ぶらぶら★アフリック

アフリカ・プロモーター、ンボテ★飯村がお送りする100%アフリカ仏族ぶらぶらトーク!

L'Afrique, nouvelle frontière du djihad ?〜アフリカはジハードの最前線か?

2018-10-26 08:30:00 | アフリカおすすめ本
パリ、シャルル・ド・ゴール空港。通過するたびに引っかかる、赤い色のニクいやつ(??)・・・といえば、おなじみ、ミニ・ブックストアのRelais(ルレ)。ごく小さな書店なのに、なぜか読みたくなるような本が一冊は置いてある。もちろんテーマは、アフリカ縛りだ。最新刊のこともあれば、はたまた売れ残りの末、流れ着いたような本があることも・・・。

先日、冠婚葬祭で日本に弾丸一時帰国した際にも、もれなく立ち寄り。そしてめぼしい刊行本を物色。すると、一冊、目に止まった本があった。。

'L'Afrique, nouvelle frontière du djihad ?'
Marc-AntoinnePérouse de Monclos, Edition La Découverte, avril 2018, 14€
「アフリカはジハードの最前線か?」
マルク・アントワーヌ・ペルーズ・ドゥ・モンクロ著, 2018年4月


著者・モンクロ氏は、フランス開発研究(IRD)の地域研究者。西アフリカのイスラム武装勢力、特にナイジェリアで猛威を振るうボコハラムの第一人者と言えるだろう。実はンボテも同氏の2014年の訪日の際、お迎えした立場だった。ンボテブログ『ぶら★アフ』にも、一度登場済みである。
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そしてこの日、シャルル・ド・ゴール空港の「ルレ」には、なんと偶然にも、彼の本が置いてあるではないか!

ということで迷わずご購入。日本に着くまでの長い空路で読ませていただいた。

この本はドキュメンタリーやノンフィクションというよりは、研究者の視点による分析と洞察がまとめられた、論文の「書き下ろし」書。特にアフリカのイスラーム武装勢力の系譜を大きく引くソマリアのシェバブ、ナイジェリアのボコハラム、マリ北部のマグレブ諸国のアルカイダ(AQMI)を軸に、アフリカのイスラーム原理主義思想のそもそもの誕生と系譜、現代アフリカにおける変容・自己増幅の経緯をたどる。

しばしば3つのイスラム武装勢力は、アフリカ大陸に「テロの弧」を構成してきた、と評されるが、モンクロ氏はそれがあたかも相互に作用・反作用して、浸透・再強化が図られてきたとは考えられない、と述べている。もっと土地に根ざした、根源的な経緯の中でイスラム原理主義が黎明し、植民地や独立、貧困と格差の中で静かに隆盛していったこと。そこに現在のジハード勢力のダイナミズムが到来し、アフリカに内製化されていったことなどが、分析的に述べられていく。

結びでは、軍事的なアプローチには限界があり、それだけでは暴力的過激主義の問題の根本的解決にはなり得ないことを警鐘している。


アフリカにおけるジハード勢力について、アフリカの歴史や系譜を基礎に、客観的な分析、考察を試みた著書。アフリカに軸を置く地域関係者にはオススメの一冊。

(おわり)


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