goo blog サービス終了のお知らせ 

世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

モンマルトルの風車

2016-04-06 07:24:08 | 霧の風景


フィンセント・ファン・ゴッホ、19世紀オランダ、後期印象派。

この画家は天使である。風景を描くのが好きな画家だ。存分に世界を飛び回ることが好きなのだよ。後の画業は霊的邪魔がふんだんに入って苦しそうに歪んでいるが、この作品にはまだそれが少ない。本来の彼が現れている。荒いタッチだが形の真実をとらえるのがうまい。空は高く澄み渡っている。すがすがしい彼の心を見るようだ。






  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

乳白ガラスの花瓶に差したスイセン

2016-04-05 05:52:55 | 霧の風景


アンリ・ファンタン・ラトゥール、19世紀フランス、写実主義。

この画家は植物を描くことに優れている。スイセンは清らかに高く、挑戦的な花だ。その花の魂がみごとに描けている。植物存在というものは、美しくも卓越した霊魂の持ち主なのだ。ものをいうことができなくとも、その場から動くことができなくとも、美しい愛によってすばらしい活動をしている。画家はそれを知らず知らずのうちに感じて、絵に描いている。人間の感性の可能性を感じる作品である。






  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

猿とともにいる自画像

2016-04-04 07:39:59 | 霧の風景


フリーダ・カーロ、20世紀メキシコ、女流。

美しい女性だ。瞳に強い魂を感じる。痛々しいほど傷ついているが、それに全霊で耐えている。ともにいる猿は、どことなく夫であるディエゴ・リベラに似ている。頭をしばっている赤いリボンが、猿とつながっているということが暗示的だ。女性の繊細な愛の気持ちを理解できない男は、猿のようなものだ。愛しても報われないどころか、自分を否定し続ける男を、それでも愛しているという女性の狂おしい心の中に、この女性は立ち尽くしている。






  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マグダラのマリア

2016-04-03 07:11:33 | 霧の風景


アルテミシア・ジェンティレスキ、17世紀イタリア、バロック、女流。

形の美しさだけではない女性存在の魂を感じる作品である。画家は若い頃に男によって凌辱されたというむごい経験を持つ。男は時に、女性存在のすばらしさ、美しさに驚き、それを自分のものにしようと暴力的に支配しようとする。そして女性を無理やり自分のものにしてしまうと、とたんに女性を馬鹿にし始める。だが女性存在の魂は男のものではない。それは女性自身のものなのだ。自分の存在を汚され辱められた人間の激しい苦悩を、この作品は強く表現している。まことに美しい。






  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

放蕩息子の帰還

2016-04-02 07:26:14 | 霧の風景


バルトロメ・エステバン・ムリーリョ、17世紀スペイン、バロック。

麗しい光景だ。放蕩の限りを尽くして帰ってきた息子を、父がとがめることもなく温かく迎えいれる。これはイエスの心と言ってよい。あなたがたも自己に目覚め、自己存在の真実の故郷に帰るとき、このようにして迎えられることだろう。スペイン出身のこの画家が描く情景は温かい。放蕩息子を受け入れる人々がなんの屈託もなく描かれている。犬さえもが尻尾を振っている。画家を育ててきた環境がよかったのだろう。






  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

地獄

2016-04-01 07:25:43 | 詩集・空の切り絵

セックスがしたいんです
セックスくらいしか
いいものがないんですよ
馬鹿の世界には

とびきりのいい女と
寝たいんです
馬鹿みたいにきれいな女が
欲しいんです

でも そんなの
一瞬なんだ
えらい苦労して
馬鹿みたいなことをして
やっと女を手に入れて
セックスをしても
いいのは一瞬なんですよ
すぐに終わるんだ
女もしらっとしてる

馬鹿みたいだって感じで
いやなことをして
セックスをしても
なにもないんだ
いいことなんて

こんなことはあほなんだって
おれも馬鹿みたいで
つらくって
つらくって

また
セックスがしたくなるんです




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする