瑠璃の首輪をした犬を
バラの木の下に
待たしているので
わたしはもうそろそろいかなくてはならない
我が家の粗末なソファに座った
雪空の太陽がいう
お茶を入れるために
お湯をわかしていたわたしは
あわててひきとめる
晴れた空に雪が降る日には
どこのバラの木に犬をかくすか
教えてほしかったからだ
応接間は雪雲のかけらでいっぱいだ
だのに太陽は青白くかがやいて
「ではお茶を一杯いただいてから」
と小さく頭を下げて言う
少し熱すぎたお茶をすすりながら
わたしは率直に尋ねる
犬はどこの木の下にいるのですか
しかし太陽は柔らかに笑うばかりで
何も教えてはくれない
教えてください
犬がいれば助かるかもしれない
愛を知らなかったものが
愛し始めるかもしれない
青白い雪空の太陽は
微笑みながら厳しく目じりをあげる
そして、あきらめないということは、
よいことです、という
太陽の犬は白い柴犬で
庭先の枯れかけた白バラの下にいた
わたしは太陽が犬をつれて出て行くのを
黙って見送った
わたしはバラの木の一枝を折りながら
幼女のように心細かった
塀の向こうには日がさしているのに
風の中を雪が舞っていた
バラの木の下に
待たしているので
わたしはもうそろそろいかなくてはならない
我が家の粗末なソファに座った
雪空の太陽がいう
お茶を入れるために
お湯をわかしていたわたしは
あわててひきとめる
晴れた空に雪が降る日には
どこのバラの木に犬をかくすか
教えてほしかったからだ
応接間は雪雲のかけらでいっぱいだ
だのに太陽は青白くかがやいて
「ではお茶を一杯いただいてから」
と小さく頭を下げて言う
少し熱すぎたお茶をすすりながら
わたしは率直に尋ねる
犬はどこの木の下にいるのですか
しかし太陽は柔らかに笑うばかりで
何も教えてはくれない
教えてください
犬がいれば助かるかもしれない
愛を知らなかったものが
愛し始めるかもしれない
青白い雪空の太陽は
微笑みながら厳しく目じりをあげる
そして、あきらめないということは、
よいことです、という
太陽の犬は白い柴犬で
庭先の枯れかけた白バラの下にいた
わたしは太陽が犬をつれて出て行くのを
黙って見送った
わたしはバラの木の一枝を折りながら
幼女のように心細かった
塀の向こうには日がさしているのに
風の中を雪が舞っていた