坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

VOCA展2011 VOCA賞決定!

2011年01月19日 | 展覧会
1994年から毎年開催されてきた「VOCA」(ヴォーカ)展は、40歳以下の平面作品を制作しているアーティストを対象に、美術館の学芸員や美術評論家などから推薦された36名の中から、その年度のVOCA賞とVOCA奨励賞が決定されます。これまで村上隆、会田誠、やなぎみわ他(敬称略)の世界的に活躍するアーティストが受賞し、第一線へと踊りでてきました。
2011年のVOCA賞は、中山玲佳さん(1974年~、大阪生まれ)の「或る惑星」(掲載作品)。横4メートル弱のパネル4枚からの構成による横長の作品です。左側に見られるオオカミの頭の中心にカラフルな線が入っているのが印象的で、闇の中に鹿や羊、鳥が潜んでいます。白く浮かぶ花の傍には色鮮やかな蛇がどくろを巻き、現代では失いつつある原生的生命の力強さを感じさせます。
5年ほど前にメキシコ留学の経験があり、現地の民族的なカラフルな織物や壁画の大作にも触発され自己の絵画の栄養としてきたようです。現代のサファリともいえる探究の成果の今後も楽しみです。
月刊美術2月号・特集〈賞を獲るには理由がある〉を参考にさせていただきました。

◆VOCA展2011/3月14日~30日/上野の森美術館