昨年は自主上映会にはなかなか行けなくて、「同じ映画を見かけたらなるべく家で観る」ことに。
「高知のオフシアター・ベストテン」選考会も、去年同様パスでした。
なので、スクリーンで観たのは、外国と日本合わせて10本。
このブログを始めて以来、最も少ない本数になってます。
【 オフシアターで観た外国映画 】
『追想』(監督:ドミニク・クック 原作・脚本:イアン・マキューアン 2017 イギリス) 原題:On Chesil Beach
シアーシャ・ローナンって、どんな役柄でもリアルに見えるのにいつも感心する俳優さんの一人。(キラキラしてるな~(^^))
http://blog.livedoor.jp/hayasinonene/archives/52924444.html
『ロング, ロングバケーション 』(監督:パオロ・ヴィルズィ 原作:「旅の終わりに」マイケル・ザドゥリアン 2017 イタリア)原題:The Leisure Seeker
邦題もこの老夫婦の旅(の明るさ!)に相応しいと思うけれど、私は原題の方が好きかも(車の名前だというのもいいな~(^^))
http://blog.livedoor.jp/hayasinonene/archives/52953990.html
『花咲くころ』(監督:ナナ・エフクテミシュビリ ジモン・グロス 2013 ジョージア=ドイツ=フランス)
「ジョージア」というのがグルジアの英語読みだと知ってから、まだほんの数年だと思う(それを知ったきっかけも映画で、確か『独裁者と小さな孫』じゃなかったかなあ) ソ連崩壊後、ジョージアの社会がどうなったのかも知らなかった。
なので、内戦・紛争が相次いだ混乱期の92年春~夏を描くこの映画の背景事情は全然分からないまま観たけれど… 主演の少女たち二人の瑞々しさ、のびやかさは、今も記憶に残っている(14歳って、ああいう感じだったよね。洋の東西を問わず…なんだね…)
『私は、マリア・カラス』(トム・ヴォルフ 2017 フランス)
マリア・カラスの歌唱は『永遠のマリア・カラス』でしか聞いたことがないかもしれない自分…(ゼフィレッリ監督の映画、大好きでした。もういないのが信じられない…)
この『私は、マリア・カラス』はドキュメンタリー作品で、マリア・カラス本人の映像と声で、その人生を語ってくれているので、新鮮な気持ちで興味深く観た。
何というか… しみじみ、カリスマ性のある人だな~と。その容姿・歌唱・演技力(としか言いようがない)でオペラ界のスタアになるのも当然と思ったけれど、「マリアとして生きるにはカラスの名が重すぎるの」という本人の言葉に象徴されるような人生というのに、終始「フィクション」を感じたのも本当。(ともあれ「美しい」っていうのは大変な「力」として作用するんだな…と、感心して見とれてました(^^;)
『判決、ふたつの希望』(監督・共同脚本:ジアド・ドゥエイリ 2017 フランス=レバノン)
(ごく個人的な話を少し。その昔(10年間ほど)パレスチナ人の里子がいたことがある。子どもたちは、確かレバノン内の難民キャンプに、家族で住んでいたと思う。単に経済支援をするだけのいいかげんな里親(^^;だったけれど、それでも… レバノンという土地にどこかで親しみ?を感じるのも、この映画でパレスチナ人の俳優さんがベネチアの最優秀男優賞を受賞したと知って、なんとなく嬉しくなるのも、そういうささやかな経験からだとしたら… 「個人」対「個人」の実体験(接触?)には「希望」があるような気がして…)
https://blog.goo.ne.jp/muma_may/e/1ff757b1b35ac9d4975bc53724540e7f
『主戦場』(監督・脚本・撮影・編集・共同制作・ナレーション:ミキ・デザキ 2018 アメリカ)
作り手は、日本での就学・就職経験もあるという日系2世アメリカ人。映画はいわゆる「慰安婦問題」について、さまざまな立場の人たちにインタビューしているドキュメンタリー。各人が望む言語(主に母国語)で話していて、ナレーションは監督自身が英語で行っている… ということだけでも、「慰安婦問題」についての論議を扱う作品としては、かなり珍しいものだと思った。
作り手の考え方がある程度透けて見える?構成・演出になっているので、「中立的な描き方じゃない」と言われそうな気もしたけれど、この問題について人々がどう考えているのかを知ることが出来て、私にとっては勉強になった1本。(家族4人とも興味があるということで、一緒に車に乗り合わせて観にいったという、珍しいオフシアター作品(^^;)
『幸福なラザロ』(監督・脚本:アリーチェ・ロルヴァケル 2018 イタリア)
主人公ラザロを演じた俳優さんの瞳が、あまりに無垢な美しさで… もしかしたらそのことに一番自分はショックを受けたのかも。
http://blog.livedoor.jp/hayasinonene/archives/53946820.html
『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』(監督・録音・編集・製作:フレデリック・ワイズマン 2017 アメリカ)
ワイズマン監督もずいぶんマイルドな語り口になったんだなあ…と。(それにしても、「図書館」というのは文化そのものなんだと改めて知らされた思い。ここまで出来るなんて、凄い!)
http://blog.livedoor.jp/hayasinonene/archives/53985363.html
『リヴァプール、最後の恋』(監督:ポール・マクギガン 原作:ピーター・ターナー 1987 アメリカ)
ジェイミー・ベルは、『リトル・ダンサー』の少年の頃とあまり変わらない印象(^^)
http://blog.livedoor.jp/hayasinonene/archives/54040487.html
(9本)
【 オフシアターで観た日本映画 】
『モリのいる場所』(監督・脚本:沖田修一 2017)
自主上映会ではありませんが、一応スクリーン(昭和の映画館)で観ているのでここにも(^^;
http://blog.livedoor.jp/hayasinonene/archives/52900784.html
『沖縄スパイ戦史』(監督:三上智恵、大矢英代(はなよ)2018)
三上監督作品の『標的の村』を観たときには、想像したこともなかった事実を見せられて、文字通り唖然とした。今回は「そのつもり」で覚悟して?観たのだけれど… 「言葉を失った」のは前回以上だったと思う。
私にとっては都市伝説に近い?ような「中野学校」が、戦争末期の沖縄で(現実に)何をしたのか… 当時を知る証言者の方々の言葉を聞きながら、沖縄についてもあの戦争についても、自分は何も知らないのだと痛感した。
(ドキュメンタリー映画としては、ほとんどミステリーを観るような「謎解き」の過程でもあって、決して堅苦しくも退屈でもないと思います。機会があれば是非ご覧になって下さい)
先の日曜(3月22日)は「オフシアター・ベストテン」選考会でした。結果が翌朝の新聞に出ていたので載せておきます。
昨年県内の映画館以外(オフシアター)で上映された作品は、外国映画72本、日本映画90本。当日の選考メンバーは9人だそうです。(コロナ騒動の中、この数字は眩しい!)
【外国映画】
①『判決、ふたつの希望』(監督:ジアド・ドゥエイリ 2017 レバノン=フランス)
②『バジュランギおじさんと、小さな迷子』(カビール・カーン 2015 インド)
③『主戦場』(ミキ・デザキ 2018 アメリカ)
➃『ロング, ロングバケーション』(パオロ・ヴィルズィ 2017 イタリア)
➃『ロープ 戦場の生命線』(フェルナンド・レオン・デ・アラノア 2015 スペイン)
⑥『記者たち 衝撃と畏怖の真実』(ロブ・ライナー 2017 アメリカ)
⑦『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』(フレデリック・ワイズマン 2017 アメリカ)
⑧『バーニング 劇場版』(イ・チャンドン 2018 韓国)
➈『1987、ある闘いの真実』(チャン・ジュナン 2017 韓国)
➉『恐怖の報酬 【オリジナル完全版】』(ウィリアム・フリードキン 1977 アメリカ)
【日本映画】
①『あの日のオルガン』(平松恵美子 2018)
②『教誨師(きょうかいし)』(佐向 大 2018)
③『沖縄スパイ戦史(三上智恵、大矢英代 2018)
③『愛と法』(戸田ひかる 2017 日本=イギリス=フランス)
➄『在日』(呉 徳洙 1997)
⑥『怪奇大作戦 「京都買います」』(実相寺昭雄 1968)
⑦『菊とギロチン』(瀬々敬久 2018)
⑧『ねことじいちゃん』(岩合光昭 2019)
➈『月極オトコトモダチ』(穐山茉由 2018)
➉『洗骨(せんこつ)』(照屋年之 2018)
個人的にはドイツ映画『希望の灯り』に、ベストテン入りしてほしかったな~と。
(家のTVで観ながら、「これはスクリーンで観たかった…」と痛感したので)
「パジュランギおじさん」「バーニング」と『あの日のオルガン』『洗骨』は
チャンスがあったら絶対観ます!
選考委員の皆さま、おつかれさまでした~(^^)
おいでていただいていれば、
『沖縄スパイ戦史』と
『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』
の順位がもう少し上がっていましたね~(笑)。
出席してたら「スパイ戦史」「公共図書館」には
絶対投票してました。
(ま、1票じゃ順位は上がらなかったかもしれないけど)
とにかく新聞紙上でベストテン発表見てほんとに嬉しかったので
ついこちらにも書いてしまいました。
ありがとうございました。
評価とは別に、去年一番心に残ったのは「希望の灯り」でした。前半ずっと、こういう映画を何年も観たかった、と感じながら観ていました。中盤部分の混沌がなければ、ベストテンに入れていた作品でした。こういう映画が7・8位くらいに入っていたら、選定作品のバランスももっと良かったかもしれませんね。
ヴェンダースの映画が好き、という人には好評だったようです。
「混沌」は元々平気な方だし、「通路で」を意味する?原題も
あの映画の雰囲気にピッタリでいいなあ…なんて。
(でも秀作揃いだと7,8位に入るのも難しいのかな。仕方ないな~)
私は、ヴェンダースというと『ベルリン・天使の詩』しか知らないんですが
録画したままになってる『パリ、テキサス』もそういえば彼だったと。(早く観なくちゃ)
硬質で冷たい手ざわりの叙情性…?が好きな者にとっては
こういう映画は記憶に長く残ると思います。
ベストテンは別にしても、観られて本当に良かった映画でした。