moving(連想記)

雑文(連想するものを記述してみた)

「コープス・ブライド」を見て

2006-03-15 | エッセー(雑文)

corpse bride 77分
製作/監督
ティム・バートン
声出演
ビクター:ジョニー・デップ
コープス・ブライド(エミリー):ヘレナ・ボナム=カーター
ビクトリア:エミリー・ワトソン
ネル:トレイシー・ウルマン
モーデリン:ジョアナ・ラムリー
フィニス:アルバート・フィニー
牧師:クリストファー・リー
ウィリアム:ポール・ホワイトハウス
ミセス・プラム:ジェイン・ホロックス
バーキス卿:??

全長30cm程度の人形によって、ヒトコマづつ撮影される方法は
昔ながらのパペットアニメであるが、4~5cmの顔のパーツに
表情の変化を加えられる精密な機械仕掛けがほどこされている。
さらに、最新のコンピュター技術を駆使し、計算されたアングル
撮影の組み合わせを可能とし、製作時間を短縮しているそうである。
それによって、フルCGに負けない滑らかな動きと、パペット独特の
質感を表現できたそうだ。

物語はビクターが政略結婚の格式に疲弊し、逃避するところから始まる。
偶然迷い込んだ森で、コープス・ブライドに結婚を申し込むことになり
生きたまま死者の世界へ引き込まれてしまうが、
政略結婚ながら、ビクトリアとビクターにはわずかな出会いの間に
愛情が芽生えていたのである。
その愛情の真摯な態度に、コープス・ブライドの心は揺れ動き、
そんな時、エミリーを殺害したバーキス卿の正体が明かされて・・・。

このパペットアニメでは色彩表現にもこだわりがあり、
単調なモノクロ調の色彩によって、ビクトリア朝時代を参考に、
固定的なイギリス的上層社会をモデルとした「生者の世界」を描写しており、
それと反対にカラフルな色彩によって、「死者の世界」は下層社会でありながら、
自由度の高い開放的な社会として描かれている。
上層社会を規則に呪縛された不自由で閉鎖的な社会と捉えるのは
伝統的な物語性であるが、下層社会に死者の世界を重ね、
死者の世界でありながら、色彩を派手にし、音楽もバラエティに富み、
開放的で自由を謳歌している様子を演出する工夫は、斬新的かもしれない。
ただ、下層社会が自由度の高い社会とするのは、やはり伝統的な
コンセプトの物語性なのである。 
物語の全体的なテーマは愛と自由であるが、それは能動的であることが
前提条件のようであり、社会道徳的な物語に終着しているのは、
児童学生を主な観客として、想定し製作されたものだからかもしれない。


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