変則的な開催といえども、七月の中旬から本格化する流れは例年と同様でした。試合のある日で数えると開幕から10日目にあたる先週末、試合数は今季初めて三桁に乗り、北海道から沖縄までの17大会で142試合が戦われました。試合が増えればそれに応じて話題の数も増えてきます。しかし今年に関する限り、それ以上に興味深いのが県により微妙に異なる戦い方です。全国大会が「中止」に追い込まれた結果、各大会の独自性が強まったという経緯を考えると、手放しで歓迎できない結果ではありますが、趣味的見地からすると話題の宝庫ではあります。それらを主体に振り返ります。
山形では、県内四地区で開催される予選と、16強以上により戦われる本選を分ける岩手に近い仕組みが採られました。同じく四地区に分ける一方、初戦から1回戦と数えるのが茨城です。その点だけを捉えれば秋田に近いともいえるものの、32強が出揃う2回戦までに限って地区別に戦い、その後は再度抽選するところが違います。つまり、どちらかといえば例年の大阪に近い形ということです。ただし、常総学院、霞ヶ浦を始めとして、上位を窺うチームの多くは2回戦からの登場となっており、何らかの配慮はなされていることが窺われます。シード制のない大阪とも微妙に違う独特の仕組みです。
それら以上に独特なのが石川です。県内を三地区に分けるところまでは月並みでも、予選免除のシード枠が設けられ、勝ち上がったチームとともに本選を戦うところが異なります。しかも、シード枠が9で予選からの進出枠が17という、トーナメントにはいかにも半端な数字なのが傍目には不可解です。
これらの大会に比べると、静岡と京都の組み合わせにはてらいがありません。ただし、両大会は7回制を採る点で他の多くの大会と異なります。その結果、「延長8回」などという珍現象が起こりうることになり、静岡ではその第一号が出現しました。それに加えて、京都では8強までで打ち切られるのが特徴です。
9回制を採りつつも、時間制を併用するのが広島です。2時間を超えたときは新しい回に入らない決まりになっているらしく、それにより途中で打ち切られる試合が15試合中6試合にも上りました。しかもそのうち一試合は6回を終えた時点での打ち切りで、7回終了をもって試合を成立させる高校野球の原則からは、本来あり得ない結果です。コールド試合と区別して、「大会規定により終了」と表記するのもそのためでしょう。6試合のいずれもが、そのまま続行していればどちらに転んでもおかしくはなさそうな展開でした。それだけに、杓子定規に時間で切る必要があったのかという疑問は残ります。結果論に過ぎないとはいえ、混乱がもたらした不幸な出来事といわざるを得ません。降って湧いたような騒動で甲子園への道を断たれ、あまつさえ時間との闘いにも追われた挙げ句、あえなく散った球児らの無念さが、注釈付きの試合結果から伝わってくるようでした。
とはいえ、世知辛い話ばかりではありません。静岡の中継を見ていて気付いたのは、プロ並みの25人がベンチ入りしているということです。全国的にそうなのかは未確認ながら、ベンチ入りする選手を試合毎に入れ替えられる大会もあると知りました。第一義的には、不測の事態に備えるための措置ではあるのでしょう。しかしその結果として、例年ならば背番号をもらい損なう選手でも、ベンチに入れる可能性が高まります。志半ばで引退していく上級生に花道を用意するのが、独自大会の趣旨の一つだったことを考えると、その目的にも適っているということです。例年ならばあり得ない理不尽な試合結果が散見される中にあって、せめてもの配慮が窺われたのは救いでした。
★山形大会
・置賜地区1回戦(7/11)
置賜農0-22米沢東
長井工・荒砥0-15米沢興譲館
★宮城大会2回戦(7/11)
仙台一2-1小牛田農林(延長10回)
★茨城大会1回戦(7/11)
勝田工5-1磯原郷英
大子清流1-7勝田
取手二5-2取手松陽
筑波・明野・石下紫峰0-10x古河三
★静岡大会1回戦(7/11)
湖西1-3天竜
袋井5-4島田樟誠(延長8回)
★愛知大会2回戦(7/11)
刈谷北2-6豊田大谷
★三重大会1回戦(7/11)
高田13-3津東
桑名西2-0三重
★石川大会
・金沢地区1回戦(7/11)
北陸学院6-0石川高専
★京都大会1回戦(7/11)
加悦谷・宮津天橋加悦谷0-3京都府工
★広島大会1回戦(7/11)
尾道東0-6千代田(8回終了)
油木8-4福山(6回終了)
福山葦陽7-5廿日市(7回終了)
大竹5-3尾道(8回終了)
広島商4-0英数学館(8回終了)
三次青陵9-6誠之館(8回終了)
★鳥取大会1回戦(7/11)
鳥取湖陵3-13鳥取西
★山口大会1回戦(7/11)
下関商6-3下関工科
宇部高専0-10山口鴻城
徳山2-4防府商工
★長崎大会1回戦(7/11)
上対馬0-10x長崎南山
対馬0-12瓊浦
★宮崎大会1回戦(7/11)
都城農0-6都城
★鹿児島大会(7/11)
・熊毛地区1回戦
種子島中央6-10種子島
・鹿児島地区1回戦
鹿児島南2-5鹿児島商
武岡台29-0開陽・特別支援・山川・加世田常潤・串良商・垂水
鹿児島中央1-3甲南
★沖縄大会1回戦(7/11)
西原1-4沖縄水産
南風原3-7豊見城
山形では、県内四地区で開催される予選と、16強以上により戦われる本選を分ける岩手に近い仕組みが採られました。同じく四地区に分ける一方、初戦から1回戦と数えるのが茨城です。その点だけを捉えれば秋田に近いともいえるものの、32強が出揃う2回戦までに限って地区別に戦い、その後は再度抽選するところが違います。つまり、どちらかといえば例年の大阪に近い形ということです。ただし、常総学院、霞ヶ浦を始めとして、上位を窺うチームの多くは2回戦からの登場となっており、何らかの配慮はなされていることが窺われます。シード制のない大阪とも微妙に違う独特の仕組みです。
それら以上に独特なのが石川です。県内を三地区に分けるところまでは月並みでも、予選免除のシード枠が設けられ、勝ち上がったチームとともに本選を戦うところが異なります。しかも、シード枠が9で予選からの進出枠が17という、トーナメントにはいかにも半端な数字なのが傍目には不可解です。
これらの大会に比べると、静岡と京都の組み合わせにはてらいがありません。ただし、両大会は7回制を採る点で他の多くの大会と異なります。その結果、「延長8回」などという珍現象が起こりうることになり、静岡ではその第一号が出現しました。それに加えて、京都では8強までで打ち切られるのが特徴です。
9回制を採りつつも、時間制を併用するのが広島です。2時間を超えたときは新しい回に入らない決まりになっているらしく、それにより途中で打ち切られる試合が15試合中6試合にも上りました。しかもそのうち一試合は6回を終えた時点での打ち切りで、7回終了をもって試合を成立させる高校野球の原則からは、本来あり得ない結果です。コールド試合と区別して、「大会規定により終了」と表記するのもそのためでしょう。6試合のいずれもが、そのまま続行していればどちらに転んでもおかしくはなさそうな展開でした。それだけに、杓子定規に時間で切る必要があったのかという疑問は残ります。結果論に過ぎないとはいえ、混乱がもたらした不幸な出来事といわざるを得ません。降って湧いたような騒動で甲子園への道を断たれ、あまつさえ時間との闘いにも追われた挙げ句、あえなく散った球児らの無念さが、注釈付きの試合結果から伝わってくるようでした。
とはいえ、世知辛い話ばかりではありません。静岡の中継を見ていて気付いたのは、プロ並みの25人がベンチ入りしているということです。全国的にそうなのかは未確認ながら、ベンチ入りする選手を試合毎に入れ替えられる大会もあると知りました。第一義的には、不測の事態に備えるための措置ではあるのでしょう。しかしその結果として、例年ならば背番号をもらい損なう選手でも、ベンチに入れる可能性が高まります。志半ばで引退していく上級生に花道を用意するのが、独自大会の趣旨の一つだったことを考えると、その目的にも適っているということです。例年ならばあり得ない理不尽な試合結果が散見される中にあって、せめてもの配慮が窺われたのは救いでした。
★山形大会
・置賜地区1回戦(7/11)
置賜農0-22米沢東
長井工・荒砥0-15米沢興譲館
★宮城大会2回戦(7/11)
仙台一2-1小牛田農林(延長10回)
★茨城大会1回戦(7/11)
勝田工5-1磯原郷英
大子清流1-7勝田
取手二5-2取手松陽
筑波・明野・石下紫峰0-10x古河三
★静岡大会1回戦(7/11)
湖西1-3天竜
袋井5-4島田樟誠(延長8回)
★愛知大会2回戦(7/11)
刈谷北2-6豊田大谷
★三重大会1回戦(7/11)
高田13-3津東
桑名西2-0三重
★石川大会
・金沢地区1回戦(7/11)
北陸学院6-0石川高専
★京都大会1回戦(7/11)
加悦谷・宮津天橋加悦谷0-3京都府工
★広島大会1回戦(7/11)
尾道東0-6千代田(8回終了)
油木8-4福山(6回終了)
福山葦陽7-5廿日市(7回終了)
大竹5-3尾道(8回終了)
広島商4-0英数学館(8回終了)
三次青陵9-6誠之館(8回終了)
★鳥取大会1回戦(7/11)
鳥取湖陵3-13鳥取西
★山口大会1回戦(7/11)
下関商6-3下関工科
宇部高専0-10山口鴻城
徳山2-4防府商工
★長崎大会1回戦(7/11)
上対馬0-10x長崎南山
対馬0-12瓊浦
★宮崎大会1回戦(7/11)
都城農0-6都城
★鹿児島大会(7/11)
・熊毛地区1回戦
種子島中央6-10種子島
・鹿児島地区1回戦
鹿児島南2-5鹿児島商
武岡台29-0開陽・特別支援・山川・加世田常潤・串良商・垂水
鹿児島中央1-3甲南
★沖縄大会1回戦(7/11)
西原1-4沖縄水産
南風原3-7豊見城