白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

NFT耕の生みの親、Dr.Allen Cooper の実験

2012年05月30日 | 日記

新プランター野菜栽培法では、培地の根域の恒常性を維持するには根圏微生物の涵養が大切な要件と以前に申し上げましたが、その理解の一助となるお話です。

5年ほど前になるかと思いますが、愛読するオーストラリアのWeb雑誌の中で、養液栽培法で、NFT耕と呼ばれる大変ユニークな装置原理を考案されたAllenCooper博士の寄稿文にお目に掛かりました。
              
               Dr Allen Cooper
その文章は、こんな切り出しの序文で始まっていました。
「齢83歳になった私には、廉価でより単純な形式の新しいNFT耕の開発を完成するには時間が多く残されていません。もし、私に完成する時間が無かったら、その仕事に充分な興味を持った何方かが成し遂げてくれるとの望みを持って、時間が残されている間に得られた情報は直ちに公開していきます」 

 「不遜な態度の様かも知れませんが、私には、それを残念に思っては生きられない事が分かっているからです」と、そして、「植物の機能には、決して今までに問題となった事の無いものが多くあり、試験された事がなくても、真実として受け入れられ、広く信じられている事柄があります」と、それを実験で示した話です。

その一部を抄訳で紹介させて頂きます。
植物の代謝の一般的な課題が、その良き例を用意してくれています。牛舎を訪れると、動物の栄養代謝が不完全である事が良く分かります。牛の代謝老廃物の排泄器官は見ても明らかであり、叉、排泄物も何で有るかはっきりしています。 けれども、植物の代謝は完全であると暗黙の内に信じられていて、察するに植物の排泄器官は、はっきりはしていません。更に一層、その排泄物も明らかではない事がその理由であります。

 別な例では、植物生理学の神話である根は水分を吸収し、葉はそれを失うとの信念があります。 多くの確信されている信念のように、その信念には真実の要素は確かにありますが、全てが真実ではありません。

植物と動物は、基本的には著しくは違っていません。両方の類似性は、植物は摂取器官と主たる排泄器官が同じ器官であり、特にそれが実験無しで、根である事の可能性を示唆しています。 

 植物が育っている土壌の中では、土壌容積中に水分勾配を持たないとする事は明らかに不可能であります。水分勾配の湿潤端側にある根は養分を含む水分を吸収し、勾配の乾燥端側にある根は代謝による排泄物を含む液体、言い換えれば尿を排出すると実験なしで示唆する事は充分理由の立つ事です。 

 植物は動物と違って固形物を摂取しませんので肛門の必要はありません。葉は、ガス状物質の摂取と代謝によるガス状廃棄物の排出を処理するのに理想的に配置されています。
このように、葉と根は同じ器官で摂取と排泄の両方が出来るのであります。動物での最も近い類似性は、呑み込みと吐き出しの両方が出来る「口」であります。

上述の示唆は、植物の持つ、"湿潤"根の持つ液体を摂取する能力、"乾燥"根の持つ液体を排泄する能力に基いています。

この仮説を実証する為に,私は横に長い両端を閉じたガーターと、その脇に接触するようにした片方が開放され、僅かに傾斜した隣接するガーターを設置致しました。その開口端部がバケツの上に置くようにしました。

土壌を入れたポットに春キャベツを蒔き、充分に育った根と土が、根圏域を2分割する為に用意した架台から上方に設置した仕切り板に沿って縦に切り開けられる様になる迄に育てました。

二つのガーターを植物に接触させて傍に置き、根系の半分が培養液を満たした横置きの供給用のガーターに、残りの半分が乾燥した排水用のガーターに入るようにしました。

春キャベツは簡単な装置で9月から翌年4月いっぱい屋外で栽培されました。供給用ガーターの培養液の量は、再供給されるまでにだんだんに減少し、著しい量の液体が毎日排水用ガーターの開口端部の下に置いたバケツに集められました。
其の結果は、"湿潤"根は液体を摂取し、"乾燥"根は液体を排泄している事は疑いの余地はありませんでした。



添付の写真を見てください。(写っている石の流しは無視してください。私には重過ぎて動かせませんでした。)その大変健康そうで、勢いの良い春キャベツは、植物もトイレと食堂が別れている恩恵を受けている事を良く示している姿です。以下略‥‥

 

―NFT耕によるサラダ菜栽培施設―

流石に、「NFT耕」を考案された実践的な研究者のAllenCooper博士、根本的な植物生理の一端を敢えて取り上げて実証して見せたこの話、一般には思いも及ばない興味深い事実です。

言うまでも無く、この植物からの排泄物は根圏微生物の大切な栄養源であり、土壌微生物の涵養に欠かせない土壌バイオマスの根源となるものです。しかし、この植物の根部から脱落する栄養源は植物の全光合成産物なんと12-40%にも達するとも言われています。

 

     ―NFT耕装置イメージ図ー

土壌を離れる事で高い生産性を達成した養液栽培では、培養液の流動化が必須要件となっていますが、その理由の一つは、共生する土壌根圏微生物の持つ大切なバイオトイレの機能に替わる水洗トイレの役割であり、其の機能の高効率化を図った流動養液栽培法が、AllenCooper博士が考案した「NFT耕」であります。

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