むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

チベット語研究者は、浮世離れしている人ばかりなのだろうか?

2008-07-13 16:39:32 | 世界の民族・言語問題
笑える語学教材「CDエクスプレスチベット語」「TYS French Grammar」に対して、チベット語研究者とみられる人からコメントがついた。

>ギャルというのはチベット演劇でいう「道化」のことですが。
>本文の注釈単語を見ればちゃんと出てきたと思います。

ギャルが、チベット演劇の役柄の一つだなんて、そんなこと、初心者にわかるわけないでしょ?
確かに「注釈単語」には出てくるが、チベット文字だけでローマ字転写もないし、「歌舞劇に登場する翁」としか書かれていない。しかも、スキットにある挿絵は「ギャル」ではない「狩人の仮面」で、ギャルそのものの絵はその4ページ後に出てくるが、チベット歌舞劇全体についての簡単な説明もない。
ギャルがどんな役柄なのか、それはあなたや星氏のようなチベット語研究者にとっては常識なんだろうけど、エクスプレスを読むようなレベルの初心者にとっては、何のことかわからないんだよ!
チベット語やるのに、まずチベット文化について深く予習しておけとでも?でも、そんな本ないでしょ?あなただってチベット文化について啓蒙するような努力を何もやっていないでしょ?あなたは何か本を書いたの?

普通はその文化を理解したいから、言語をまず勉強するのであって、逆はほとんどありえない。で、その言語の入門書のしかも第4課というやり始めの部分で、いきなり当たり前のように専門用語が出てくるのは、はっきりいって感覚が狂っている。

そもそも、入門書をやったばかりの片言の外国人がいきなりチベット語で「あの年かさのギャルは面白いですね」なんて言ったら、不自然だろ?

普通は歌舞劇に出くわして「あれは何をやっているんですか?」「歌舞劇です」「あの面白い役柄は何ですか」「ギャルです」「ギャルってどんな設定ですか」みたいな進行になるだろう。

エクスプレスを利用するような初心者は、チベット歌舞劇なんて知らないんだから、そこに出てくるような専門用語を使いたいなら、絵入りで演劇について一通り説明するコラムか何かが必要ではないのか?

あなただって、もし台湾語の入門教材にいきなり「あのkong-ke3は小ぶりですね」みたいな表現があったら、面くらうだろう。

エクスプレスというのは、初心者がやるもの。入門教材にいきなり伝統演劇の役柄を出すのは、はっきりいって非常識。中級レベルの教材なら、わかるが。
そんなこともわきまえていない人が入門教材を書く資格はないというべきだろう。


>あと、「日本語がやたら上品」なのは、ラサ方言が日本語以上に複雑な敬語システムを持っていることの反映であると思います。
>敬語を持つ言語の場合、外国人はなるべく相手に失礼のないよう、敬語から学習するのが普通だと思うので。

これは、あなた、ズレているよ!
チベット語だけが敬語が発達していると勘違いしているようだけど、それは視野が狭いだけ。
現代日本語以上に複雑な敬語システムがあるのは、別にチベット語に限らないんだよ。
朝鮮語もそうだし、ジャワ語もそうだし、江戸時代までの京の中流以上の方言だって現代日本語よりも発達した敬語システムがあった。

だからといって、朝鮮語の入門教材の日本語対照訳に、まるで千草忠夫に出てくるような「華族夫人」が使うような古臭い表現が出てくることはない。
「チベット語自体が古風だから」という言い訳は通用しない。これは入門教材であって、専門書や文学書じゃないのだから。

星氏が、浮世離れした東京山手の旧中産層を絵に描いたような生活をしているから、こうなるんだろうけど、現在の学習者にとって違和感があるような日本語を入門教材で使うのは、やっぱりおかしいと思う。


もっとも、星実千代氏の入門教材は反面教師としては使えるけどね。

>これなら大学書林の会話帳をみっちり覚えた方がいい。

カワチェンの入門教材はどうですか?
あれのほうが、基本文をみっちり習得させるので、入門教材としてはまだマシだと思った。

でも、いずれにしても、チベット語入門書には、あまり手ごろなものがないのが実情だね。チベット語の教法がこなれていないのかも。
ほかに、入門教材がわかりにくくて、文法がこなれていないように見える言語としては、タガログ語、チェコ語がそうだけど。
チベット語をやってみると、アラビア語のほうが文法もこなれていて、はるかに取っ付きやすいと思った。

これでは、日本でチベット支援やっている人の多くが、英語で接近しているのは、仕方がないと思う。そういう意味では、チベット語に詳しそうなあなたに、チベット語文法をもっとわかりやすく構築する作業をやってもらいたいと思う。私ですら音を上げるような状態だと、チベット語は永遠に相手にされない。それは外国人のチベット語研究者に責任があると思う。

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