Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

インドの人形劇での出来事

2007年12月03日 | 東京
 子どもの頃、文明堂のカステラのテレビ・コマーシャル(カステラ一番、電話は二番、三時のおやつは文明堂・・・)に登場するネコ(クマ?)の操り人形を見たことがきっかけなのかどうかはわからないが、とにかく私は人形劇が好きである。操り、陰、木偶など人形劇なら何でもOKである。結局、東南アジアの影絵人形芝居を自分の研究テーマにしてしまったが、ヨーロッパにいっても人形劇を見て歩く。チェコの人形劇はものすごいテクニックだったし、オランダでもベルギーでもいくつかの人形劇一座の公演を見た。人形が人間の手にかかると、まるで生き物のように動き出すのがたまらない。そんな私は、南インドの人形劇一座が来日するというのを聞いて、これは沖縄からでも見に行かなくてはならないと東京行きの予定を組んだのである。
 だいたいこういう場所に行くと10人以上の知り合いに会うのが常である。招聘した協会の方、受付の方、ビデオ撮影係、そして観客のうちの何人かは、久しぶりに会う知人や友人である。人形劇を見に来たのに、なんだかその前に何度も挨拶の行事が繰り返される。やっと席について落ち着いたかと思いきや「あのー、沖縄の芸術大学の先生ですよね?」と声をかけてくる若い女性がいる。「えー、そうですけど」と答えると、「私、卒業生で先生の授業を受けたんです。」といわれて驚く。もちろん、大勢の中の一人のわけだから全く記憶がない。「あー、そうですか・・・」と言ったきり、何を言っていいかわからない。適当に挨拶をした後、彼女は自分の席にすぐ戻っていった。まもなく人形劇の開始を告げる激しいカタカリの音楽が始まった・・・。
 一週間たった今、この人形劇のことを思い出そうとすると、その劇の映像とともに、自分の不器用さが蘇る。卒業生に「東京でがんばってますか?」なんて気のきいた言葉の一つでもかけれなかった自分が全くなさけない。たぶん、一生このままなのだろう。この年齢になったら性格なんて変えられないもの・・・。