軽井沢に移住する人は町内の観光地のほとんどはめぐった上で、越してくるのではないかと思う。いろいろ行ったつもりだったが、旧軽井沢銀座のはずれからほんのわずか先にあるここにはなぜか行ってなかった。
イギリス人宣教師、アレキサンダー・クロフト・ショーの別荘。
ショーハウスと呼ばれる。
明治21年、軽井沢に最初に別荘を建てた人とされる。
この建物はショーが最初に軽井沢を訪れてから100年を記念して、昭和61年に復元された。
この人がショーさん。
江戸時代は中山道の宿場町として、参勤交代の大名や旅人によって潤った軽井沢も明治になって参勤交代もなくなり、旅人もあまり通らなくなってからは寂れた。ショーは、その静かになった軽井沢を明治19年に来て気に入って以来、避暑に訪れるようになり、やがてこの地に別荘を建てた。
傍らには礼拝堂もある。軽井沢最初の教会だ。
日本の大工さんが建てたらしい二重の切妻屋根は十字架がなければ普通の日本家屋だ。
窓の上が丸くなっているところは、日本家屋との違いを感じさせる。
西洋風の鐘には何やら漢字が書かれていて、これも日本で作ったものであるようだ。
2007年12月の初冬の空。
敷地内にはこんな日時計もあった。
室内はこんな感じ。
屋根は梁が剥き出しになっている。
そして剥き出しの電線は見るだけで感電しそう。
そして興味深いのは小屋組みが、明治になって日本に入ってきたとされるトラス構造になっているところ。三角形を構成するように部材を組み合わせて屋根を支える構造で、それまでの日本建築にはなかったものだ。
奈良の東大寺や唐招提寺にも明治の修理で導入されたくらいに日本の建築界にはインパクトのあったものらしい。
別に建築の構造に詳しいわけではなく、この2つの寺の明治の修理のエピソードを覚えていただけなのだが。
大正時代に改修されているらしいので、これはそのときに取り付けられたのかもしれない。
大正時代としても、当時からこの地には最先端なものが入りつつ、落ち着いた風情を保つ今の軽井沢に通じるものがあったのだろう。