眺めのいい部屋

人、映画、本・・・記憶の小箱の中身を文字に直す作業をしています。

『LION / ライオン ~25年目のただいま~ 』

2018-06-09 18:43:49 | 映画・本

ちょっと長めの「ひとこと感想」その15。

実話に基づく」映画は最近多い(と思う)けれど、これは中でも驚かされた1本。

「インドの5歳くらいの男の子が迷子になり、自分がどこの誰なのかもよくわからないまま、オーストラリアのタスマニア島に住む夫婦に養子として引き取られる。大学生になった彼は、ふとしたきっかけで古い記憶の一端が蘇り、友人たちの助言もあって、インターネットを駆使して自分の出生地を探し出そうと決心する・・・」

故郷と親族を探す旅、養父養母の理解ある優しさ、出生地と養子先の国との信じられないほどの格差・・・以前自主上映会で観た『約束の旅路』を思い出した。

行方不明になる子どもが年間8万人以上というインドの現状を知ると、どれほどの「実話」が存在するかも、日本に住む私などには想像すら出来ない。けれどその中には、この映画の主人公のように「干草の山から1本の針を探し出す」のに成功する人もいるのだろう。そう思うと、人生は何が起こるかわからないけれど「捨てたもんじゃない」のかもしれない・・・とも思う。

長い探索の後、主人公は痛ましい「過去の事実」にも行き当たる。

それが(たとえ幼い頃とはいえ)自分のせいだったと知ったときの驚愕! この人はそれにどう耐え、どう噛み砕いたのかは、映画からはわからなかったけれど、それでもラスト・シーンの少年の屈託の無さを見て、私は「これで良かったのだ・・・」と、ほんの少しだけ元気になって、ポタポタと歩きながら家に帰ったのを思い出す。(「観客」の勝手な言い草だけれど、主人公の実のお兄さんも、養子としてのお兄さんも、決して「不幸」だったとは思いたくない・・・そんなことも考えながら)



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