Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

大阪、新世界にて

2012年12月17日 | 
 昨晩の通天閣はクリスマスモードなのでしょうか、黒のカンバスに蛍光ペンで輪郭を描いたようなLEDのイルミネーションでコテコテに飾られた通天閣が輝いていました。「綺麗だね」って言うのでしょうけど、ぼくはあのストレートな光があまり好きではありません。はっきり、くっきりと見えすぎるのです。なんだか、夜空には不自然なのです。でも観光客はこの風景を見てたいそう満足して帰るのでしょうし、やっぱり新世界にはこのくらい「どぎつい」イルミネーションがぴったりなのかもしれません。
 でも、どんなに看板やネオンが派手でも、呼び込みの兄ちゃんがしつこくても、なぜでしょうか、子どもと二人で来た場所に一人で来るのは心のどこかに寂しさか募るものなのです。どんなに仲間と過ごす時間が楽しくでも、笑っても、ふとした一瞬、ぼくは子どもの手をひいて歩いた過去の時間に戻ってしまうことがあるのです。時間の世界を今に昔にと、まあなんて忙しいこと……。
 未成年はスマートボールで遊ぶことができないのです。通天閣のすぐ下にあるあの店の中をうらめしそうにのぞいていた息子の顔を今でもはっきりと思い出すことができます。「お父さん、大人になったらまた来ようね」と何かを振り切るように私につぶやいて、それまで以上に元気に歩き出したことを忘れられないのです。あと数年もすれば、また息子とここを訪れることだってできるんだよ。でもね、でもね…。