SOHO@軽井沢

仕事の話はほとんど出てきませんが、軽井沢でSOHO生活してます。

女街道

2008年05月29日 21時06分16秒 | 軽井沢の史跡
遠近宮からすぐ近くに女街道入口がある。

江戸時代、関所では「入鉄砲に出女」は厳しく監視された。
そうした出女が関所を避けてこっそりと抜ける道があった。
その道への分岐がこの女街道入口だ。姫街道とも言う。
説明板によれば、この道は油井釜ケ淵橋を渡り、和美峠または入山峠まで続くらしい。



入り口には馬頭観世音と書かれた石碑が立っていた。



少し行くと祠が2つ。
手前の赤い棒は以前は鳥居の形をしていたが、壊れてしまったようだ。



こちらは正観世音と書かれている。
後ろは売地。ここは前に見に来たことがあるが、3区画ともまだ売れていないようだ。



借宿の集落から離れるにつれて家はなくなってきた。
女人が人目を避けて歩くような道だから、道らしい道でもなかっただろうし、
追い剥ぎやら女人目当ての悪人やらが待ち伏せすることもあっただろう。



今度は如意輪観世音大士。

こうやって石碑が立っているのは道案内も兼ねていたのだろうか。
あるいはこういう道で犠牲になった人の供養ということもあるのだろうか。

自転車で風を切って走っていくと道は突然直角に左に曲がる。
左は元来た方向だから、女街道はそちらではない。

前を見ると右は大学の施設、左は建築会社。
その間は道ではなさそうだが、空き地になっていて、その向こう側に道らしい筋が付いている。
よしっ。行ってみよう。



これも道には違いない。
が、少し行くとこの道も直角に左に曲がっている。
釜ケ淵なら右の方向のはずだ。



奇妙な標識を見つけた。
林の方向を向いている。何かのはずみで向きが変わってしまったのでないのは、「小特を除く 50m先の踏切道」
と書いてあることからわかる。線路があるのは確かにこの標識の向いている方向なのだ。

じゃあ、道はこの林の中を通っているのか。
木も倒れているし、どんなに目を凝らしてもまったく道らしきものは見えなかった。
軽井沢は面白いところで、こうやって自然に負けて消滅してしまう道がある。他にももう一箇所、林になってしまった道があるのを知っている。

自転車を置いて林の中に踏み入ってみたが、さっぱりわからない。
少し行ってみたが、富士山の樹海のように迷ったあげく白骨になってしまうかもしれないという恐怖を感じて、戻ることにした。



写真は林の中で戸惑う我が影。

帰ってから地図で見ると道は途中で途切れている。
やはり強行しなくて良かったようだ。

女街道入口
女街道入口。

女街道
道が消えていたあたり。

遠近宮

2008年05月21日 21時16分10秒 | 軽井沢の史跡
あれは4月になったばかりの日曜日のこと。
少し仕事しなくちゃと机に向かっていたのだが、その日はあいにくとすばらしくいい天気だった。ようやく暖かくなってきた軽井沢で、こんな天気のいい日曜日に仕事なんかやってられるわけがない。とりあえず自転車に乗って出かける事にした。
しかし、どこに行こうか、と自転車をこぎながら考えた。そうだ。前の記事に書いた師匠がブログで紹介していた遠近宮に行ってみることにしよう。

遠近宮はおちこちのみやと読む。この名前の不思議さから行ってみたいと思っていた場所だ。借宿の集落の国道18号の南側に残る中仙道の旧道沿いにある。



自転車をこぐこと20分。神社に到着。
中仙道の宿場町として栄えた場所にあるだけあって、立派な朱の鳥居が立っている。



境内脇には3つの石が立っていた。
石には御嶽神社、八海山神社、三笠山大神と彫られている。



磨耗した双体道祖神が、まだ早春の弱い夕日に照らされていた。

ところで、本殿に掲げられた宮司の書いた由緒書によれば、この神社の名は、伊勢物語や新古今和歌集に出ている在原業平の
信濃なる浅間の山に立つ煙 遠近人(をちこちびと)のみやはとがめん
がもとになっているという。

信濃の浅間山に煙が立っている。行き交う人はどうして見とがめないのか。
古代の人は、恋(こひ)と火をかけて、噴煙に隠せない恋慕の情を見いだしたらしい。業平も浅間に噴煙が上がっているのを見て、思わずそっち系の連想をしてしまったのだろう。

ただ、その歌がこの神社名に関係する直接の証拠があるわけではないようで、由緒書には「と思う。」で終わっている。
この神社の祭神は磐長姫命(いわながひめのみこと)。
父は大山祇命、妹に木花咲耶姫(このはなさくやひめ)がいる。

磐長姫命は、天孫である瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)のもとに木花咲耶姫とともに嫁に出されるが、醜かったために磐長姫命だけは送り返された。
父の大山祇命は磐長姫命を差し上げたのは、天孫の寿命が岩のように永遠になるように、木花咲耶姫を差し上げたのは天孫が花のように繁栄するよう誓約を立てたためだったのに、これで天孫の寿命は短くなるだろうと告げ、以来、人は短命になったとされる。

そんな経緯を持つ磐長姫を祀る神社の名前が業平の歌に重ねられているというのは、なかなか面白い。



上のいわれのように長寿の守り神でもあるが、安産の守護神として慕われる神社でもある。安産祈願の布が奉納されていた。

遠近宮

風越夫婦石

2008年05月18日 17時53分05秒 | 軽井沢の史跡
いま自宅の新築をお願いしている建築士さんは遺跡についての同好の士であり、軽井沢の史跡を教えてくれる師でもある。
その人に教えてもらった遺跡のひとつがここ、風越にある夫婦岩だ。

今は神社には必ず建物があって、その中に神様が祀られているが、日本の古代においてはそうした建物はなく、必要に応じて神様を呼び寄せ、お告げを聞いたりお願いごとをし、用が済んだらお帰り願っていた。神をうまく使えば、人にとって非常に強力な力となってくれるが、神は時に人が制御不能な仕打ちをする怖い存在でもあった。だから、いつまでも近くにいてもらうのは不都合な存在だったとされる。
そうしたときに神様にお立ち寄りいただくのが岩の上だった。その岩の事を磐座(いわくら)と呼ぶ。
この夫婦岩も磐座であるらしい。
そうした祭祀の仕方が廃れたあとでも、岩そのものに対する信仰もあり、もしかしたらこの岩は、古代祭祀にまでは遡らないかもしれない。
ただ、祠が祀られていることから今も祭祀の対象となっている岩であることは間違いない。

この岩は塵芥処理場そばにある風越夫婦石マレットゴルフ場の中にある。
塵芥処理場に入る道を行くと、林を通して巨岩が見える。ここは何度も通った道なのに教えられるまではまったく気がつかなかった。

案内してもらったのはまだ雪の残る2月の終わり。



雪を掻き分けて入っていく。



この岩の裏に祠が祀られているそうなのだが、思いの外、雪が深くここまでが限界だった。



その後、3月の終わり、雪が融けた頃に再び訪れてみた。



岩の裏側に回ってみる。
おお!しめ縄と祠が祀られている。



祠は割れた巨岩の間に置かれている。
岩はいくつにも割れているが大きく分けると2つになる。
だから夫婦岩なのだろうか。
あるいはこの岩の割れ目を女性の象徴と見、男性の岩は別に見立てたのかもしれない。
と、いうのも少し離れたところに



もう1つの岩があるからだ。
でもこちらは特に祀られている様子はない。いつしか由来が忘れられて祀られなくなったとも考えられるが、男性っぽい形でもないから、祠のある岩で夫婦岩なのだろう。



岩の種類には詳しくないが、この滑らかな表面は溶岩だろうか。
浅間山から少し離れたところに離山という山があるが、これは噴出した溶岩がかたまったものだという。これも溶岩がちょびっと噴出したものなのかもしれない。



林の間からは雪のかぶった浅間山が見えた。

風越夫婦石

千ヶ滝散歩

2008年05月16日 21時15分12秒 | 散歩写真
連休最終日の5月6日、家からそう遠くない場所にある千ヶ滝まで歩いていってみることにした。おにぎり持って。



千ヶ滝温泉のわきの道を行くと神社があった。
千光稲荷神社と書いてある。道中の安全を祈って先に進むと、



せせらぎの道に入る。
廻りは国有林だ。



木々は新芽を吹き始めた頃。
道は浅間山に向かってゆったりと登っている。



途中、駐車場があり、そこから先は車の入れない遊歩道。
川に沿った小道を歩いていく。
色の付いた流れがあった。温泉だ。手を付けるが熱くも温かくもない。
しかし、川の流れの冷たさと比べれば温かいことがわかる。



家を出てから1時間半。目的の千ヶ滝に到着。
傍らには千ヶ滝不動尊と彫られた石碑が立っていた。
古くから修験者が修行に来ていたのだろう。

滝の傍らで持ってきたおにぎりをいただこうと思ったが、花束が置かれている。
んー、何かあったのかな。
ちょっと気味が悪いので、少し戻ったところにあった真新しい東屋で食べることにした。



ベンチに横になると、山の上に1本の山桜が咲いているのが見えた。
誰が見るでもなく一生懸命に咲いている。ああいう桜を見るとつい応援したくなる。

再び来た道を戻る。今日のもうひとつの目的である千ヶ滝温泉へ。
とんぼの湯の人気に焦ったのか、最近になってここも町民割引を始めた。
以前、新聞の折り込みチラシに入っていた申し込み書を持っていって会員となり、さっそく割引料金で温泉に入った。

この温泉のいいところは、出たあとの待ち合わせ場所があるところと、脱衣所にビン入り牛乳があるところ。それに人が多くないところ。
風呂後に瓶入りのコーヒー牛乳を腰に手をあてて飲むのは、基本だろう。

泉質は源泉かけ流しをうたっているとんぼの湯の方がいいかな~。


千ヶ滝

モバイルSuicaで新幹線

2008年05月09日 17時32分47秒 | 日常
ちょっと古い話題だが、モバイルSuicaで新幹線に乗れるようになった。

これを使うとたとえば軽井沢ー東京間が
普通に指定の切符を買うと5750円なのが、
モバイルSuicaでは5000円と750円もオトクだ。

これまでは同区間で6枚31200円の回数券を買っていたが、これだと1枚あたりで5200円となるのだが、これよりも更に安い。

ただし、回数券や普通の切符は都区内までなのに対してモバイルSuicaは東京を指定したら東京までの金額しか含んでいない。
たとえば新宿まで行く場合は、更に190円の料金が必要となるが、これでも回数券より10円安い。

しかもモバイルSuicaの場合、携帯電話上で新幹線の指定席が予約でき、乗るまでなら変更もできるという便利な機能付きだ。

これを使うために先月、5年使った携帯電話の機種変更をした。



携帯電話は写真のように5年間でこれだけ薄くなり、ネットへのアクセス速度もずいぶん速くなっていた。(movaからFOMAへの変更だし)

ゴールデンウィークの直前に客先に行く事になり、さっそくモバイルSuicaデビューした。座席番号は携帯電話を見ないとわからないので、新幹線到着前に画面を表示させておかないとならないが、これはなかなか便利だ。
紙の切符も不要なのでエコでもある。
もちろん新幹線だけでなく在来線も私鉄も改札は携帯電話をかざすだけで通れる。クレジットカードを登録すれば、チャージも携帯電話でできるのが助かる。
この間、奈良に行ったがICOCAエリアもSuicaが使えるので、ここでも携帯電話をかざして改札を通りまくった。
ちなみにワンマンカーの桜井線では無人駅にもICOCA端末が置かれていたので、バスみたいなシステムのこの電車に小銭があるかどうかびくびくしながら乗らなくても済むようになっていた。
面白い世の中になったものじゃ。長生きはするものじゃのう。(老人か?)

JR東日本の宣伝のような記事になってしまった。
ちなみにSuicaと頭だけ大文字、ICOCAは全部が大文字なのが正式名称だ。Icocaとするとちょっと間抜けな感じになるからか。

チューリップ咲く

2008年05月07日 21時30分32秒 | 日常
去年、つぼみの段階で無残にも猿に食べられてしまった庭のチューリップだが、今年は綺麗に咲いている。
去年のこともあって今年は植えていないのだが、前のが残っていたようだ。

今年はどうか猿が来ないように。
いや、猿も困っているんなら食べて貰ってもいいか。
もう楽しませてもらったし。





桜咲く

2008年05月01日 21時30分41秒 | 日常
軽井沢も花の咲く季節になってきた。
そして桜はいまがまっさかり。

自分にとって理想の桜とは、人里離れた山中にただ一本だけ咲く山桜だ。
風に吹かれて花びらがはらはらと散っていれば尚よろしい。
さらに満月の夜の景色ともなると西行の詠んだ歌の世界だ。

願はくは花の下にて春死なん、そのきさらぎの望月のころ

こういう桜を見ていると、西行と同じ気持ちになってくる。
桜は日本人の死生観に深く影響を与えていると思う。

軽井沢にそんな理想の桜はないかと車を走らせてみた。
理想とは違うがなかなかいい孤高の桜を見つけた。
杉瓜の集落から茂沢に抜ける道の途中、つづら折りに大きく曲がる道端の2本の桜。
山の中ではないし、一本の桜でもないのだが、静かに2本だけ立って咲く姿がなんとも愛らしい。
そして、見返ると道の反対側には2本の梅が咲いている。
この地では梅も桜もほぼ同時に咲く。
1週間前に満開だったこの桜の様子を今日、見に行ったが残念なことにほとんど散ってしまっていた。
軽井沢の桜の季節は短い。



写真は長倉公園の桜。