日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

この季節の楽しみ 2011(11)

2011-07-04 23:34:12 | 野球
北海道の地区大会が昨日をもって終了し、南北北海道大会に出場する地区代表が出揃いました。沖縄でも16強が出揃い、公式サイトトップの日本地図が、開催中を示す緑から16強以降を示すオレンジ色に変わっています。とはいえ今週の平日に試合があるのは鹿児島大会のみで、来週末までこの日本地図が大きく塗り替えられることはありません。北海道にどっぷり浸かった先週に対し、今週は鹿児島にどっぷり浸かる一週間となりそうです。

このように申したそばから何ですが、本日注目するのは、昨日で一区切り付いたはずの北海道です。例年の北海道では、約一ヶ月の予選を二つに分け、前半の地区大会でベスト16までを決めるという点については、以前ご説明した通りです。ところが、今年の北海道ではその原則が崩れ去り、南北海道がどういうわけか15強まで絞り込まれているのです。よくよく調べると、昨年まで4つだった室蘭地区の代表枠が1つ減らされており、これが原因であることは一目瞭然です。しかし、そもそもなぜ枠が減ったのか、どうせ減らすなら他の地区に回さないのかといった素朴な疑問が湧いてきます。そこで、南北海道の4地区について今年の出場校と代表枠を数えると、圧倒的に多いのが62校に対して7枠の札幌地区、次いで27校に対して3枠の室蘭地区、25校に対して3枠の函館地区ときて、最小が14校に対して2枠の小樽大会となります。要は、室蘭を従来通り4枠にしてしまうと、出場校数がほとんど同じ函館に対して不公平になるという配慮があったようです。しかし、枠が1つ減って15強になれば、余った1校は地区大会を突破した時点で実質8強ですから、それはそれで不公平ともいえ、他に手段があったのではないかという疑問が残ります。

この代表枠削減によって割を食った室蘭は、道内でも群を抜く激戦区となってしまいました。これを示すため、北北海道を含めた道内各地区について、出場校と代表枠の比率を求めると以下のようになります。

釧根 21:3=7.00
名寄 12:2=6.00
旭川 22:3=7.33
空知 17:2=8.50
北見 21:3=7.00
十勝 23:3=7.67
平均 116:16=7.25

室蘭 27:3=9.00
函館 25:3=8.33
小樽 14:2=7.00
札幌 62:7=8.86
平均 128:15=8.53

比較のため、仮に室蘭地区の代表枠をそのまま残した場合を考えると、南北海道の結果は以下のように変わります。

室蘭 27:4=6.75
函館 25:3=8.33
小樽 14:2=7.00
札幌 62:7=8.86
平均 128:16=8.00

このように、室蘭地区の代表枠を1つ減らしたことによって、同地区の戦いが劇的に厳しくなってしまったばかりか、北北海道と南北海道の不公平という副産物まで生じてしまいました。仮に元通りの代表枠だった場合、出場校数が2つしか違わない室蘭と函館の不公平はあるにしても、6倍の名寄や7倍の小樽に比べても、27校に対して4つの出場枠で6.75倍という扱いが特段優遇されているわけではありません。それにもかかわらず、函館とのバランスだけを考えて枠を減らすことの必然性が考えられず、何か政治的な意図でもあったのかと勘ぐりたくなります。

そもそも、室蘭地区には表面的な数字以上の厳しさがあります。というのは、過去10年間の南北海道代表がどの地区から出たかを調べると、小樽の1回と札幌の3回を除き、全て室蘭地区なのです。それもそのはず、室蘭地区は今世紀の北海道、いや我が国の高校野球界に君臨する強豪、駒大苫小牧のお膝元ですorz
7年前の北日本勢初制覇を皮切りに、選手権で3年連続決勝進出を果たした全盛期の勢いは失われたとはいえ、例年最低でも南大会進出を果たすこの強豪が一つの枠を占めれば、残りの枠は二つだけです。しかも、同地区には鵡川に北海道栄という選抜出場経験をもつ強豪が控えています。過去10年間で北海道のチームが選抜に出場した8回のうち、実に7回をこの3校で分け合っているのですから、室蘭地区のレベルの高さは札幌などの比ではありません。この状況で枠が3つに絞られるということは、いわば上記3強の一角が自滅するのを24のチームが待っているに等しい状況であり、一般のチームにとっては残酷な戦いといっても過言ではありません。わずか2校の出場校数の違いとはいえ、今世紀の道内の高校野球を牽引する室蘭地区と、函館大有斗を除けばめぼしい強豪がいない函館地区が同じ3枠というのは、大げさにいうなら「FIFAワールドカップ^TM」で欧州・南米とアジアに同じ数の代表枠を与えるようなもので、数字の上ではともかく、実質的には公平とは思えません。16強に足りない1つのシード枠を室蘭にあてがうならば、せめてもの埋め合わせになりそうなものですが、そのような措置がとられる様子もなく、室蘭地区の出場校にとっては踏んだり蹴ったりの今大会だったといえそうです。
ちなみに、以上の点に関してどのような議論がなされたかにつき、連盟からは何の公式説明もありません。公式サイトトップの地図に書かれた「15強」なる半端な数字とともに、最後の最後で不可解さを残した北海道の地区大会でした。

数字遊びを続けているうちに、またしても鹿児島大会について語る時間がなくなってしまいました。どのみち今週は鹿児島以外の試合はありません。鹿児島については明日まとめることにして、今日はこれで切り上げます。おやすみなさい…

★北北海道大会(7/3)
・釧根地区代表決定戦
 釧路北陽3-4釧路江南
 釧路工10-3釧路明輝
 武修館4-2釧路商
・空知地区代表決定戦
 深川西0-6駒大岩見沢
 岩見沢東7-4滝川西
・旭川地区代表決定戦
 旭川西6-4旭川東栄
 旭川大2-9x旭川南
 富良野緑峰0-5旭川工

★南北海道大会(7/3)
・札幌地区代表決定戦
 札幌山の手1-3札幌南
 尚志学園 7-4札幌大谷
 北広島0-1x恵庭北
 北海9-0札幌琴似工
 札幌光星4-2国際情報
・小樽地区代表決定戦
 北照12-0小樽水産
 小樽潮陵5-2小樽工

★鹿児島大会1回戦(7/3)
 尚志館2-0鹿児島東
 徳之島2-0有明
 鹿児島3-0頴娃
 大島0-7伊集院
 志學館0-10x武岡台
 串良商0-2薩摩中央

★沖縄大会2回戦(7/3)
 首里2-7浦添商
 豊見城10-8那覇国際
 八重山農1-2x南部工
 中部商7-5石川
 小禄3-5与勝
 美里1-2普天間
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