(石塚真一の漫画「ブルージャイアント」(小学館)より。)
漫画「ブルージャイアント」ではバークレー音楽院出身の師匠が「俺よりおまえのほうが上だ。おまえの音は人を”圧倒”できんだよ」とつぶやくシーンがあります。上の場面は見開き全体を使って主人公の「音」を表現しています。むろん漫画ですから音は出ません。
映画などの映像媒体では、解説を入れずに映像だけに語らせることがよくあります。ですが、「おまえのほうが上」の「音」を音なしで表現することができるでしょうか?漫画は(小説でもそうですが)音がない分、想像させることができます。
映画好きの人には洋画の吹き替えを嫌う人がいます。吹き替えの声が元の俳優の声と違うので、苦になるのだそうです。音があるとかえって邪魔になることがあるのですね。
そう考えると、「ブルージャイアント」はアニメ化しにくいでしょう。アニメ化されるのが漫画家の栄誉だそうですから、「ブルージャイアント」は損をしているかもしれません。
※今日、気にとまった短歌
ドトールの二階席にて目覚めたるひとは床より帽子を拾う 松村正直『午後3時を過ぎて』