脳辺雑記帖 (Nohhen-zahts)

脳病と心筋梗塞を患っての独り暮し、Rondo-Nth の生活・世相雑記。気まぐれ更新ですが、気長にお付合い下さい。

イケメン考。

2011年10月29日 13時03分35秒 | 社会時評
図書館で、泉昌之のマンガを見つけて読んだ。
『新さん』という作品で、曲がったことが大嫌い、生真面目で不器用
という「昭和」な旧人類、新さん(推定年齢30台後半)のお笑いな物語
である。

巻末解説で、川上弘美さんが平易で上手な感想文を書いている。

「男の人っていうのは、なんだかちょっとずつ『新さん』なんだ。
 少し助平。でもものの本に書かれているほどでもない。
 不精。でも存外こまめなところもある。
 仕事がけっこう好き。でも命をかけたりはしない。
 みえっぱり。でも自分のニンにあわない見栄は張らない。
 頑固。でも意味もなく素直になるときも多い。
 女の子が考えてほしいと思っているような内容のことは、ほとんど
 考えてくれない。
 でも妙なことにこだわって(フリチンの語源とか)ずっと考えつづける。
 
 いろいろな男の人がいて、ものすごく新さんっぽい人もいれば、少し
 だけしか新さん気質を持っていない人もいる。
 でも、男の人はみんな、どこかしら新さん的なところをもちあわせて
 いるんだ。」
 (『新さん』泉昌之著・新潮文庫 解説から引用。)

 新さんとは、昔風に言うところの「いい男」なのである。
それは例えば、フーテンの寅さんの渥美清みたいな人のことでもある。
並メンというより、ブサメンかもしれないが、「いい男」なのである。

川上さんは解説の最後で、「いい男」と「女が好きになる男」は
なかなか一致しない、といっているが、今日言う処のイケメンとは
後者「女が好きになる男」を指している。「いい男」人口は激減し
てめっきり影を潜め、ギャグにしかならなくなった。

「いい男」とは、男という同性から好かれる人物である。
一方イケメンは、異性から支持される男である。逆に考えると、
イケメンは、同性から嫉妬され嫌われる一面をもっていると思う。
だからイケメンは、(多分)、男らしい渋みな「いい男」に学ぼうと
する一面があるように、私は思っている。

イケメンには、顔の造作やスタイルの他に、天性の優れた女性性が
備わっているものである。それがイケメンの素なのである。
だが、真のイケメンとは、「女が好きになる男」であり、かつ
「いい男」でなければ本物ではない、と思う。

男には誰にもきっと、「いい男」の素が何処かにあるものだ。
(勿論女にも、「いい女」の素が、誰にも隠れてあるのだろう。)
もし、自分なりのイケメンを目指すなら、並メンもブサメンも、
イケメンを真似するよりも、裡なる「いい男」を磨くことである。








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