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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

静大のゴン・クビャルにみる楽器商の自己顕示?

2013年11月01日 | 浜松・静岡
 昨日、静岡大学に行ってきたが、この大学所蔵のゴン・クビャルのレヨンの彫刻に刻まれていた文字が、I WAYAN BERATHAである。静大の学生達はこれが人の名前だということを知らなかったらしい。もちろんバリとかかわらなければわかるはずがないだろう。しかし、このブログの読者の三分の一くらいは、レヨンの台に刻まれた名前があの偉大な作曲家、演奏者、教育者、楽器商であるイ・ワヤン・ブラタ氏であることをご存じなはずだ。
 楽器を研究する私のような研究者にとっては、このバリの楽器がどこから売られたのかということは重要な情報であり、この楽器が楽器商としてのブラタさんにより売られたことは明白なので、音響解析などの考察などに役立つものだ。しかし、こういう楽器はひじょうに少ないのではないだろうか?楽器の台に文字や、年号が入れられたものは調査の過程の中で散見される。たとえば、その楽器を所有するガムラングループの名前だとか、設立の年、あるいは村や集落の名前が入れられたものは何度も見たことがある。しかし、楽器商の名前が掘られた楽器は珍らしい。
 それにしてもこれをどう捉えればいいのだろうか?商売を有利にすすめるための「看板」のような役割をはたしているのだろうか?そうはいっても、個人の名前を彫りこむとはなかなかの商売人である。ところで、今度、私の知人であるデンパサールで有名な楽器商にも、こうした名前を彫りこむことについて聞いてみようと思う。なんて言うだろうね。