日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

この季節の楽しみ 2020

2020-07-12 19:42:31 | 野球
TVはもちろん新聞もポータルサイトも一切見ない「新しい生活様式」が定着してからというもの、世の中の細々した事共にはすっかり疎くなりました。その一方で、片隅に残っていたことが一つだけありました。「中止」された選手権の埋め合わせとして行われる、各都道府県の「独自大会」なるものです。
今更ながら調べたところ、1日に岩手で緒戦が戦われたのを振り出しにして、今日までに19大会が開幕し、次の週末には倍増して最盛期を迎えます。いずれの大会でも例年の九割方かそれ以上が参加しており、規模の点でもほぼ変わりません。つまり、地方大会として見た場合には遜色ないということです。
もちろん、何もかも同じというわけにはいきません。事実上の無観客試合とされることは周知の通りとして、延長戦が問答無用のタイブレーク制になったり、一部の地域で7回制に短縮されたりという違いもあります。趣味的な見地から特筆すべきは組み合わせの変化です。北海道の例に倣い、地区予選と本大会に分けるところが相当数出ているのは、長距離移動を悪とみなす世知辛いご時世の表れでしょう。長野でも、中信、南信、北信、東信の四地区毎に二チームずつ代表を選ぶという形に変わりました。広い県土にくまなく町が散らばることから生まれる組み合わせの妙が、信州の高校野球ならではの見所でもありましたが、それが今季は失われたことになります。
とはいえ、それらを除けば例年並みといっても過言ではありません。しいて難癖を付けるとしても、選手以外が一様にマスクをかけている光景に興醒めさせられる程度でしょうか。甲子園という目標が失われたことにより、強豪同士が潰し合う終盤こそ盛り上がりに欠けてくるとは予想されるものの、こちらの主たる関心事である無名校同士の戦いに、決定的な違いが出ているようには見受けられません。大会によっては実況中継のWeb配信もあり、画面越しに見る限りでは例年とほぼ変わらないというのが実感です。
今季ならではの楽しみもあります。例年なら七月の下旬でほぼ終戦を迎えるところ、全国大会のない今季は日程が分散し、8月まで戦われる大会も多いのです。最も遅くまで戦われる埼玉、神奈川両大会の決勝に至っては8月23日、つまり元々予定されていた全国大会のそれとほぼ同じ時期です。東北では各県の優勝校による大会もあると聞きました。主役不在の夏になるかと思いきや、細く長く楽しめるかもしれません。
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