猫のキキとヒゲおじさんのあんじゃあない毎日

『あんじゃあない』って、心配ない、大丈夫っていう群馬の言葉、いい歳こいたキキとおヒゲのどうってことない前橋の暮らしです

やむを得ず、意を決して、「県庁小旅行」を決行しました…

2019-02-08 06:45:48 | あんじゃあない毎日

昨日は、群馬県庁へ出かける用事ができました。ずい分久しぶり、2年ほど前に、県から届いた話を断りに、副知事の反町さんに会いに出かけて以来だと思うんです。
それで、出かける前にJAファーマーズへ夕食の食材を買いに行きました。子ども公園には、もう家族連れの姿が見えてました。

 買い物すませると、いただいた上乾ちりめんがあったんで、胡桃ちりめんなんかを作って時間調整、それから、歩いて行くことにしたのです。意を決しての「県庁小旅行」なんです。
実は、15年前まで、県庁が仕事場だったんです。それなんで、ついでですから、その頃の通勤経路を歩いてみることにしました。
家を出て、上電の踏切を渡って、この路地は一方通行、後から自動車が来ることはないはずなのですが、何度かクラクションを鳴らされた覚えがあるんです。城東町の路地、家を出て最初の道です。

   それか中央前橋駅の見える踏切と広瀬川にかかる桃井橋を渡って、三河町に入ります。街中では、ここと紅雲町の「利根の湯」の二軒だけになってしまった銭湯「成田湯」の脇を通り、亡くなった伯母さんが大好きだったおかみさんがいる花屋の「花こう」の角を曲がります。三河町です。

2月7日の上毛新聞の投稿欄「ひろば」に掲載されていたのは、花こうのご主人の投稿です。ご主人は、子どもたちの健やかな成長を守る社会運動を続けてきた人でなんです。

 

  それから、赤城県道の坂下の交差点へ、ここを渡ると前橋の中心商業地へ入ります。マエバスがまちの中へゆっくりと曲って行きました。
交差点からは、赤城山の荒山が見えています。16年前だったかな、雨の日でした。横断歩道を渡っていたら、赤信号を見落とした軽自動車に跳ね飛ばされたことがありました。でも、ちょいとわけありで、事故にしなかったです、怪我もなかったものですから。

  スズランデパートの南口に続く路地、「紺屋町」って呼ばれている路地を抜けて行きます。入って最初の角、「関処亭」って飲み屋や「シャイニー」ってスナックがあったんです。今はもうありません。関処亭では年間最多来店賞を獲得した覚えがあります。ご褒美は一升瓶でした。

   その先、この路地の角の2階には「アヒル」、奥の方には「ペルル」や「昨日・今日・明日」なんてお店がありました。みんな仲良くしてもらった店なんですけど、今はもうありません。「ペルル」には、よく手料理持ち込んで友人たちと飲み会をやってたんです。もう20年以上前のことになりました。
あれ、米屋の「平野屋」の若旦那の姿が見えます。平野屋さんにもいろいろと世話になってます。
突き当りの角は八百屋の「八百駒」と化粧品とファッションの店「鈴木ストア」、中央通商店街に入ります。

  中央通の八百駒の前に歩行者専用の通路があります。テルサへ続く通路です。そこを抜けると、国道17号線の竪町通りに出ます。真っ直ぐ行くと、朔太郎の生家のあった裁判所通りなのですが、そちらではなく、坂を登って県庁前通りに出ます。
この角の西側には、昔は柴崎薬局と百貨店の亀升屋が並んでいました。通りには、渋川から伊香保温泉に向かう東武鉄道の路面電車も走っていたんです。遠い昔のことです。

 

県庁前通りです。午前10時半ぐらいでしたか、人通りは少なかったです。

 携帯が鳴りました。以前は消防署のあったところに今はマンションが建っています。
「知事さんがお呼びですよ…」、秘書課のTさんの声です。
「只今、消防署前を通過中、しばらくお待ちくださるようお願いしてください…」
「…、………」、電話はぷつんと切れました。
県庁に着いてすぐに秘書課に電話、「只今到着しました!」
「もう、結構だそうです」、プツン。
思いつきの、気まぐれ仕事に付き合わずに、上手に避けることに成功した、17年前の早朝の記憶です。

県庁通りの中ほどに、厩橋城の車門址の礎石が保存されているところがあります。この向こうの方に、私の公務員生活のお師匠さんだった故女屋覚元さんが暮していました。
最後にお会いしたとき、私は肩にキキを載せて散歩していたんです。女屋さんは、「キョウイチ、お前、まだそんなことして遊んでるのか!」と、笑顔で私のことを叱りました。女屋さんは病気入院から戻ってこられたばかりでした。この史跡の向こう側の裏通りでの思い出です。

でもね、女屋さんに笑顔で叱られたこと、今もいろいろ続けています。「やめろ!」とは言われませんでしたから。良いお師匠さんでした。

 そうこうして、県庁に到着なんです。60歳を過ぎてから、この建物に入り込むのは今回で10回目ぐらいではないかと思います。好きでないんです、この建物が…

  ほら、しっかりと監獄か収容所のイメージなんです。うす暗くて…。

 

  用事をすませて、帰りは裁判所通り、風呂川眺めて、今は無き「ゑびす食堂」の建物の前で、カツ定食を思い出して…

  店番のワンちゃんにご挨拶して…
通っていた15年前までは、このあたりまで戻ってくると、狭い路地に紛れ込んじゃったんです。家に真っ直ぐに帰ることって、難しいことでした。
昨日も、まだお天道さんは高かったですけど、当時を思い出して「あおい食堂」へ寄りました。

 

   広瀬川を渡ると、家へ真っ直ぐ帰る気になれます。川って不思議です。
<どこ行って来たの?>、近所の顔見知り猫です。
「ちょいと、県庁まで…」
<ケンチョウ… って何さ?>、猫は県庁なんかに縁がないみたいです。私は、幸か不幸か縁を結んでしまっていたんです。15年前まで…

「サトウさんはどうして県職員になろうとしたのですか?」
訓示していた小寺知事が突然同席していた私に尋ねたんです、新規採用職員研修の場でした。
「給料が欲しかったからで~す!」、考えずに即答できました。
そんなご縁だったんです。あんじゃあなかったんです。

 

   夕食はホウレンソウづくしとなりました。
ほうれん草のサラダはアンチョビ風味のドレッシングで和えて、ほうれん草のクリーム煮はパルメザンチーズを入れて、ホウレンソウのバター炒めはベーコンに付き合ってもらいました。サラダは葉先だけ、葉柄の部分はバター炒めにしたんです。使ったほうれん草は、ちじみホウレン草です。

 ホウレンソウだけじゃ何なんで、牛肉のたたきにソテーしたサヤエンドウを添えました。ホウレンソウいっぱいの夕食だったんです。

そういえばさ、行った先で、「ご旅行でもなさるのですか?」って問われました。
「違うんです、意を決した『ケンチョウ旅行』の最中なんです…」、分かり難い冗談は言いませんでしたンで、あんじゃあない旅となりました。

 

 直派若柳流の若柳糸駒ことユキ子でございます。

祖母の初代若柳吉駒、そして伯母の吉啓、二代目吉駒と昭和12年から続けてまいりました美登利会を引き継がせていただきました。
二代目吉駒の遺志と教えをしっかり守って、一生懸命つとめてまいりますので、よろしくお引き立ていただきますようお願い申し上げます。

4月8日の第75回美登利会の舞台の様子はコチラでご覧になれます。
お稽古場は前橋市城東町四丁目です。詳しくはコチラをご覧ください

 

 「おばあちゃんのほっこりごはん 野村たかあき展」が1月26日(土)から4月7日(日)まで、会場は、前橋文学館の3階オープンギャラリーで開催されています。