院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

夏の季語「金魚」

2017-08-24 00:06:20 | 俳句

(金魚すくい。ウィキペディアより引用)。

 俳句の季語には何故その季節なのかすぐに分からないものがあります。たとえば「噴水」は夏の季語です。「滝」も夏。両方とも「涼」を誘うからだと思われます。じつは「涼し」が夏の季語なのです。暑いからこそ「涼しさ」が感じられるというわけですね。

 「金魚」も一年中いるにもかかわらず夏の季語です。「金魚」が季語になったのは新しく、明治時代だといわれています。金魚は室町時代あたりに中国から日本に入ってきたらしいのですが、金魚の飼育が流行したのは江戸時代中期からです。

 もっとも、当時は池がある家しか金魚を飼えませんでしたから、金魚を飼っているのは武家か豪商に限られたようです。庶民が金魚を飼うようになったのは、ガラスの金魚鉢が普及してからです。ガラスの丸い金魚鉢を「金魚玉」といい、これも夏の季語です。

 庶民がガラスを持てるようになったのは、いつごろかは知りませんが、江戸時代ではまだ無理だったのではないでしょうか?(せいぜいビードロまで)。

 なぜ夏の季語なのかは、「金魚売」が夏しか来なかったからではないでしょうか?私が子どものころ東京には金魚売が来ました。先日、ここにご紹介したような天秤棒をかついで来たのではなく、リヤカーで水槽を曳いていましたけどね。

 夜店の金魚すくいが、いつごろから始まったのかは知りません。でも夜店が出る「祭」がすでに夏の季語ですし、とうぜん「夜店」も夏の季語です。私自身、寒い中で金魚すくいをやった記憶はありません。

 歳時記という季語集には、伝統的な季語と新しい季語が混在しています。「火鉢」、「炭」は現在ほとんど見られませんが、冬の季語として歳時記には載っています。軽々に歳時記から外してしまうと、むかしの俳句が理解できなくなる恐れがあるからです。

 「どてら」、「綿入れ」は私が子どものころには当たり前の冬着でしたが、もう見かけませんね。「ちゃんちゃんこ」は還暦祝いなどで見かけますが、綿が入った着衣という点では3つとも同じです。

 歳時記を読んでいると季節の移ろいだけではなく、時代の移ろいを感じますよ。どこの書店にも歳時記は置いてありますから、あまり大部でないものを一冊お薦めします。

 ※私の俳句(秋)
    神島の井戸はここのみ水澄める

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。