志情(しなさき)の海へ

かなたとこなた、どこにいてもつながりあう21世紀!世界は劇場、この島も心も劇場!貴方も私も劇場の主人公!

締め切りが間もない詩を書かなければならない。ふと公園の青いベンチの写真が登場して題名は「青いベンチ」

2023-05-06 13:53:00 | 詩、詩集
朝、思いつくままに書いたので、また推敲が必要。詩語ってなんだろう。試行錯誤しながらことばを編んでいる。
メタファ―なんだと思うけれど、散文でもなく、哲学でもなく、ほのめかしのような暗示のような、それでいて飛翔感があることばとは~?まだ推敲が必要なようだ。明後日までには完成させなければ~。

       青いベンチ  
               
青いベンチの横のユウナの大木に
茶色い大きな雌猫が住みついていた
ひそかにユウナの木のおばさんと呼んでいた

公園にいつ行っても そこにはあのユウナの木のおばさんが
木の上からゆったり 見下ろしている
小さな虎のような姿で おばさんは俊敏に木から降りてくる

そこはみんなのたまり場
90歳の島袋カナさんが 塩ゆでしたササミをこまめにし
市販のドライフードに混ぜてやってくる青いベンチ

ゆっくり歩くカナさんの後を歩いていたら 青いベンチに行きついた
そこは野良猫たちのオアシス
いつも10匹以上の猫たちが集まってきた

時は止まらない
時は止まらない
止まらない

20年以上 野良猫たちに美味しい食事を与え続けていた
カナさんが逝ってしまったら 急に猫たちが少なくなった

カナさんの真似はできなかった
時たまの公園の散歩は次第に遠のいていった
やがて何度か桜が咲き サクランボが実をつけたある日
おばさんがポツンと一匹青いベンチで寝ていた

音信不通の恋人に会ったよう 胸が高鳴った
ひょっとしておばさんに会えるのではと思って
猫用の缶をいつもリュックに持ち歩いていた
おばさんは近づいても 逃げる様子はなく
大きなユウナの葉の上に缶詰の中身を置いた
辺りを見回し食べはじめた

家猫だったのかもしれないおばさんが 
いつごろから公園を住処にしているのか わからない
もう10歳にはなっているのだろうか

公園が自由で住みやすいかどうか 
時におびえたおばさんの姿があって
多くの市民がやってくる公園の物語は 万華鏡
ユウナの大木の寝床は誰にも邪魔されないだろうか

食べ終わったおばさんは ベンチから立ち上がって
歩き始めたたまさかの女の後を追いかけてきた
おばさんの縄張りの境界があるのだろう
あるところまできて 立ち去った

それ以来おばさんに会っていない‥‥‥

公園に行くと青いベンチがあり ユウナの大木がある
ユウナの木のおばさんはいつでもそこにいる

    ホームレスの上原さん

 青いベンチには温もりがある。青いベンチの周りには数匹の野良猫たちが群がっている。上原さんとはじめて言葉を交わしたのはその青いベンチだった。澄んだ瞳に引き込まれた。「島袋のおばあちゃん、今日来たんですか」と聞いたのだった。「来ていたよ。だけどここまで遠いので駐車場の近くで猫たちに餌をあげていた」とこたえが返ってきた。そのつもりはなかったけれど横に座って話が続いた。以前アパートに住んでいろいろな草花を育てていたことや、プロのダンサーがいきなり上原さんの所にやってきてたくさんしゃべって帰ったことや、傘をさして散歩するガリガリに痩せた女の人との出会いなどが分かった~。
 上原さんは猫たちが食べ残したドライフードを丁寧に瓶に入れていた。自転車に乗って公園内を走り回る颯爽とした姿があった。公園の主のような上原さんがいて、いつも周りには誰かがいて、住処は小さな光を放っていた。時には髪を切ってもらっている姿があった。みんなから愛されていたんだ。一度救急車で運ばれても、また公園に戻ってきた。上原さんに声をかける人は、皆どことなくその生き方が羨ましかったのかもしれない。
 一度、神女(カミンチュ)と公園を散歩したら、「ここには兵隊の死霊が住んでいる」と語った。そして「可哀そうな目に遭って自殺した中学生の女の子の霊がトイレにいる」と‥‥‥。
 その後だったか、公園に行きづらくなってしまった。気が付くと、島袋のおばあちゃんも上原さんの姿もなかった。上原さんを気に入って、台風の時も寝袋で一緒に寝ていた女の人のことを後で知った。

          青いベンチ  
               
青いベンチの横のユウナの大木に住みついている茶色い大きな雌猫がいた
ひそかにユウナの木のおばさんと名付けていた

公園にいつ行っても そこにはあのユウナの木のおばさんが
木の上からゆったり 見下ろしている
小さな虎のような姿で おばさんは俊敏に木から降りてくる

そこはみんなのたまり場
90歳の島袋カナさんが 塩ゆでしたササミをこまかく刻んだ特上の
食事を 市販のドライフードに混ぜてやってくるベンチ

ゆっくり歩くカナさんの後を歩いていたら 青いベンチに行きついた
そこは野良猫たちのオアシス
いつも10匹以上の猫たちが集まってきた

時は止まらない
時は止まらない
止まらない

20年以上 野良猫たちに美味しい食事を与え続けていた
カナさんが逝ってしまったら 急に猫たちが少なくなった

カナさんの真似はできなかった
時たまの公園の散歩は次第に遠のいていった
やがて何度か桜が咲き サクランボが実をつけたある日
おばさんがポツンと一匹青いベンチで寝ていた

音信不通の恋人に会ったよう 胸が高鳴った
ひょっとしておばさんに会えるのではと思って
猫用の缶をいつもリュックに持ち歩いていた
おばさんは近づいても 逃げる様子はなく
枯れた大きなユウナの葉の上に缶の中身を置いた
辺りを見回し食べはじめた

家猫だったのかもしれないおばさんが いつごろから公園を
住処にしているのか わからない
もう10歳にはなっているのだろうか

公園が自由で住みやすいかどうか 時におびえたおばさんの姿があって
多くの市民がやってくる公園の物語は 万華鏡
ユウナの大木の寝床は誰にも邪魔されないのだろうか

食べ終わったおばさんは ベンチから立ち上がって
歩き始めたたまさかの女の後を追いかけてきた
おばさんの縄張りの境界があるのだろう
あるところまできて 立ち去った

それ以来おばさんに会っていない‥‥‥

公園に行くと青いベンチがありユウナの大木がある
ユウナの木のおばさんはいつでもそこにいる

    ホームレスの上原さん

  青いベンチには温もりがある。青いベンチの周りには数匹の野良猫たちが群がっている。上原さんとはじめて言葉を交わしたのは青いベンチだった。澄んだ瞳に引き込まれた。「島袋のおばあちゃん、今日来たんですか」と聞いたのだった。「来ていたよ。だけどここまで遠いので駐車場の近くで猫たちに餌をあげていた」とこたえが返ってきた。そのつもりはなかったけれど横に座って話が続いた。以前アパートに住んでいろいろな草花を育てていたことや、プロのダンサーがいきなり上原さんの所にやってきてたくさんしゃべって帰ったことや、傘をさして散歩するガリガリに痩せた女の話など~。
 上原さんは猫たちが食べ残したドライフードを丁寧に瓶に入れていた。自転車に乗って公園内を走り回る颯爽とした姿があった。公園の主のような上原さんがいて、いつも周りには誰かがいて、住処は小さな光を放っていた。時には髪を切ってもらっている姿があった。みんなから愛されていた。一度救急車で運ばれても、また公園に戻ってきた。上原さんに声をかける人は、皆どことなくその生き方が羨ましかったのかもしれない。
 一度、神女(カミンチュ)と公園を散歩したら、「ここには兵隊の死霊が住んでいる」と語った。そして「可哀そうな目に遭って自殺した中学生の女の子の霊がトイレにいる」と‥‥‥。
 その後だったか、公園はさらに遠くなってしまった。気が付くと、島袋のおばあちゃんも上原さんの姿もなかった。上原さんを気に入って、台風の時も寝袋で一緒に寝ていた女の人のことを後で知った。


          青いベンチ

青いベンチの横のユウナの大木に住み着いている茶色い大きな雌猫がいた
ひそかにユウナの木のおばさんと名付けていた

公園にいつ行っても そこにはあのユウナの木のおばさんが
木の上からゆったり 下を見下ろしている
小さな虎のような姿で おばさんは俊敏に木から降りてくる

そこはみんなのたまり場
90歳の島袋さんが 薄い塩ゆでしたササミをこまかく刻んだ特上の
食事を 市販のドライフッドに混ぜてやってくる青いベンチ

ゆっくり歩く島袋さんの後を歩いていたら 青いベンチに行きついた
そこは野良猫たちのオアシスだった
いつも10匹以上の猫たちが集まってきた

時は止まらない
時は止まらない
止まらない

20年以上 野良猫たちに美味しい食事を与え続けていた
島袋さんが逝ってしまったら 急に猫たちが少なくなった

島袋さんの真似はできなかった
時たまの公園の散歩は次第に遠のいていった
やがて何度か桜が咲き サクランボが実をつけたある日
おばさんがポツンと一匹青いベンチで寝ていた

音信不通の恋人に会ったよう 胸が高鳴った
ひょっとしておばさんに会えるのではと思って
猫用の缶をいつもリュックに持ち歩いていた
おばさんは近づいても 逃げる様子はなく
枯れた大きなユウナの葉の上に缶の中身を置いた
辺りを見渡し食べはじめたおばさん

飼い猫だったのかもしれないおばさんが いつごろから公園を
住処にしているのか わからない
もう12歳にはなっているのだろうか

公園が自由で住みやすいかどうか 時におびえたおばさんの姿があって
多くの市民がやってくる公園の物語は 万華鏡
ユウナの大木の寝床は誰にも邪魔されないのだろうか

食べ終わったおばさんは ベンチから立ち上がって
歩き始めたたまさかの女の後を追いかけてきた
おばさんの縄張りの境界があるのだろう
あるところまできて 立ち去った

それ以来おばさんに会っていない‥‥‥

公園に行くと青いベンチがありユウナの大木がある
ユウナの木のおばさんはいつでもそこにいる

 
註:
青いベンチには温もりがある。青いベンチの周りには数匹の野良猫たちが今でも群がっている。80代の島袋さん、足が痛そうな比嘉さん、そして東京から移住してきた青井さんが青いベンチに向かって歩いている姿が目に浮かぶ。
 いったい彼女たちは?こっそりデジカメで後ろ姿を撮って以来、公園の猫たちや青いベンチがわたしの日常に入ってきたのだった。やがて3人と言葉をかわすようになった。
  ホームレスの上原さんとはじめて言葉を交わしたのも青いベンチだった。身近で見た澄んだ瞳に驚いた。猫たちが食べ残したドライフッドを丁寧に瓶に入れていた。自転車に乗って公園内を走り回る颯爽とした姿があった。公園の主のような上原さんがいて、今ではみんないなくなった。でも彼らは公園にいる。
 一度、神女と公園を散歩したら、「ここには兵隊の死霊が住み着いている」と語った。そして「どん底に突き落とされて自殺した中学生の女の子の霊もトイレに住み着いている」と‥‥‥
 その後だったか、公園は遠くなってしまった。




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