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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

冗談みたいな本当の話

2010年05月07日 | 大学
 昼休み、インスタント味噌汁を飲んだコップを洗おうと廊下の洗面所に行くと、先客である年配の某教授が背中を丸めて、歯ブラシを洗っていた。たぶん食後の歯磨きを終えたところなんだろう。ぼくは軽く会釈した。しかし、ここでとんでもない話を聞いてしまったのである。
 「たいへんなことをしちゃったんですよ。私ね。歯ブラシに皮革用の接着剤を、歯磨き粉と間違えてつけちゃったんです。」そういうと、私に、洗面台の横に蓋をあけた状態で置かれた、歯磨きチューブよりちょっと小さな接着剤のチューブを指差した。
 正直、私は絶句して、すぐに反応することができなかった。彼はそんな私の表情を見透かしたように、表情一つ変えずに続けてこういった。
 「なんでだろうなあ。歯磨き粉と並んで、接着剤のチューブが置かれていたんですよ。」
 それ、おかしくありません? もしかしたら、第三者がいたずらで置いたとか? しかし、どうも自分で置いたらしいのである。しかし、歯磨き粉と接着剤ではさわった感じが違いそうなものである。
 「それにしても、接着剤を口に入れて磨かなくてよかったですよ。やっぱり、接着剤は毒ですかね?」
 食べたことがないのでわからないが、歯に皮革用の接着剤がこびりつくなんて考えるだけで気分が悪くなりそうだ。
 ところで、私が気になったのは、なぜか、教授が接着剤のこびりついた歯ブラシを必死になって洗っていたことである。
 「先生、もう、その歯ブラシだめなんじゃないですか。捨てた方が……。」
 「やっぱり、捨てた方がいいですかね。ハハハハ……。」
 まさに冗談みたいな本当の話である。

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