彼女の絵画表現における技術は簡単なものだ。
だが彼女には普通の人間に描けないものが描けるので、人は彼女の描いた絵に強く惹かれる。
この絵はかのじょが、釈尊の似姿をこの世で表現したいと願って描いたものである。彼女の絵の代表作と言ってよい。
かのじょの釈尊への愛を表現したこの絵には、釈尊の真実が現れている。あまりにもやさしい微笑みだ。
しかしこの、どこかはかなげな雰囲気は、どちらかといえば釈尊ではなくかのじょのものだ。釈尊はもっとどっしりとしている。
かのじょは植物系の天使であったがゆえに、この人間世界においては、たいそう印象が明るく、影が少なかった。それゆえに人には、かのじょがとてもはかなげに見えた。
この絵は、釈尊とかのじょの愛の結晶である。