MBAで教える「交渉術」

MBA留学先での「交渉」の授業内容を配信。といっても最近はもっぱら刺激を受けた本やMBAについて。

フランス「食」事情-おまけ-

2005-08-23 | フランス暮らし
-ぶっちゃけフランス料理ってうまいの?

と、聞かれたことはありませんが、正直なところどうなんでしょう。

「フランスなんだから料理うまいんでしょ」

といった、ものすごくポジティブなイメージを持っている日本人が大半だと思います。
しかしあえて採点してみるならば、必ずしも言うほどうまくはない!と思います。
乱暴ですが、カテゴリーによって共通した優劣があるように思います。
例えば普通のレストランのコースになぞらえて評価してみると、大体こんな感じです。
(日本のファミレスレベルの満足度=50点、と考えて)

ワイン     :100点
前菜      :100点
スープ     :50点
メインディッシュ:20点
デザート    :100点
コーヒー    :90点

要するに、フランスのレストランに行って食事すると、

まずワインのうまさに感動し、
前菜のチーズのおいしさに驚き、
スープで「あれ?」と思い、
いざメインディッシュとなると(悪い意味で)衝撃を受け、
でもデザートとコーヒーで回復する

といった流れにたいていなるのです。
どんな安いレストランに行っても前菜とデザートは美味しいが、結構高いレストランに行ってもメインディッシュはイマイチ。
特にステーキ類は肉が硬く靴底みたいなのが多いので安いレストランではお薦めできません。

中華料理みたいに、デザートや前菜はさほど美味しいかどうか疑問でもメインは間違いなく味・ボリュームとも良好、というのと、ちょうど対照的ですね。

あと日本のロイヤルホストのメニューでオニオングラタンスープってありますね。
マリリンモンローが来日したとき気に入って毎日飲んだという人気メニュー。
あれはフランスが本場なので、筆者はひそかに「最高のオニオングラタンスープ」を求めて色んな店でオニオングラタンスープを食べまくってみました。

でも結局、ロイヤルホストのオニオングラタンに勝るものはなかった!
フランスではあのスープはかなり庶民的なもので、飲みすぎた深夜などに酔い覚ましにありあわせのもので作って飲む、というラーメン的な存在なのですが…
安いレストランなどでは厨房に作りおきが少なくなってくるとワインを足して量を稼ぐので、ワインの味しかしないものなどもあったりしました。

ただワイン・チーズ・フランスパンの美味しさ安さだけは、間違いなく世界一。
(それにデザートもやはりヨーロッパ全般に高水準)
こんな風に、ある分野に限ってみれば言うことないが、何でも揃っているわけでは絶対なく明らかにこれはダメという要素もある、というのは、食事に限らずフランス全般の印象でもありました。

フランス「食」事情(5)

2005-08-21 | フランス暮らし
自分で買い物すると結構安く済む、というのがフランスです。
前回書いたように、野菜や肉類も結構お手ごろな値段なのです。

でも買った食材を料理するとなると、さてどうしたものか考えてしまいます。
調味料も基本的にフランスのものしか使えないので、勢いどうしてもフレンチ(もどき)を作らざるを得ない感じです。

そうは言ってもコックじゃないのでレシピも良く分からず、あまり時間もかけたくありません。
そうなると何か簡単にできるものを考えて…

そうです。
パスタです。

これなら簡単だし、オリーブオイルやパスタソースを買うにも種類がかなり豊富です。
チーズも美味しくて種類が豊富です。
何よりパスタそのものが安い(日本で輸入してるやつと比べたら、当たり前ですが)
生ハムやベーコンも味わいが深くいわゆるヨーロッパ本場の味。

で、結局フランスでも一番頻繁に作っていたのがパスタだったのでした。
レストランと合わせて考えても、実用性・味を兼ね備えたイタリアン侮るべからず、と考えさせられました。

フランス「食」事情(4)

2005-08-18 | フランス暮らし
フランスで自炊するのはどうなんでしょうか?
ここまで外食事情を中心に振り返ってきたので、自炊事情も考えてみたいと思います。

これまで外食でお金がかかる話ばかりしてきました。
ところがこれが、自炊すると一気に安くあがったりします。

まず買い物に行く先は、以前も紹介したカルフールなどのスーパー。
カルフールの場合肉は牛・豚・鶏・羊、魚もイカからサーモンまで相当多様な品揃えです。
野菜も100グラムいくらの量り売りで、自分で好きなだけビニール袋に入れてセロテープで閉じます。
日本でみるような野菜は大体そろっていて、他にマッシュルームなどは何種類か色の違うのをそろえていたりしました。

安くて驚いたものその一がバゲット。
山積みになっていて、かなり長いのが一本80円くらいで売っています。
ただ日本のスーパーとかコンビニでは多い調理パン(カレーパンとかジャムパンとか)はほとんどみかけませんでした。

次に安くて驚いたのがジュース類。
特に紙パックの1リットルオレンジジュースなどは安いものは60円くらいで売っていました。
缶コーラなども基本的に6本セットで売っており、一本あたりにするとやはり100円くらいと、ずいぶん割安でした。
このコーラの例などで特に顕著ですが、フランスでは同じコーラでも「冷やしていない-家庭用-まとめ買い」なら安く(100円)、「冷やしてある-行楽用-単品」の自販機では異常に高い(220円)のです。
要は、元々そんなに高くないのに、ヒトが何がしか手をかけたらその分どんどん値段が上がっていく感じです。

日本のジュースのようにどこでも価格はほぼ一律、その代わり全体としてやや高い水準にとどまっているのとどっちがいいのか、考えさせられました。

(この話続く)

フランス「食」事情(3)

2005-08-13 | フランス暮らし
フランスでは、フランス料理以外のレストランはどうなんでしょうか?
フレンチの定食、テイクアウトの軽食を紹介してきたので、今回はこれについて筆者の経験の範囲で、ざっと振り返ってみたいと思います。

まずパリと田舎町では全然事情が違います。
(当然ですが)

パリならば、和食・イタリアン・スペイン・北アフリカ・インド・ベトナム・韓国料理など納得できるレベルのレストランが一応そろっています。
筆者は試しませんでしたが、オペラ座の近くは和食レストラン・日本食品店が多いのでそこに行けばそれほど日本と変わらない味も楽しめるらしいです。
そのあたりの店はきちんと日本人がやっているので衛生面でも安心なようです。
(良い言い方ではありませんが、それが問題になっているのは後述)

パリのイタリアンやアフリカ料理はボリュームもたっぷりで、味も申し分ありませんでした。
特にクスクスをはじめとするアフリカ料理は安価で、旧植民地の本場の人が作っていたりするので結構お薦めです。

一方、田舎はどうでしょうか。

当然レストランの絶対数が少ないので、選択肢が限られてきます。
フランスは中・近世から構造があまり変わっていない所が多く、森と畑の中に教会を中心とした集落が点在し、それらが網目状の街道でつながっている仕組みになっています。
一つ一つの集落が行政単位の「村」になっていて、そこは小さすぎてレストランも数軒しかない程度です。
(というか店自体が全部で10軒くらいしかなかったりする)

筆者もそんな村の一つに住んでいましたが、そうした村のレストランは当然ほぼ100%フレンチです。
一部アメリカンスタイルのバーも見られましたが、地元の人だけが客で、昼から何か飲んでいる所に入っていくのは結構勇気が必要です。
メニューもピザとか簡単なもののみ。

では他に何もないかというと、地方でもある程度中核になる町になると、それなりに選べるようになります。
筆者の学校のある町もそうでしたが、観光客もある程度来る場所だったりするので、そうした人向けにも色々そろえるわけです。

学校の町にあったのが、フレンチのほかイタリアン、メキシカン(アメリカ人向け)、インド、中華、日本食のレストランでした。

この中で中華料理屋は三軒あり、一番頻繁に利用していました。
というのも値段が安く、店員が全員華僑なので中国系の友人たちと行くと色々サービスしてくれるからです。
味はフランス人に合うよう辛すぎずにおいを抑えまろやかにした感じで、本場とはちょっと違いますが、洋食攻めの毎日には懐かしい味でした。

メキシカン・インド料理も時々行きましたが、これはまずまず。日本なら東京でちゃんとしたところで食べるのと同じような感じです。

問題なのは日本料理。
2~3軒ありましたが筆者は一度も食べませんでした。

というのも、まずメニューが不自然。
驚くべきことに、選べるのが焼き鳥と寿司しかなく、セットメニューも焼き鳥と寿司の組み合わせなのです。
日本ではありえない組み合わせですね。

また店の看板、装飾、メニューに日本語が使われていますが、それが大抵間違っています。

なぜそうなるかと言うと、要するに経営しているのも店員も華僑だからです。
(少なくとも、筆者の町の日本食レストランはそうでした)
日本で修行したわけでもなく日本語が分かるわけでもなく、単に「日本食」と看板を出すと地元の人や欧米の観光客が珍しがって来るからやっているわけです。
メニューが簡単なのも単に真似するだけなら技術が不要なものを選んだから、というわけですね。

問題なのはそうした修行していない人たちが寿司など作ってしまうため、食中毒事件が多発していることです。
そういうことがあると欧米人などは「ふぐを食べるとあたって死ぬこともある」みたいなニュースと組み合わせて想像を膨らませて、「日本食みたいな奇妙なものはやっぱり危険だ」的イメージを持ってしまうように思います。
(現に「日本食は危ないから絶対食べない」というヨーロッパ出身のクラスメート(特に女性)は何人かいました)

(この話続く)

フランス「食」事情(2)

2005-08-11 | フランス暮らし
フランスでまともに外食してると高くてお金がもたない。
そこで、何とか別の手はないかと考えてみたものでした。

すぐ思いつくのは、ちゃんとした定食じゃなくてテイクアウトの軽食を買って食べることです。
「折角フランスにいるんだからちゃんとしたフレンチがいいなあ」と思ったものですが、背に腹は代えられないのであれこれ試してみました。

まずピザまたはイタリアン。

フランスは観光国なのでどこに行ってもたいてい海外からの観光客が来ています。
(パリでの印象から言うと今多いのはスペイン、イタリア、アメリカ、あと大量の中国人)
彼らも当然「折角なのでフレンチ」と考えますが、時にはお国料理が食べたくなるのが人情というもの。
そのためどの街に行ってもたいていイタリアンレストランがあります。
値段も安めだし、「みんな大好きイタリアン」なわけです。

ただ普通にコースで食べるとフランス料理とそんなに値段が変わらないので、ピザのテイクアウトを試してみました。
レストランでもピザは出ますが、ピザ専用店(チェーンではなく、小さめのピザだけ出す食堂)の方が安いものです。
しかしそういう店はトルコ系移民が経営していたりして(別に差別するわけでも何でもありませんが)、イタリアンピザというより中東系のナンみたいな味でした。
このピザだと単品7ユーロ(約1000円)くらいですんだので、時々利用してました。
ボリュームはあるけど味はまあこんなもんかな、という感じです。

それからフランスパンのサンドイッチ。

これは定番でたいてい週末のランチはこれを買ってました。
なぜかというと、何しろフランスパン(バゲット)が絶妙にうまいからです。
日本にあるフランスパンより塩気というか味わいがあり、パンだけ食べても結構いけるものでした。

町のパン屋やサンドイッチスタンドに行けば、ハム・チーズ・レタス・オリーブ・サーモン・チキンなどがたっぷり入った長さ30センチ位のバゲットサンドが4~5ユーロ(500~600円程度)で買えます。
これは日本と比べても明らかにうまいし安い。
一本でちょうど腹いっぱいになるくらいで持ち運びも便利だったのでよく利用しました。

ちょっと違う路線で意外と重宝したのがマクドナルド。

「何もフランス来てまでマクド行かなくても…」
と筆者も思ったものですが、実用性を考えると救いの船のようなところがありました。

というのも、特にディナーの場合、レストランに一人で行くのはタブーな側面があります。
向こうではレストランには必ず複数で連れ立っていくのが常識というところがあり、
「なんでこいつ一人できてるんだ?気持ち悪い」
みたいな目で見られることがよくありました。
ましてこっちは東洋人。
田舎の町では否応無く目立ち、さらに一人でレストランに行くとますます目だって厳しい視線が痛かったりするわけです。

また時間的な理由もあります。
日本では良い方に誤解されていますが、フランスのサービスは日本では信じられないほど不便だったりします。
(フランス人に言わせれば日本人こそ質の低い生活をおくっている国民なわけですが。この価値観の差はまたの機会に詳述します)
レストランに入っても、メニューを持ってきてもらう、注文をとってもらうのにそれぞれ20分くらい待たされるのはざらです。
それから料理が出るのに時間がかかり、しかも料理はコースになっているので食後のコーヒーが出る頃にはレストランに入ってから2時間くらいたっていたりします。
ヒマな観光客ならそれでもいいんですが、授業や宿題をこなすのにできるだけ効率的に時間を使いたい身からすると、この時間的ロスは結構ばかにならないものでした。

これが、マクドナルドなら見事解消されるわけです。
一人で行っても誰もとがめだてはしません。
勿論日本のマクドナルドに比べたら、レジで10分くらい平気で待たされるなど、とても同じ効率水準とは言えません。
それでもその場で食べても食事が30分ですませられる唯一の貴重な場所なのです。

そんなわけで忙しい平日の夜などは、
「体に悪いよなあ」
と思いつつも時々マクドナルドを利用していました。

(この話続く)

フランス「食」事情(1)

2005-08-08 | フランス暮らし
フランスと言えば美食。
そんなイメージが誰しも強いと思います。

実際にフランスに住んでみるとどんな食生活が待っているのか?
今回から記憶と家計簿をたどってフランスの「食」事情を振り返ってみたいと思います。

まず、フランスで普通のレストランに行くとどんなものが食べられるんでしょうか?

「レストランと言っても色々あるだろう」と言われればそれまでなのですが、筆者が田舎街で食べていた典型的な経済的レストラン(当然フレンチ)はだいたい共通の仕組みになってました。

まずメニュー。

基本的には日本の定食屋のように定食メニューが決まっています。
典型的なのは、
ランチメニューA(肉)、ランチメニューB(魚)、ランチメニューC(その日のスペシャル)
の三つくらい用意してある感じです。

メニューは必ず前菜(アペタイザー)orスープから始まり、(場合により間にサラダ)、メイン+フランスパン、デザートorコーヒーの流れで来ます。
それに加えて飲み物を注文しないといけません。
みんな結構昼からワインとか飲んだりしてます。
ミネラルウォーターが高い一方、無料の水でも一応OKですが、そうするとぬるい水道水がそのまま出てくる感じです。

ランチなどだとこのメニュー(定食)しか選択肢がなかったりしますが、夜は単品メニューを組み合わせて自分の好みのセットにできたりします。
(割高になりますが)

さて、気になるのは値段。

これが、日本人の感覚からしてもかなり高くつきます。
ランチでも安くてメニューが8~15ユーロ、それに飲み物が2~4ユーロにチップをつけると、大体15ユーロ(約2000円)くらい飛んでしまいます。
そう、レストランに入るとまともに食べたら最低2000円くらいいってしまうわけです。
これがディナーになるとさらに3~4割高くなります(普通の店でも3000円超えたりする)。

すごいところは、フランス料理といったらこういうレストラン以外に選択肢がないことです。
もちろんカフェで軽食をとればもう少し安くつきますが(コースにならない)、日本のように300円の立ち食いうどんから2000円のうな丼まで幅広い価格帯がどこでも食える状況ではありません。

さらにもっとちゃんとしたレストランに行ったら、当然これ以上の値段になってきます。
(日本のいわゆる「ちゃんとしたフランス料理レストラン」のイメージ)
確かに、ある程度の味/評判のレストランについては日本より安いともいえます。
日本ならひとり一万円くらい取られるだろうな、という料理とサービスで6000円くらいだったりするからです。

とはいえ住んでみてしばらくして分かってきたのは、この値段のハードルでした。
要はまともに外食してたらお金がもたないわけです。

(この話続く)

フランス車事情(3)

2005-06-26 | フランス暮らし
フランスの車生活で恐るべきなのは、やはり周囲のドライバーの運転マナーです。
(以前も少し触れましたが)
あるとき実験をしてみた事がありました。

よくフランスの田舎道では、後ろから地元の車が超高速で走ってきて、こちらがもたもた前を走っているとバーバークラクションを鳴らしたり危険な追越をされることがあります。

-彼らはとにかく自分の好きなスピードで走っていたくて、邪魔が許せないんだろうな…

と私なりに彼らの「個人主義」と結びつけて考えていました。
で、あるとき森の道を時速80キロ位で走っていたら、後ろの方に120キロ位の速度で近づいてくる車が見えました。
そこで私は考えました。

-ずいぶん早いけど、あの車はあの位の速度で走りたいんだろうな…
-邪魔にならないように先に行ってあげれば、お互い不愉快な思いをしなくてすむだろう…

で、こっちは140キロくらいに速度を上げて走り去ろうとしてみました。
(後ろの車とはまだずいぶん距離がありました)
そしたらなんと、向こうは急にわざわざそれ以上に速度を上げてぐんぐん近づいてくるではありませんか。
轟音を上げてこちらの車を追い抜き、その車はその後少し速度を下げて走り去っていきました。
こちらは予想外の反応にあっけにとられてしまいました。

そして、よく考えてみたらこちらが彼らの文化について大きな勘違いをしているのではないかと思い至ったのです。

日本人から見ると、

「ヨーロッパは個人主義で、他人のやっていることなど気にせず皆わが道を行っている」

と考えがちです。
確かに一面の真理はありますが、ここには大きな誤解があると思います。
何かと言うと、少なくとも例えばパリ以外のフランスでは、みんな「他人のやっていることをものすごく気にしている」からです。

例えばフランスでレストランに行ったとしましょう。
一流レストランでなくとも、向こうはこちらを常に観察して品定めしてきます。

-こいつは日本人なのか?中国人なのか?
-フランス語が話せるのか?
-食事のマナーをまともに理解できているのか?

こうした基準をきちんとクリアできていれば「上客」として扱うし、できていなければそれなりに(悪い方向へ)対応を変えてきます。
車の例も同じで、「人がどうだろうと関係なく120キロが快適だからそれで走りたい」のではなく、「周りの連中より早く走ろう/自分の前に他の車がいるのは嫌だ」という気分があるのではないかと感じました。

これは同じ個人主義でもアメリカとは大きく違う部分だと思うのですが、そのあたりはまた書こうと思います。

フランス車事情(2)

2005-06-14 | フランス暮らし
で、出発して早速困るのがエンスト。
(当然ですね)
何度も止まりながらなんとか発信していったんですが、パリのドライバーのマナーは東京の比ではありません。大阪よりえぐいでしょう。
少しでも遅くなればクラクションは鳴りっぱなし、割り込みは当然、死んでも人に道は譲りません。

そんなわけで信号で止まるのが恐怖でした。
一度止まるとまた発信しないといけないので、そこでエンストすると後ろからバーバークラクションが鳴って罵声を浴びせてくるのでものすごいプレッシャーなのです。
日本だったらまだ周囲の思いやり(まあこいつはまだ初心者なのかな・・・)みたいなものがある程度期待できますが、そんな甘い世界ではないのです。

結局パリの環状高速の外側に出たところで集中力が切れ、信号でエンスト連発になって30秒くらい発信できない状況になりました。
後ろからはものすごいプレッシャーで頭がパニック。
無理やり急発進して信号横に(!)止めてあった車に激突したまま爆走して逃げました。

衝撃が走った後向こうの車のクラクションが壊れたらしく「バー」と鳴りっぱなしになってましたが、そんな騒音を背後に必死で車を走らせて逃げたのでした。
しばらく走って車を止めてみたら、タイヤのホイールカバーが取れてなくなってただけでこっちは無傷でした。
しかし歩いて事故現場に戻り様子を伺うと、なんかレッカー車が来てその車を運び去った後らしく、散らばった金属片の清掃作業が行われてました。
大変なことかと思った割りに皆平穏だったのは、たぶんそういう事故が日常茶飯事だからなんだろうな、と妙に納得しつつ近くの路地で発進の練習を2時間くらい繰り返したのでした。

(この話続く)

フランス車事情(1)

2005-06-12 | フランス暮らし
フランスでは車を持ってました。
フランスに限らずヨーロッパ全般そうだと思うんですが、電車の本数が日本より少なめなので車は必須アイテムな感じです。
特に学校がパリから車で30分くらい離れた田舎にあったので、車なしでは生活できない環境でした。

そんなわけで向こうではルノーのクリエという小さめの車を持ってました。
とはいっても買ったのではなく、短期リース。
多少初期費用はかかりますが一日10ユーロ(1400円くらい)で保険諸経費込み。
期日が来たらそのまま返せばいいというレンタカー方式で、結構便利でした。

が、そこはフランス。
大きな問題がありました。

まず何より、車がマニュアルしかありません。
「マニュアルとオートマどっちがいいですか?」みたいな発想があるはずもなく、
「オートマなんてあるわけないでしょ」
な感じです。
おかげで免許取ったとき以来はじめてマニュアルを運転する羽目になりました。
まして車は左ハンドル。
道路は右側通行。
最初の日は初めてづくしで恐怖を感じるままパリの街中に車を出したのでした。

(この話続く)



フランス鉄道事情(3)

2005-05-18 | フランス暮らし
とはいえフランスの干渉してこない文化では一つ明らかな利点(?)があります。

何を隠そう、キセルが余裕でできてしまうのです。

まず駅には改札がなく改札員もおらず、誰でもホームに入れます。
セルフサービスで切符をホームにある機械に入れてパンチする決まりになっているからです。
ホームに入れれば当然電車にも乗れます。
電車に乗って移動して、降りてしまえば改札もないので誰でもホームから出ていけてしまうのです。

筆者は渡仏してしばらくしてその事実に気づき、驚いたものです。
ではどうやって切符を買わせるよう担保しているんでしょうか。

答えは簡単。

車内で車掌がランダムに検札に来るのです。
その時切符を持っていないと、高い罰金つきで切符を買わされる羽目になります。
現に「しまったついてねえ」という顔をしてしぶしぶ罰金を払い、車掌が去ってから毒づいているフランス人をしばしば見かけました。

しかしこれにも裏業があります。
電車に乗ってすぐにトイレに入り目的地までこもってしまえば車掌も検札できないのです。
(トイレは各車両にだいたいある)
上級者(?)はこのワザを駆使して無賃乗車を常習しているようでした。
(トイレがずっと空かなかったらまずそういうことだと思います)

筆者と言うと、パリまでの回数券を最初に大量に買ったのでキセルとは無縁でした。
というより結局多く買いすぎて、最後まで使い切れなかったのでした…

フランス鉄道事情(2)

2005-05-17 | フランス暮らし
それで筆者は一度ひどい目にあったことがあります。

その日は日曜日で、パリで夕食をとって夜電車で村に帰ろうとしていました。
当時はまだフランスに来て日が浅く、「停車駅は自己責任で確認すべし」などということは知りません。

とりあえず電車に乗り、列車が走り始めました。
車内はガラガラで、他にはほとんどお客さんが乗っていません。
しばらくすると車掌が改札がやってきました。
車掌に切符を渡すと、車掌はしばらく切符を見ていましたが、黙って切符を返して向こうへ行ってしまいます。
(切符には目的の駅が印字されている)

アナウンスが全くなく、正直その電車が目的の駅で止まるかどうかちょっと不安だったんですが、

「車掌が切符を見て何も言わないんだから止まるだろう」

と思い、そのまま乗っていました。

しかし、気づいたときは後の祭り。
予定の時間を過ぎても電車が走り続けているので不審に思い、フランス人の友人に電話して聞いてみると、何と途中のある駅以降全く停車せずに終点まで行ってしまう特殊な便だというのです!

結局40分で着くはずが2時間以上かけて終点まで連れて行かれ、しかも日曜日は電車は夜10時で終電。
全て手遅れとなり、終点の田舎町であやしいホテルに一泊せざるを得なくなったのでした…

車掌が改札のとき言ってくれればまだ次の停車駅で降車できたのですが、フランスでは見知らぬ人にそんなおせっかいを期待できるはずもありません。
どこで降りるかはその人の自由で他人が首を突っ込む話じゃないし、ダイヤを詳細に確認しておくのが乗客の責任だというのが「常識」なわけです。

日本のような丁寧すぎてうるさいとも思えるアナウンスとどっちがいいか考えさせられた一件でした。

(この話続く)

フランス鉄道事情(1)

2005-05-16 | フランス暮らし
フランスの鉄道事情はどんな感じでしょうか?

今回から「フランス暮らし」のカテではフランスの田舎の交通機関をざっと振り返ってみたいと思います。
(パリ市内は全然別モノなのでまたの機会に紹介します)

さて、鉄道。

路線は基本的にSNCF(国鉄のような会社)一本です。
時々突然運休しますが、非常に時間通りに運行します。ほぼ日本同様と言っても過言ではないです。
大都市の間は新幹線(TGV)も走っています。
料金も日本とそんなに変わらないイメージです。
(例えばパリから一時間郊外に走れば1000円くらい)

乗り方もシンプルで、ローカル線なら一等席も二等席もありません。
駅で自分で切符を機械に入れて検札。
電車が来たら自分で手動ドアを開けて好きな席に乗り込めばいいわけです。

と書くと結構便利でおトクなようです。
実際筆者も週末パリに行くのには車より電車を使っていましたし、
旅行者は電車移動が基本になると思います。

しかしながらそこはフランス。
問題はその列車がどの駅に止まるか教えてくれないことです。

どういうことかというと、同じ路線でも便によってどの駅に止まるかが全然違うんですが、
その説明は大きな駅(例えばパリ市内の駅)の小さい掲示板か、
細かい時刻表を見ないと分からないようになっています。

列車内のアナウンスは基本的に何もありません。
日本式に

「毎度ご乗車ありがとうございます。
 この電車は、AA、BB、CC駅を通過した後DD駅から各駅停車となり、
 X時X分に終点EEに到着いたします。
 FF方面へお越しの方はGG駅でHH線にお乗換え下さい。
 本日は発車が1分遅れお急ぎのところ大変ご迷惑をおかけしました」

などというアナウンスは絶対にありえないのです。
(特に「ご迷惑をおかけしました」という発想はフランスにはないといっても過言ではありません…)
無言で駅に止まり、誰かが手動ドアを開けなければ何も起こらずそのまま発車していくわけです。

(この話続く)

フランスのスーパー

2005-05-12 | フランス暮らし
フランスでは日々の買い物はどんな感じなんでしょうか。
筆者はパリ近郊の小さい村に住んでいましたが、買い物事情は日本の田舎と似ているところもあり違うところもあるようでした。

まず買い物の中心になるのがカルフール。

畑の中にある巨大店舗は結構圧倒されます。
大きな駐車場にマクドナルドなども併設され、店の上にはフードコートも完備。
食料品からカー用品、パソコンソフトまで一通り揃っているのでここに行けばとりあえずほとんどの買い物ができます。
さすがにカルフール発祥のお国だけあって、品揃えや大きさはかなりなものがあります。

しかしながら問題もあって、

まずそこに行くまでに車で30分かかる
営業は21時まで(実質的には20時半まで)
日曜日は休み

といった点がつらいところです。
平日夜までずっと学校がある身からすれば、まず土曜日しか利用できずいまいち使い勝手が悪いものでした。
日曜日が休みではスーパーの意味がないじゃないかと思いますが、法律で日曜日の労働が制限されているらしく、また彼らには「残業」という概念が存在しないので平日の夕方買い物する方が普通なのです。

第二の選択肢は、近くの町(学校のある所)の商店街。

小さめのスーパーやいわゆる個人商店です。
小さめのスーパーは品揃えも食料品を買う分にはそこそこで、日曜日も午前中だけはオープンしていたりして、結局一番頻繁に利用していました。
一方で商店街は、田舎なのにすごくおしゃれなブティックが並んでいたりして「ちょっと買い物してみようかな」と思ってしまうものでしたが…
ほとんどの店は「いつオープンしてるんだろう?」という位いつも閉店しています。
多分平日の昼間(いわゆる普通のヒトが働く時間帯)だけ開いているのかな?と思いますが…

第三の選択肢は、村の店。

と、言いたいところですが店が数件しかない(!)上にこれこそ町の店以上にいつ開いているのか全く不明。
実質的には全く無いのと変わらない感じでした。


便利さという観点からすると、向こうではコンビニも存在しないし自販機もほとんどゼロなので日本とは全く別の世界が体験できると思います。
例えば夜中にのどが渇いても冷たいコーラなど物理的に買えない。
我慢するしかないわけです。
まあ昔はどこの国もみんなあんな感じだったんだと思いますが…
逆に今の日本がいかにすごい所か考えさせられてしまいました。

フランス暮らしをふりかえる

2005-05-11 | フランス暮らし
ふと思い立ち、このブログの中で新しいカテゴリーとして「フランス暮らし」を追加することにしました。

一般的にフランスというと

「美しい建築」
「贅沢な食生活」
「優雅な暮らし」

みたいにものすごくポジティブに紹介されるものです。
筆者も行く前にはそう思っていたんですが、結局のところ「住めば都」には必ずしもならず…

実際に住んでみて初めて分かるカルチャーショックを今後は時々紹介していきたいと思います。

プーケットのファンタ

2005-03-29 | フランス暮らし
旅が続いています。
しばらくタイのプーケット島に行ってきました。
津波からの復興キャンペーンで、高級リゾートが半額で泊まれるとのことで
ゆっくり楽しんできました。

島は今では津波の影響もなく、全部普通に営業しています。
ところどころ海岸が崩れたところなどがあるくらいです。

現地ではコンビニが結構多く、セブンイレブンとファミリーマートがしのぎをけずっていました。
そういう店で日本と大して変わらない品揃えで買い物ができるんですが、
商品の多くはタイローカルの珍しいブランドだったりします。

面白かったのが、缶ジュースのファンタ。
赤いのと緑のがあったので赤いのを買ったら、それがファンタストロベリー。
味はカキ氷のシロップに炭酸水をちょっと足したような感じでした。
飲み終わった後しばらくつばが赤くなってしまい、まるで出血してるみたいでした。
こういう経験も新鮮ですね。