何事につけ、能率のことを考えてしまうのは、この存在が10代の頃に受けた教育のせいだという気がする。
かのじょが10代のころ一緒に住んでいた叔母は、いつもかのじょを馬鹿にしていたからね。
家業の手伝いなど、好きなようにかのじょを利用していたくせに、何にもほめなかった。何しても足りないやつだ、できないやつだと馬鹿にしてばかりいた。
だからこの存在の心の中には、いつも焦りがあるんだ。自分が何かに役立っているかどうかを至極気にする。
役だっているも何も、今や人類の救済を大きく展開しているんだがね。それでもいつも、足りない足りない、もっとやれと、誰かに言われているような気がするのだ。
あの叔母さんの呪いかもしれない。
子供の頃に受けた傷というのは、なかなかに治らないものだ。