熱帯果樹写真館ブログ

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パパイアの冬季温度管理について

2008年01月04日 | パパイア
 沖縄県でパパイアの栽培を行う際に、最も生産にダメージを与える災害は台風とウィルス病です。そのため、パパイアの経済栽培を行う場合は、最低でもネットハウスの整備が必要となります(写真1、2)。


写真1、2:施設で栽培されるパパイアと栽培施設


 しかし、ネットハウスを整備したからと言ってパパイアの栽培が円滑にできるかと言えば実はそうではなく、多くの方が畑の水はけの悪さに起因する立枯症(疫病による立ち枯れが多い様です)に悩むことになります。
 また、経営を有利に展開するためには、パパイアの生育適温を把握し、温度管理を行うことが重要です(表1)。

表1:パパイア(サンライズ・ソロ)の生育適温

(参考資料:「果樹栽培要領」.沖縄県農林水産部、「パパイアにおける果実の着生と発達」.H. Y. Nakasone(著)、出花・井上(訳))


 表1から、パパイアは23~28℃で栽培するのが最も好ましい様です。

 しかし、私が住んでいる沖縄県北部(名護市)では、10月~5月は最低気温が23℃以下になります(図1)。平均気温で見ても11月~4月は概ね23℃以下です。
 従って、秋から冬にかけて施設にビニールで被覆し保温することが適切な温度管理であると言えます。


図1:名護市の気温(平年値)とパパイアの生育適温
(参考資料:沖縄気象台ホームページ


 ビニール被覆の時期は、沖縄県「果樹栽培要領」には11月~6月と書かれています。
 これは恐らく、ビニールの被覆開始時期を10月としなかったのは台風襲来時期であるためで、ビニールを剥ぐ時期を5月としなかったのは梅雨時期(長雨による立枯症回避)のためだと思われます。従って、ビニールを剥ぐのは梅雨明け宣言後が適期ではないでしょうか?
 もちろん、5月~6月は当然のこと、その他の時期の日中にハウス内が高温になる際は、ハウス側面のビニールを巻き上げ、施設内ができるだけ28℃以上にならない様に管理するのは言うまでもないことでしょう。

 沖縄県下では露地栽培であっても低温でパパイアが枯れることはない様ですが、生育が緩慢になります。
また、フルーツ用として栽培している場合「冬季の低温下で登熟した果実(春~初夏にかけて収穫される果実)は糖度が低い」ので、美味しいパパイアを得るためには温度管理がお奨めです。


○参考資料:
 ・「果樹栽培要領」.2003.沖縄県農林水産部.
 ・「パパイアにおける果実の着生と発達」.1997.Henry Y. Nakasone(著)、出花幸之介・井上裕嗣(訳).沖縄農業;第32号第1号;p.68-88.沖縄農業研究会.

○参考サイト
 ・「沖縄気象台

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