このうさぎ竜は、わたしにとっては自分のシンボルマークのようなもので、よく絵に描いていますが、このたび彼のために小さなお話を書いてみました。
彼がこの世に生まれたのは確か、1996年のこと。もう16年も前ですね。当時やっていた同人誌の付録として作った、便箋の中で生まれました。便箋のデザインの小さな空白を埋めようとしたら、何となく、うさぎの耳をつけた竜の姿が出てきたのです。それがこれ。
便せんの一番下に、小さい白い竜みたいのが見えるでしょう。これが、うさぎ竜の一番最初の姿です。まだ立て髪は少ししかなくて、白い翼と長い耳を持つ小さな竜でしたね。この罫線の下の空欄に、何か描かなきゃと思っていると、なんとなくこの姿が思い浮かんできたのです。それからのずっと長い付き合いだ。フェイスブックのアルバムの小品集には、絵葉書用のペン画が入ってます。これもかなり古いうさぎ竜。昔は、白い毛皮の間に、青く透き通った鱗もちらほら見えていたし、額に小さな角なんかもある。でも今は、金色の立て髪の他はみんな真っ白な毛皮です。翼は白い鳩のよう。目は紅い。時々、首にリボンを巻いたり、宝石のついた首飾りをつけたりしています。
昔、同人誌で、「ラッキィ・ラビット・ドラゴン」というタイトル(あるいは幸せのうさぎドラゴンだったかもしれない)で、うさぎ竜のお話を書いたことはありますが、今回のお話は、それとはまったく別のお話です。同人誌に書いたお話の方はもう、ほとんど忘れちゃったな。でも、今回のものと比べると、だいぶ違うことはわかります。最初に書いたお話は、うさぎ竜がどうして生まれたかと言うお話だったかと思うんですが。あれは色々と無理なこじつけがあったりして、作品としてはちょっと拙かったと思います。
どっちかというと、今度のお話の方が気に入っているので、こちらがほんとのうさぎ竜のお話にしたいと思います。これからも、うさぎ竜はいろんなところで出てくると思う。いろんな意味を背負って、いろんな仕事をしてくれると思います。
うさぎのように弱く、竜のように強い、うさぎ竜。またうさぎ竜のお話が、できたら、ここで発表してみたいと思います。