moving(連想記)

雑文(連想するものを記述してみた)

アイ・ロボットを見て思うこと・・・

2005-08-12 | エッセー(雑文)

原作のIsaac Asimov(1920-1992)「I,ROBOT」の後半部の章
「迷子のロボット」「逃避」「証拠」「避けられた紛争」を
インスパイヤした作品
1、ロボットは人間に危害を加えてはならない。
また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
2、ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。
ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
3、ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、
自己をまもらなければならない。
これらロボット工学三大原則には、すべてのロボットが必ず従うはずだった。
この三大原則の第一条を改変した「迷子のロボット」事件に
ロボット心理学者カルヴィンが挑む原作にたいし映画では、
刑事スプーナー(ウィル・スミス)がアクション部分を担当し、
カルヴィンは工学博士のような立場になってる。
アルフレッド・ランニング工学博士が殺人事件で亡くなり、
その容疑者としてロボットNS5型サニーに、同時にロボット工学三大原則の
ロジックのポテンシャルによる優先順位の機能に疑いがかかる。
そしてサニーの逃亡により・・・社会システムの根幹ブレインにも・・・。

ロボット「robot」の語源は、
1920年にチェコスロバキアの作家「カレル・チャペック」が、
機械文明の発達と乱用に対する批判をテーマにした戯曲
「R・U・R(ロッサムの万能ロボットの略)」の中で用いた造語である。
この造語は、チェコ語で強制労働者を意味する「robotnik」、
強制労働を意味する「robota」などの語幹からである。
また「robota」は、ドイツ語で仕事を意味する「Arbeit」と同源の言葉である。
一説にチェコ語で、労働や苦役を意味する「ROBOTA」に由来させた命名は、
カレルの兄ヨゼフらしい。
(「ロボット」に登場するロボットは、化学成分が違うものの血管や内蔵がある、
機械人間(アンドロイド)に近いイメージだったようだ。)

ロボットには労働奴隷という意味が本来の意味であり、「I,ROBOT」
私はロボットと訳すと、私という語義にも私属(家内奴隷)という意味が
あるのだから、その機械に善良という健康なイメージをもたせた
「奴隷コンプレックス」は徹底していることになる。
さらに、ウィル・スミスの黒人であるということが、かつて「労働奴隷」で
あった人間・存在者を浮かび上がらせる。
昨今の企業内における派遣・フリーターの差別労働、それに伴う
若者のニート増加という現象は、今まで隠れていた「Arbeit」の語義を
蘇らせる体制が近づいているということかもしれない。
原作ではロジックの戯れ、ジレンマを浮き彫りにする面白さがあるのだが、
映画では、エンターティメントらしく、個人の自立に向かう姿勢を、
謳いあげるという方向に、大きく傾いているようだ。
ロボットというテーマには、ラ・メトリ以来の人間機械論にも
すべりこむ面白さがあるので、もう一工夫映像表現が欲しかった。 
ロジック的な展開は最近のプルートや古くはアトム、キカイダーと
類似、シミュラクルするのはしかたがないが、
機械奴隷、管理される社会的横暴さをテーマにしたアニメ「ロボッツ」のほうが、
西洋が「東洋的体系知」に接近したことの、ポストモダンという状況
のあらわれであるかもしれないので、今風の時代感覚の
テーマとしてふさわしいかもしれないし、「I,ROBOT」原作小説のほうが、
そういう意味では、より現代を素描してるように思える。
(特に地区リージョンという統括管理が、マシン陽電子頭脳により
管理されることの未来像は、原作では肯定的展開になってる。
映画では陽電子頭脳に管理されることに否定的であるが・・・。)


(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%83%83%E3%83%88%E5%B7%A5%E5%AD%A6%E4%B8%89%E5%8E%9F%E5%89%87 を参照)

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