都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。論文や講演も。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

北斎-富士を越えて(あべのハルカス美術館):混雑していたが、下絵が面白い

2017-11-16 03:49:05 | 芸術

 大波が見られるとのNHKでも関連番組があり前宣伝が効いたのか混雑。柵がないため、絵にへばりつく人の波。神戸で「フェルメールの青いターバン」より混んでいる。1,500円の入場券を事前にネットで買っておいたため時間の節約になったが、それでも入場まで15分かかる。

 一昨年、ボストン美術館(MFA)で北斎の企画展示を見たが、日本の小布施町の天井板である「濤図」2枚は見たことがない。

 色々あって、北斎は「写実と抽象」、「実物と想像」の両面を感じた。つまりは対象に向かう手法があり、技法として洛中洛外図の粉本(参考となる絵などの資料)のようなものを見て描くのも絵の領域が広い。また、自身でも北斎漫画として粉本を作成している。

 良かったのは

・潮干狩図:パースが効いていて正確

・花見 など:グラデーションのある色彩

・北斎漫画の杜若:「杜若・きりぎりす」もあるが細部に凝りすぎ

・馬尽 馬除:狂歌のお題に従い絵を描く

・百人一首うばがゑとき:百人一首の解釈絵図で絵解きが面白い

・鳳凰図天井下絵:画面を4×4に分割し中心から渦巻、フィボナッチ曲線に似る

・李白観瀑図:直線の多様さで真っすぐな滝を表現

・雲竜図:曲線の龍の質感とバランスが見事

波では

・富嶽百景:波が千鳥に

・阿波の鳴門:渦巻

・今様櫛[キセル:竹かんむり、てへん、金]雛形:波の雛形

・神奈川沖浪裏:有名な爪型波、輪郭線が白、青、水色で変化がある

・濤図と下絵:下絵が面白い

 版画は色なしで白を表現は、水彩画と同じと思った、つまり強烈なハイライトを生みたいなら、周りを暗くするしかない。そのため全体が暗めになると感じた。

 下絵は初めて見た。なるほどと感じた。北斎は下絵と仕上げをどういう姿勢や机で描いていたのか興味がある。

 混雑のなか、マナーはひどい。シルバーと女性グループが多いが、絵の前で女性のおしゃべりとか、リュックがあたるなど。台北の故宮では安全のためリュック(曲がるときにリュックが回りにあたり事故があった)禁止だ。大体、鑑賞するのに荷物を背負うというのは理解できない。疲れた1時間と15分。

 美術展に参加するならそれなりのマナー、鑑賞の仕方と事前の知識、ゆったりした心と服装が必須だ。「鑑賞試験」か「鑑賞段位」でも作ると良いかな

 もっと波を知りたかった


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1 コメント

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日本の色 (阿保玉)
2017-11-16 12:22:13
都会はいいな、と思ってしまうな。
浮世絵の〔青〕この漢字じゃないな、、
今の日常生活では見かけないその青に惹かれた
着物もそうだろうが、繊細な日本の色が失われて行くのは惜しい。
寺社など古い建物から創建時の色は褪せて失われているが、実際の彩色はどんなだったろう、美意識や色の感性が継承されることを願う。

リタイア後の楽しみは、司馬遼太郎の街道が行くの全巻を読むことと、浮世絵、古地図を肴にお気に入りの日本酒を飲むこと
一つの銘柄にしぼるより、地酒をあれこれ探してゆるゆる飲みたい。
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