ここ最近様々な年代層のオーナー様達とお会いして楽しい井戸端会議をさせて頂いているのですが殆どの方は
MT-DRACOはショップと思われているようなので今回はMT-DRACOブランドの経緯をちょっぴりご紹介したいと思います。
アパレル企業にて企画MDを20年程経験後に子供のころから大好きだったクルマ関係・・・ それもオリジナルスポーツカー製作 ・・・
の仕事をしたくてHKSの社長様宛にいきなりお手紙と履歴書を送ってから10年程お世話になりました。
当初は営業統括的な職制だったのですがきっかけはクラシックMINI用のOEMマフラー製作でした。
要するにマフラー開発部署の方々にとって、MINI専門店の社長さん達(当初は8社だったかな・・)の依頼内容が今一判らないと云う事で
私に出番が回りまして(実はアパレル時代に英国に2年間ほど島流しの研修生をしてましてMINIは1100のクラブマン・MINI1000
等々乗り継いでたり・・)クラシックMINI用内外パーツは自身で幾つも装着経験が豊富にありまさに仕事が趣味で遊び状態に・・
マフラー開発にあたってまずは8社のMINI専門店社長さん達から要望を取材、結果おっしゃる事は様々で・・
結局、これはやりたいようにやるしかないかなと何だかんだで10カ月以上も費やして人生最初のマフラーを完成でした。
開発当初、口径の異なるパイピングを試作して車内だけでなく走り去るマフラー音を耳で聴きながらの開発方法に
周りは多少驚いていた記憶があります。
このVALTAINマフラーはその後サイド出しやら純正置き換えフロントパイプやら更に俗称毒キノコ型パワーフローまで開発。
特にこのむき出し吸気系は私からの提案にて開発したのですが当初はMINI専門店社長様達はけんもほろろで
「ダメダメ、むき出しの吸気系は売れないし、たいした効果が無いヨ」なんて言われて結局自身のリスクで金型製作して
作ったりしたのは今は昔話です。
この辺りの経緯は雑誌等では多少ニュアンスが異なる記事を目にしますがまあエンドユーザー様達からの支持があると状況は180度
変わる事を身をもって経験でした。
クラシックMINIに関してはこれ以外にも四国のオートサービス合田さんの依頼でCOOPER'S LEGENDブランド立ち上げお手伝い。
このネーミングとブランドロゴも独断で作ったりしたのも今は昔ですね。
この往年のクーパー用マフラーの復刻版デザインの製作も色々な意味で苦労したマフラーですが
要するにマフラー太鼓部分に蓋のパーツが無く、金型を起こして手作業にて絞り加工する中々下請工場の職人さん達の協力なくして
製作出来ない代物で現在も私の8ポートMINIで愛用している逸品です。
余談ですが前後の絞り形状による音質変化が通常の形状とは明らかに異なっていたのは不思議・・・
この後、立場的には相変わらず営業関係の統括が本業でしたが何故か通常の国産車以外のちょっと変わったパーツ開発は
殆ど私の社内サイドビジネスに・・
当時、仕事柄ヤマハAM事業部とのお仕事を幾つか対応していてヤマハにお勤めのVIVIOオーナー様からの熱い要望で
VIVID VIVIO CLUBというオーナーズクラブ向けにオリジナルマフラー製作を担当。
マフラーだけでなく専用のプレートを製作をしたりと、これまた通常の開発スケジュールとは異なる長期のマフラー開発に・・
更には軽自動車初体験となったのがビート用のOEMマフラーでこのマフラーの開発コンセプトは低回転域のトルクは無視・・
高回転での出力と回転の伸びを最重要視して他のマフラー同様?!に約6か月程掛けて何度も試作を繰り返して製作しました。
因みに既存マフラーの開発、新車発売後に車両を手配し2週間ほどでレイアウト(私的には配管工事・・・)そして2か月後には
発売となり当時は追加派生車種等も多かった為マフラーだけでも年間200品番近いものがリリースされていたように思います・・・
http://www.hondacars-senba.co.jp/mafura-.htm
このビート用マフラーですが性能だけでなくマフラー外観の見た目やらレイアウトに関してはかなり苦労して開発したのが懐かしいですね。
その後次々と舞い込む拘りOEMの仕事や(特に国産車の場合はメーカー系ブランドや1次純正パーツ、
果てはメーカーライン装着パーツ等々)インポートカー向けOEMは殆ど全て担当したように思います。
マフラーのサウンドチューニングに関して、単筒レゾネーターを使い始めたのはSIFOさんからの依頼で開発した
ルノークリオRS用マフラー辺りからと記憶してます。
このレゾネーター、社内の企画会議では営業関係から「カッコ悪いから売れない!」的な意見が多く中々陽の目を見なかったのですが
カッコ悪いならカッコ良くすれば良いでしょ! というのが私の意見で敢えて採用。
特定の低周波のカットにはかなり効果的でその後幾つもノウハウ収集しながら開発した覚えがあります。
このSIFOさんのクリオRS用マフラーのテール出口デザイン、面白い逸話話として・・・
テールのオーバル形状は当初あまり良い印象を持ってもらえなかったのですが結局本国ルノースポールの年配エンジニアの
方の呟き・・・ 「フムフム・・・ 往年のマフラーテールデザインだね~」の一言で採用となったとか・・
事の真意は藪の中ですが私的には確信犯で正に60年代のフレンチレーシングカーからのインスピレーションだったんですね~
テール部分のステンレスプレートのシリアル番号打刻には結構苦労した愛情こもったマフラーでした。
もっとも、アイドリング時の振動には最後まで悩まされたのも事実です。
これ以降、OEMでなく自らの提案にて既存営業部とは別にメーカー向けのお仕事と拘りインポートカー向け企画を
メインにSP営業部というネーミングで別事業部を立ち上げ事務所も富士宮から新横浜に移転。
今振り返るとなかなかアクティブな毎日だったように思います。
マフラーに関してはその後アルファロメオ・プジョーそして本命の?!LOTUSへとなるのですがこのお話は又別の機会に・・
結局、貴重な経験を積み重ねてきたわけですがビジネス優先ですと当たり前ですが最終的には売上と利益の結果が重要で
常に拘りと妥協の中で仕事をしてきてピュアに自身が心底欲しいと思うパーツ開発を夢見るようになったのはある意味
自然な成り行きかもしれませんね。
その後、HKSを退職してケン奥山氏のKO7・KO8のオリジナルスポーツカー製作のお手伝いをきっかけに
現在に至るのですがMT-DRACOブランドは私自身が本当に乗りたいクルマで、本物を見極めるオーナー様に
『The best quality』ですと云える モノ造りを目指して琴線に触れる心地よさを提案出来ればと考えてます。
小さいながらも企画・開発メーカーブランドです。