2009年、10月2日。
朝、体育祭開催を決めたものの、無情にも雨はしとしとと降り出した。
どんどん、どんどん、雨足は強くなる・・・。
この日のために
ずいぶんと前から話し合いを重ね、
3日前からは学校に泊り込んで準備してきた長男とその仲間たち。
あの夏の終わりの暑い日に
どやどやと我が家へやってきた彼らである。
インフルエンザ蔓延で学級閉鎖もある中、
なんとかこの日までこぎつけたというのに・・・。
アァァ無情にも雨、雨、雨。
私が到着した頃には
「明日の予備日も含め中止決定」の通達が校内アナウンスで流れていた。
オレンジのTシャツを着て
片付けに奔走する彼ら。
どんなにかガッカリしたことだろう。
前日にみんなで設営したテント。
少しだけオシャレにしてみたという得点版。
取り寄せてしまったジュース。
「おもてなし」を大事にしたという校内案内図
トモダチの笑顔を楽しみにしていた実況用ミュージック。
みんなみんな雨で流れてしまった・・・。
もう片付けるしかない彼らを少しだけみつめる。
あっ、あの子もいる。
あっ、この子もうちに来た子だ・・・。
あっ、長男。
ずぶぬれになりながらも
謙虚に働く彼らからは迫力すら漂ってくる。
みんなうんと寝不足のはずなのに
眼がギラギラと光っているのだ。
みんな頑張ったんだね。
静かに心の中で拍手を送る私だった。
「ただいま~」
三日ぶりに帰ってきた長男は意外にも
スッキリした顔をしていた。
めずらしく早く帰ってきたオットに
「価値あるプロセスを送れたならそれでいいんだよ。」
と言われ、
ずいぶんとホッとした様子だった。
ベッドに入る前にそっと彼は言った。
「夜、テントを設営しているとき、ナイターの明かりに照らされた
みんなの影がすごくキレイだったんだよ・・・。」
眼に焼きついた17の光景なのだろう。
良かったね。
そんな美しいものそう見られるもんじゃない。
無念な気持ちを乗り越えて
またひとつ階段を昇った長男が眩しかった・・・。