最近、新幹線が特別な存在でなくなりつつある。かつて新幹線は「ハレ」の乗り物だった。家族と旅行に行くとき、時々あった出張に出かけるとき、そんな特別なときに乗る特別な存在だった。ところが今では、ほぼ日常になっている。正直、これではまずいんじゃないか?と思うようになった。浜松から東京に向かうための交通手段で最も早いものは新幹線である。ひかり号にのってしまえば1時間20分から30分で東京駅に到着する。あっという間である。とはいえ、料金だって安くはない。安いチケットでも片道7,000円を超えてしまう。
その半額くらいで行けるのが高速バスだ。牧之原と足柄パーキングエリアでそれぞれ10分間の休憩があり、トータルでは4時間かかって渋谷駅に到着する。まあ楽とはいえないが景色を楽しみながら、ゆっくり眠っていける利点もある。浜松に来た頃は、よく高速バスで帰ったものだが、最近は正直なところ、とんとご無沙汰である。結局、いつも新幹線の誘惑に負けてしまうのである。
仕事も忙しくなって、なかなか思うような時間に浜松を出ることができないということもある。ただ、どっかで甘えがあるような気もする。「もしも新幹線で行けば…」という「もし」が常に私について回っているのかもしれぬ。忙しさにかまけて、初心を忘れてしまっているのかもしれない。学生たちは今だになけなしのお金で出費をできるだけ襲えようとバスや時には青春18きっぷを利用する。もちろん忙しくてどうにもまわらないときは仕方がないだろう。ただ、もう一度、初心に帰らないと思うのである。このまま新幹線に流されてはならぬ。新幹線はやっぱり「ハレ」の乗り物であり続けたいと思うのだ。
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