白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

―無農薬、無化学肥料栽培の意味―

2014年01月28日 | 農法

無農薬、無化学肥料栽培と言えば、有機JAS法で定めた有機栽培の代名詞のように受け取られ、環境にも優しく、其の農産物は、安全で美味しくて、栄養的にも優れていると思っておられる方が多いかも知れません。

大変結構な事ですが、その真の意味は、1980年代に趨勢となった、健全な農環境の維持保全に資する農業に特化して収穫した農生産物や加工食品の流通消費の社会秩序を守る為に、その農法を定義して差別化し、法制化されたのが有機JAS法です。

 

―有機JASマークー

言い換えれば、農業の自然循環機能の維持増進の為に化学的に合成された肥料や農薬の使用を避ける事を基本にして環境への負荷を出来るだけ少なくし、生態系に支障とならい、自然にやさしい農法を実践している農業者の収穫物を、肥料や農薬の事は良く分からないがその農法に賛同し、その安全を信頼して買い求める消費者や需要者を欺く事の無い様に、その善意を守る為に作られた法律であり、基より農業技術が優れているとか、高品質の農産物の確保がその有機農法で図れるとか期待されている訳ではありません。

 

ー有機野菜のイメージ写真ー

有機農産物は安心安全で、美味しく、栄養的に優れていると、消費者の皆さんに思って頂ける事は良い事ですが、其のオルガニックの解釈、国によって法制上の違いもあり、厳密な意味では矛盾もあって、特定の農薬の使用、有機肥料以外の化学的に処理されて居ない無機肥料の農地への添加は認められています。

 収穫物の品質や栄養価は、農法や肥料の違いもありますが、生産者の栽培技量や土壌条件、其の年の天候等に依る所が大変大きいのです。

 

ーアメリカは有機農業の先進国ーWebImagesより 

そうした点では、減農薬、減化学肥料等を旨として、栽培管理に手抜きをしない慣行農法産物のほうが、品質的にも栄養的にも、むしろ優れている場合が多くあり、其の意味では、行政の定めるガイドラインに従った 「特別栽培農産物認証制度」による生産物の方が、有機JAS法より理に叶っているかも知れません。

 扨て、新プランター栽培はと言えば、趣味の園芸であり、農薬のお世話には殆どなりませんが、高純度の液体肥料を用いる点では、全くの化学肥料栽培ではあります。

其の農薬と化学肥料、一般に有機JAS法と同じ様な次元で捉えられ、環境保全の見地から、好ましからざると毛嫌いされているようですが、大切なのは、前述の「化学的に合成された肥料や農薬」であり、何故か、其の意味のきちんとした認識に欠けて居るように見受けます。

 

ー特別農産物認証マークー

農薬は有効期間3年の剤型別、銘柄別、会社別の申請を必要とする登録制度によって、その使用が許認可され、それには効力や作物に対する安全性、毒性および残留性など、品質の確認のためにさまざまな試験成績の提出がなされて審査されます。

提出資料に基づく品質、薬効、農作物への安全性の審査のほかに、内閣府食品安全委員会、厚生労働省、環境省、農林水産省での人や環境に対する安全性の検討・評価がおこなわれ、不都合な問題があれば登録は保留されるとあります。

従って、審査をパスし登録されても、3年経って再登録の申請がなければ自動的に失効し、また、再登録にあたっても、その間に新しい科学的知見が明らかになった場合には、それについての試験成績の提出が求められます。

 

―日本農薬工業会ロゴマークー

実は先日書庫を整理して居たら 「農薬のおはなし」と言う本が出て来ました。10年前に書かれた斯界の権威?農薬擁護派の先生の書かれた本ですが、読み返して見ますと、農薬の置かれた立場の正しい理解が得られていない事が強く訴えられていました。

その農薬が社会問題となった理由として揚げられて居たのは、

  1. 農薬の急性中毒による患者、死者の出現
  2. 農薬の食品や環境への残留
  3. 農薬の必要性に対する無理解
  4. 誤報をも含んだマスコミの情報(新聞、雑誌、書籍、テレビ報道等)
  5. 有機農業・無農薬栽培への傾倒
  6. 生かじり・知ったかぶりの国民性
  7. データ未公開への不安
  8. 安全対応策の遅延・不備

以上の8項目であります。

皆さんがそれらを如何考えられるか分かりませんが、私見として申し上げますと、農薬は危険物であり 「データの未公開、安全対応策の遅延・不備、食品や環境への残留」 等が社会問題化する理由と言う事は、農薬の安全性に多くの方が不安を抱え疑問を持っていると言う事です。

 

―農薬のおはなしー

厳密な審査の下でその利用が認可されても、有効期限3年の登録性であり、其の使用に当たっては慎重な取り扱い管理義務が課せられていますが、少ない情報の開示では、高度な専門知識を持たない一般の人の不安の払拭は容易な事では有りません。

 農薬の登録制度を見れば分かるように、全ての農薬はとは言えないまでも、常に未知の潜在危険があり、法の定めに従って登録認可されれば、利害関係者の合意の取り付けだけで 「全て問題無し」とする訳には行かない、社会全体の原点での合意の形成を必要とするような何か複雑な問題を抱えているような気が致します。

農薬の持つ殺虫、殺菌、除草の作用機構、人を含めてすべての生きとし生けるものの生命活動の阻害や排除であり、其の無差別的な抹殺作用要素、その安全性が登録によって担保されていても、常に原点にそれがあると言う事です。

 社会に貢献できる安全な農薬の必要性の理解を求める方向に向けて新しい農薬は開発されているのでしょうが、肯定できる共通認識を醸成して、自ら認容される社会全体の合意が生まれる事が望まれます。

 

―典型的な農薬散布シーンー

厳しい言い方をすれば、現状は農薬の亦、私企業の利潤追求の場であり、開発され登録されて来た農薬の数は膨大であり、競争もあって多くの情報の公開は無理であり、当然不利益となる潜在危険情報等、明らかにされる道理が無く、其の歴史を顧みれば、過去の使用危険が明らかにされて排除された農薬が社会問題化する理由を作って来た事は歴然としています。

 今亦、最先端の安全農薬とされた 「ネオ二コチノイド系殺虫剤」 ミツバチが大量失踪する群崩壊症候群、EUで使用停止されるなど、世界的に物議を醸していますが、日本での関係筋は、それが農薬の本来の姿とばかりにだんまりを決め込み 「新たな科学的知見で明らかになるまでは‥‥」の優柔不断の姿勢です。

 

―殺虫剤は天敵も道ずれにするー

話は元に戻りますが、新プランター栽培でも、時には農薬のお世話にはなりますが、其の作用機構が大切であり、有機JAS法で使用が認めてられているものしか使いません。

扨て、次の化学肥料の事ですが、農薬とは全くと言って良い程其の背景には違いがあり、本来の自然任せの物質循環に頼る植物の栄養素を人工的に製造した事にあり、化学的に合成された肥料とは、実は 「窒素肥料」の事なのです。

但し、化学的に合成された窒素単体肥料のみならず、それが含まれる配合肥料、複合肥料、化成肥料も亦、化学合成肥料として有機農法では排除されています。

 

―ミツバチのイメージ写真ーWebImagesより

そして、其の根本の排除理由はといえば、「農業の自然循環機能の維持増進の妨げ」であり、その窒素肥料以外の肥料要素については、化学的に処理されて居ない天然物に由来する事が条件で、カリ肥料、リン酸肥料、カルシューム、マグネシューム、硫黄、又其の他の微量要素の鉄、マンガン、硼素、亜鉛、銅、塩素、モリブデンなどは使用が許されて居ます。

 

―日本は先ず見掛けない成分比ー

植物が尤も大量に必要とする窒素、其の大量施肥が栽培圃場の土壌劣化、荒廃に繋がり、強いては化学合成肥料全体が農業の自然循環機能の維持増進の妨げとなる事が指摘されているのです。

此処で大切な事は、それは作物の栽培媒体として利用する土壌に起こる問題であって、作物自身は、化学肥料であっても、自然の物質循環に依って供給される有機物由来の栄養素であっても基本には相違は無く、肥料要素の供給量に従って生育するのです。

 

ーアメリカの家庭で日常的に使われる肥料散布カートー

従って、自然の物質循環に依って供給される有機物由来の栄養素で育てる作物栽培が農業の自然循環機能の維持増進には好ましいのですが、それだけでは充分な肥料要素の供給量が得られない為に、化学肥料が利用されるのであり、化学肥料を悪者にして、有機肥料なら大量施肥も問題発生は無いと矢鱈に多く使う事は、決して好結果には繋がりませんし、環境にも悪影響を与えます。

家庭菜園を楽しまれる皆さんなら、ご自分の畑の土の状態を知り、与える肥料は出来るだけ控える事であり、それには化学肥料の方が施肥管理が容易であり、肥効を確認しながら使える点で有機肥料より優れて居ます。肝心なのは適切な土壌のC/N比の維持であり、必要量の堆肥の投入、酸度調整の為の苦土石灰等や、ホウ素、マンガンなど微量要素の適切な補足は欠かせません。

 

―地球の持続を支えるのは環境保全コンセプトー

無化学肥料栽培、家庭菜園レベルでは自己満足以外に殆ど意味が無いと申せますが、無農薬、其の少ない作用機構の情報からは判断が難しいのですが、どんな農薬も使わないに越した事は有りません。世界でも農薬使用量が最も多い日本、そのLD50やADIの上の次元で、環境負荷に関心をもっと持つべきと思います。

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