日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

四谷赤坂麹町 - まるしげ夢葉家

2020-07-16 20:37:25 | 居酒屋
晩酌と呑み歩きの記録がしばらく途絶えました。高校野球という恰好の話題が復活したのもさることながら、天候によるところが少なからずあります。雨の中を出向いていくのは煩わしく、いつ降り出すかと気を揉むのも落ち着きません。その心配が要らない日を選ぼうとしたにもかかわらず、来る日も来る日も雨模様で、全く機会がなかったのです。数少ない例外だった一昨日も、意中の店に早仕舞いで立て続けに振られる始末。その雪辱を中一日で果たすことができます。訪ねるのは「まるしげ夢葉家」です。

焦臭くなった世相を反映し、先週から業務は再び在宅中心の対応となりました。こちらにとって願ったり叶ったりではありますが、気がかりだったこともあります。今週に入ってから飲食店の客足が目に見えて減ったことです。近所の店だけでなく、昼に訪ねた「津つ井」でも閑古鳥が鳴いていました。しかし幸い、この店に関する限りは老婆心に終わりました。
ざっと八割方の入りは、先月訪ねたときとおおむね同様です。ただし、あのときは八時前から立て続けにお客が入り、いつの間にやら七割、八割方埋まるという経過でした。実質九時で終わりという当時の条件を考えると、一回転しかできていないということです。しかし今夜は切れ目なくお客が訪れ、先客が帰った後を埋めていきます。次々入る注文を捌くため、新人らしき調理兼接客の青年も加わり、今夜は五人体制です。本来の姿には及ばないものの、あたかも通夜のようだった一時の状況から、ここまで立て直した店主の奮闘ぶりは天晴れです。

カウンターに向かうや否や目に留まったのは、球磨焼酎が一押しされた品書きです。一杯当たり百円を、先日の豪雨にやられた当地へ送るとありました。ささやかな額とはいえ、元々が一杯売っても五百円の焼酎です。割合として考えれば太っ腹と見ることもできます。闇雲な「自粛」の煽りで一時は死活問題に晒され、今もなお最小限の人手で奮闘している当店が、本来なら支援をするよりされたい側なのは明らかです。それでもなお、産地の人々の心情を慮り、売上の一部を支援に回すという気概には敬服するしかありません。自身も一杯いただいたのはもちろんです。
感染者数を日毎に数えて目くじらを立てる連中に、このような善意さえも「不要不急」と決めつける権利があるのでしょうか。病原体の出現を招いた根本的な原因は、大量の労働者が一斉に働き一斉に休むという「古い生活様式」だと自分は思います。しかるにそれは「新しい生活様式」という名の「我慢」と一時的にすり替えられ、責任は「不要不急の集まり」、さらには「不要不急の外出」に転嫁されて、多くの人々が見殺しにされかかってきました。連中の目には、人類と病原体の戦いと映っているのかもしれません。しかし自分には、「古い生活様式」を死守したい多数派と、持続可能な、本来の意味での「新しい生活様式」を模索する少数派との戦いに映ります。蟷螂の斧と笑われても、戦い抜いてやろうという心境です。

まるしげ夢葉家
東京都港区赤坂2-14-8 山口ビル2F
03-3224-1810
平日 1700PM-100AM(LO)
金曜・祝前日1700PM-300AM(LO)
土日祝日定休

ブラウマイスター
武者返し

六代目百合
お通し(しらす沖漬け)
いわしなめろう
京生麩とキャベツ煮浸し
煮穴子さっとあぶり
ズッキーニ素揚げ
祇園風明太子
ざくざくポテトサラダ
チャーシュー、やや台湾風
牛すじカレー
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