日本人を変えたのか?遺伝ではない。‥‥湿疹には確かに遺伝的要素はあるが、過去50年間に日本人の遺伝形質が大きく変化したと言う裏ずけはない。大きく変わったのは食生活である。
日本人は、以前よりはるかに大量の肉や乳製品を食べるようになった。其れ等の動物性蛋白食品が直接免疫性を刺激し、湿疹の様なアレルギー反応を起こしやすい素因を作っているのではないか。
それらの食品には、日本の伝統的な野菜や魚などと比べると、多量の有害物が使われている。その上に戦後の日本では、農薬と食品添加物が驚く程増えているのだ。
私の日本人の友人に内科を専門にする女医がいるが、彼女によると、無農薬有機食品に変えてアトピー性皮膚炎が劇的に治った患者が少なくないと言う。彼女の患者にはステロイド療法との縁を切る事ができた人も居ると言うことだ。
他の多くの免疫不全症状と同じく、アレルギーも亦、化学汚染された食品を食べ続ける事で体内に有害物質がたまり過ぎた結果では無いかと考えるに充分な材料だ。‥‥」
―花粉症は季節性のスギ花粉大気汚染が原因―Web画像より
今の日本には、アトピー性皮膚炎以上に広汎な影響を及ぼしているスギ花粉によるアレルギー症状、其の季節なると深刻な脅威になって久しいのです。
これも亦、戦後世代の方々にほぼ限られて発生している症状であり、私の様な戦前生まれの世代ではスギ花粉の直接的なアレルギー症状は聞いたことがありません。
これも亦、食生活の変化がなせる、体内に有害物質がたまり過ぎた結果で起こる? アレルギー性の過敏性反応と言えるかもしれません。
今では、大気、水、食品と有害物質による汚染環境の深刻度を増しつつあり、生体の持つデトックス能力を超える潜在危険には誰もが常に留意する必要があり、有害物質から治癒系を守るためには、優良なビタミン・ミネラルの宝庫である野菜や果物、繊維質を多く摂る事であり、その大切さは言うに及びません。
―南から北に移動するスギ花粉の散乱前線!-Web画像より
アンドルーワイル博士は有害物から身を守る心掛けを下記のように纏めています。
l 動物性食品を減らし、抗生物質やホルモン剤を使っていない肉しか買わないこと
l 天然有害物質を含む食物をなるべく食べないこと
l 多品目の食事を心掛けること
l 果物と野菜は多少とも汚染を除去できるから必ず良く洗うこと
l 果物と野菜は無農薬・有機栽培以外は出来るだけ皮をむくこと
l 農薬汚染度の高い果物・野菜は、無農薬の有機栽培のものを買うように心がけること
l 有機食品を扱う生協、自主団体に加入し、店長に食品仕入れを要請すること
l 加工食品の消費を減らし、人工添加物の摂取を減らすこと
以上ですが、これらはアメリカに限った話では無く日本でも同様であり、健康を守るには是非心掛けるべき事柄であります。アレルギー体質改善で、花粉症にも良いかも・・・?
ところで記憶が曖昧なのですが、数年前に現代農業という本で、収穫し乾燥させた玉葱の皮を全て剥き取り、切り落とした根の部分を酢を染み込ませた布で拭いておくと、普通の吊り玉葱よりも長く保つと読んだ記憶があるのですが、エシャロットへの応用は難しいでしょうか?
尚、お尋ねの吊り玉葱の保存期間の件、切り落とした根の部分を酢を染み込ませた布で拭いて置くと長持ちする話、試したことが無いので分かりませんが、吊り玉が早くから腐るのは病原菌が原因でしょうから効果があるかもしれません。
玉ネギの貯蔵期間は品種によって異なり、一般に産地の気候条件に合わせて、早生、中生、晩生種とそれぞれ異なる品種が作られて居り、吊り玉の保存できる期間も違いますが、同じ玉ネギでも肥料の与え方等で休眠期間が変わり、保存期間に差が生じます。
尚、エシャロットの保存期間、欧米の北方種と東南アジア種では違いがあり、どうなるか分かりません。