日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

この季節の楽しみ 2020(13)

2020-07-29 22:05:34 | 野球
長距離移動を悪とみなす風潮を受け、多くの県大会において地区予選と本大会が分けられる以前から、北海道では支部予選という仕組みが採用されてきました。道内に10ある支部毎に予選を行い、勝ち抜いた南北各16強が本大会に進出するというものです。このblogでは「支部予選総括」と称し、支部毎の代表枠とそれを争うチーム数の関係を通じて、北海道の高校野球の変遷ぶりを見てきました。単なる数字遊びというなかれ。全国に先駆けて過疎化が進む現地の様子を定点観察することにより、意外なことにも気付くものです。選手権が「中止」に追い込まれた今季、いわば参考記録としての扱いではありますが、各支部の結果は次の通りでした。

空知 13:2=6.50
旭川 18:4=4.50
名寄 8:2=4.00
北見 12:2=6.00
十勝 18:4=4.50
釧根 12:2=6.00
平均 71:16=4.44

函館 15:3=5.00
室蘭 19:3=6.33
札幌 56:9=6.22
小樽 10:1=10.00
平均 100:16=6.25

全道 171:32=5.34

前年の結果は次の通りでした。チーム数が増えたところは一つもなく、北見と小樽以外の支部では減ったということになります。北北海道では代表枠の再配分も行われ、空知、釧根両地区の枠が減らされて、名寄と十勝に回りました。これに対し、南北海道では札幌への一極集中によって再配分の余地がなくなり、一昨年から1枠に減らされた小樽の激戦ぶりが際立ちます。

空知 15:3=5.00
旭川 19:4=4.75
名寄 9:1=9.00
北見 12:2=6.00
十勝: 19:3=6.33
釧根 13:3=4.33
平均 87:16=5.44

函館 18:3=6.00
室蘭 20:3=6.67
札幌 57:9=6.33
小樽 10:1=10.00
平均 105:16=6.56

全道 192:32=6.00

数え始めた九年前の状況を示すと次の通りです。

空知 17:2=8.50
旭川 22:3=7.33
名寄 12:2=6.00
北見 21:3=7.00
十勝 23:3=7.67
釧根 21:3=7.00
平均 116:16=7.25

函館 25:3=8.33
室蘭 27:3=9.00
札幌 62:7=8.86
小樽 14:2=7.00
平均 128:15=8.53

道内10支部の中でもとりわけ早く衰退した名寄、北見の両支部に下げ止まりの傾向が見えてきた一方で、釧根のチーム数が12にまで減り、とうとう北見に追いつきました。九年前と比べた場合、函館で四割、室蘭と小樽で三割近く減っている点も特筆されます。過疎化、少子化、野球離れの三重苦を考えれば、いずれ他支部に波及するのも時間の問題ではありました。巷で話題の「第二波」が、札幌以外の各支部にもいよいよ押し寄せたことになります。
ここまで減ると、数年前から指摘している南北両大会の維持もいよいよ覚束なくなってきます。去年に比べ南北合わせて21チームも減少したことにより、183チームの大阪、182チームの愛知、175チームの神奈川を下回ることとなったからです。全国区の強豪がひしめくこれらの大会との均衡という観点からしても、北海道に二代表を割り当てるべき理由は既に失われました。

そのようなわけで、十年来の傾向は受け継がれ、近年頓に顕在化した問題も依然として存在します。それらに加えて新たな問題も浮上してきました。来季以降を今までの延長で考え得るのかということです。
「中止」となった選手権については、独自大会という形で埋め合わせが図られました。しかし、一連の騒動に端を発した出場辞退が連日出ている状況で、秋季大会が例年通り戦われるとは思えません。これは、来年の選抜も開催されない可能性が高いということを意味します。甲子園という目標が失われることにより、野球を志す少年が減りこそすれ増えることはないでしょう。その状況が数年単位に長期化すれば、高校野球という文化に少なからぬ影響が及ぶのは避けられません。
いずれ起こるといわれたことが、病原体の出現により十年早まったという話を最近各所で耳にします。高校野球も同じ道をたどることになるのでしょうか。一年後の変貌がどうなっているかも気になります。
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