都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。論文や講演も。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

咲洲庁舎「さきしまコスモタワーホテル」契約解除:いわくつきの案件はうまくいかない、エリアでの用途変更と誘致を、大阪の今後を考える

2020-09-09 03:05:11 | 都市計画
大阪府咲洲庁舎( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E5%BA%9C%E5%92%B2%E6%B4%B2%E5%BA%81%E8%88%8E )基準階ワンフロア484坪 、区分の場合330坪( https://www.officestage.jp/build/1519/ )は近傍のATCと並びバブルの負の遺産だ。東京駅から羽田空港の東端が、大阪市役所からWTCまでの距離と同じだ。つまりは、東京の都市スケールにおいても都心から離れているという立地だ。ちなみに新大阪は4kmであり、東京駅から豊洲(臨海副都心)の距離だ。

 2010年3月8日、当ビルを約80億円(簿価の1割以下)で大阪市から大阪府に売却、府庁としての利用をもくろむ
2011年の東日本大震災による庁舎全面移転断念及び二庁舎構想に変更、耐震や災害対応の難点が判明した

大阪府は手詰まりになりオフィスの空室が埋まらず、当時のインバウンド・ツーリズム景気もありホテル誘致に切り替え、公募( http://www.pref.osaka.lg.jp/yodo/koubojyouhou/sakishima_koubo_6_8.html )により「さきしまコスモタワーホテル」を誘致した。契約内容は18年から20年間、客室371室(1万6千平方メートル 4,800坪 11フロア)の賃貸借契約を締結し、賃料は月3500万円(約7千円/坪)と極めて低廉だ。

その後、コロナ禍もありホテル運営は南港で難航(なんこう)。大阪府は19年10月分から20年7月分まで賃料や光熱費など約3億2000万円が未収のため7月末に賃貸借契約を解除している。ホテルの運営会社は今も営業を続けているが、逆にエレベーター改修費用4億円の返還を求めている。(エレベーターという共用部の改修工事をビル所有者である大阪府が認めたということだろうか?疑問だ)

いわくつき案件はうまくいかないという典型的事例だ。南港の立地から考えても、大阪中心部と対比してホテルの利益率向上が見込めるとも思えない。大阪都心観光から荷物を持って、中央線をニュートラムに乗り換えるなど面倒だ。

 賃料など未収は契約にもよるが3ヵ月で契約解除が多い。さらに、その分と原状回復相当分を敷金とするのが常道だ。これから退去や原状回復の訴訟をするにしても、その間にさらに膨らむ未収金と原状回復工事費をどうするのだろうか。ホテルとしての再活用として運営者を替えたた場合も今のホテル市場の状況(ホテル過剰とインバウンド・ツーリズム見込めず)では茨の道だ。更なる府の負(ふ)の負担となる可能性がある。

 大阪市は本町で本社跡地がタワー・マンションに用途転換し都心居住のエリアとして変身して活気がある。コンパクトな都市を目指すなら、南港は低廉な賃料でのR&Dの誘致と集積形成(ポートアイランドの医療クラスターは成功例だ)や、周辺環境との隔離が必要なバイオ施設などに用途と施設の変更をすべきだ。

 その先の旧北港(夢洲)でEXPO2025予定というが、マストラは間に合うのか。EXPO70は千里中央近くで都心から4kmだったが、今度は夢洲なら10km超だ。心理的・時間距離・集積の分断から立地としては如何なものか。なお、IRのカジノなどはコロナ禍や汚職事件を受け実質棚上げとなろう。当方は投資が好きだが、投機は嫌い、博打の才能は全くないためIRへのコメントへ控える。「絶対行かない」と思っている。(期待値が低い、若し儲かっても博徒と思われるのが嫌なため)さらに、進出予定のMGMリゾーツ・インターナショナルは赤字リストラ中( http://casino-ir-japan.com/?p=27281 )で当面の新規投資は無いと思われる。

 まったく、大阪府はやることが不調(ふちょう)だ、この先借金を増やす負(ふ)動産で動きが取れなくなり不動(ふどう)になるのは困る。

 コロナ禍の今こそ、2眼レフ構想の再来で、東京の集積拡大の欠点をつき「バックアップに大阪都心(新大阪・梅田)」を売り込むのがおすすめだ
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