日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

早春の出雲を行く - 橘屋

2017-03-18 22:40:31 | B級グルメ
「庄助」で腹も心も満たされ、さらには疲れも吹き出して、少なくとも酒についてはもういいという気分になりました。その結果、はるばる松江に来た以上、早々と切り上げるのはもったいないという心情だけが残りました。そのような状況下で渡りに船の一軒が。呑み屋街の一角にある深夜営業のそば屋に飛び込みます。
角地に立つ古びた木造二階建ての角が斜めに切り取られていて、その部分に「橘屋」の扁額を掲げた店構えは老舗の趣ですが、敷居の高さは感じられず、酔客御用達とでもいうべき佇まいは好ましいものがあります。通りに面した製麺室の向こうに見える店内の雰囲気も上々です。これは間違いなかろうと見て暖簾をくぐると、果たして店内は地元客で賑わっていました。
製麺室から続く形で清潔かつ機能的な厨房があり、壁際の棚には丼、割子、桶などが整然と積み上がっていて、その厨房を店主と跡取りらしき二人組が仕切ります。経木の品書きはそばだけでなくうどんと丼にも及んでおり、漂うカレーの香りからして、カレーそばにも期待してよさそうです。しかし、山陰も一年ぶりということになると、てらいのないものを選びたいという心理が勝ります。月並みながら割子そばをいただいて締めくくりました。

橘屋
松江市東本町2-64
0852-25-0496
1100AM-1400PM/1800PM-100AM
日祝日定休
割子そば780円
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早春の出雲を行く - 庄助

2017-03-18 20:17:10 | 居酒屋
街の規模に比して教祖の推奨店が多いのが松江の特徴だと以前申しました。その中でも教祖が最も激賞してきたのが「やまいち」ですが、それを差し置いてでも再訪したかったのが「庄助」です。
松江大橋の袂に一軒家の店を構え、大きな窓の外には街灯の灯りが揺れる大橋川を一望でき、地元客で賑わうコの字カウンターの雰囲気と、女将による老練な客あしらいも絶妙。大ぶりなおでんもしみじみ味わいたくなる逸品で、去年初めて訪ねたときは、それまで素通りしてきたのがもったいなく思われたものです。松江で呑むなら毎回ここでいいとさえ思いました。今回松江で呑むにあたっても、この店以外の選択肢は考えられなかった次第です。

この店の特等席といえば、店内の幅一杯に広がる窓から、川の流れを見渡せるコの字型のカウンターです。ただし窓と並行に長い辺が延びているため、眺望があるのは玄関側の半分に限られ、そこが埋まってしまえば楽しみも半減しかねないと予想しました。連休初日だけに混み合っている可能性も覚悟して乗り込むと、幸い玄関をくぐってすぐのところに空席が。手前か奥かとの第一声に、迷うことなく手前がいいと答え、首尾よく着席という結果です。
眺望がよい上におでん舟の正面だった前回に対して、おでん舟から最も遠い位置なのがやや惜しまれるところではありますが、視界の幅一杯に広がった窓のおかげで、こちら側に座れればどの位置でも眺めはよいということにも気付きました。入ってから10分少々でお客が次々に引けていき、八時間を回った頃にはかなり落ち着いてきたため、あえて遅めに入って好みの席を選ぶのもよさそうです。

松江の呑み屋の早仕舞いを考えると、八時を回れば終盤といってもよい時間帯です。しかし、終盤だからといってあれもこれも品切れということはなく、おでん舟には潤沢な品があります。おでんはどれも食べ応えがあり、なおかつそれ自体一品料理として成り立つほど完成されていて、三つか四ついただけばそれだけで腹が満ちてきます。あとは日替わりの品書きから地の物を一つだけいただければもう十分という見当です。一品一品量が多く、少しの品数で満足できてしまうという点では、「魚仙」のようなものとでも申しましょうか。
これは、はしご酒をする意欲が起こりにくいということでもあります。前夜に十分な休養がとれなかったこともあり、腹が満ちた途端に疲れが一気に吹き出してきました。今夜は無理して呑むより早く休んだ方がよいかもしれません。

庄助
松江市八軒屋町16
0852-21-4238
1700PM-2230PM
日曜及び祝日の月曜定休

隠岐誉二合
とり団子
野菜巾着
豆腐
里芋
ロールキャベツ
白魚天ぷら
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早春の出雲を行く - 松江の夜

2017-03-18 20:01:54 | 中国
松江で列車を降り、当地の定宿となりつつある「ヤングイン松江」に入りました。呑み屋が開くのと同時に着くはずが、鳥取に長居したことにより八時となってしまいました。看板が総じて早い松江の呑み屋事情を考えると、はしご酒できるかどうかが早くも微妙になってきます。とはいえ、最も混み合う七時台を避けられて結果的にはよかったのでしょう。
気温は9度で無風、海が近いこともあるのか、日が落ちても体感温度は全く変わりません。雨合羽を羽織っても持て余すことはないものの、短時間ならシャツ一枚で十分しのげる気候です。山陰は名実ともに春らしくなってきました。
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早春の出雲を行く - スーパーまつかぜ9号

2017-03-18 17:59:28 | 中国
五時間を超す異例の長時間滞在を終え、「スーパーまつかぜ」で山陰本線を下ります。
前回は野暮用で時間が押し、発車間際に駆け込んだところ、席にあぶれて米子まで立つ羽目になりました。今回も悠長に風呂など浴びるうちに時間を消費し、ホームに上がったのが発車の10分前です。しかし間一髪のところで狙い通りの海側を確保。今更ながら西日が射してきたため、日本海に沈む夕日を眺められるかもしれません。
それにしても相変わらずひどい乗り心地です。元々安普請の車両が全速力で飛ばすため、兎にも角にも揺れがひどく、ジェットコースターに乗っているかのごとく無意識に踏ん張ってしまい、乗っているうちに疲れてきます。停車駅を絞って疾走するところは申し分ないのですが。

★鳥取1742/スーパーまつかぜ9(2009D)/1913松江
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早春の出雲を行く - 谷本酒店

2017-03-18 17:22:40 | 酒屋
こちらも毎度おなじみ「谷本酒店」に立ち寄ります。辯天娘に日置桜と、鳥取が天下に誇る燗酒を主力に据えたのがこの店の特徴です。その中から本日目に留まったのは、「強力」と力強い文字で書かれた日置桜の限定品と、玉栄で造った同じく日置桜の限定品でした。桜の花をあしらったこの時期らしいラベルにつられ後者を選択。開花の頃に封切るのもよさそうです。

谷本酒店
鳥取市末広温泉町274
0857-24-6781
900AM-2100PM
日曜定休
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早春の出雲を行く - 日乃丸温泉

2017-03-18 17:15:25 | 温泉
到着以来終始日差しは陰りがちで、思ったほどには暖かくなりませんでした。シャツ一枚でも寒いとまではいわないものの、雨合羽を羽織ってくればよかったかと時折思う程度の気温です。そのようなとき、渡りに船の温泉銭湯が鳥取にはあります。立ち寄るのは毎度おなじみ「日乃丸温泉」です。

★日乃丸温泉
鳥取市末広温泉町401
0857-22-2648
平日 600AM-1000AM/1400PM-2400PM
土日祝日 600AM-2400PM
第二月曜及び元日休業(祝日の場合翌日休業)

入浴料400円
泉質 ナトリウム-硫酸塩塩化物泉
泉温 46.6度
pH 6.6
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早春の出雲を行く - 鳥取の町並み

2017-03-18 15:41:33 | 中国
若桜街道を走りきり、山に突き当たったところが鳥取城址です。駅からの距離はざっと1km少々といったところでしょうか。松江と違って天守こそないものの、静かな雰囲気にはどことなく相通ずるものが感じられます。建物が総じて低いこともあり、石垣の上からの眺めも上々です。
目抜き通りを一通り走ってみて、鳥取の町並みにもう一つの特徴があることに気付きました。ほとんどの建物が箱型で、日本家屋につきものの瓦屋根がほとんどないのです。ただし箱型とはいっても角の一つが丸められていたり、壁面に意匠が施されていたり、窓周りの造りが凝っていたりして、それぞれの建物が個性を持っています。特徴ある字体の切り抜き文字で屋号を掲げるところなども秀逸です。
少し考えてみて、こうなった理由が何となく分かりました。戦後の大火で市街が灰燼に帰した後、かつての街道沿いが整備され、これらの建物ができていったのでしょう。鳥取という土地柄、中央から開発の波が押し寄せることもなく、当時の町並みが奇跡的に残ったのかもしれません。戦災を免れた松江の古い町並みとは全く違う、ありそうでなかなかない景観です。
当てもなく適当に走ったつもりが思いの外楽しく、三時の列車は見送りました。次に出るのは四時過ぎの快速ですが、今すぐ切り上げて駅に戻るのも惜しく、同じく見送ることになるかと思います。そうなると六時前の特急で出て、七時過ぎに松江着というのが現実的な落としどころになります。ほぼ全区間暗い中での乗車になるのが難点ではありますが、普段は素通りばかりの鳥取に、今日一日だけ注力するのも悪くはないでしょう。
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早春の出雲を行く - ベニ屋

2017-03-18 14:18:22 | B級グルメ
本日のお昼は自身初体験となる鳥取カレーをいただきます。訪ねるのは「ベニ屋」です。
鳥取カレーなる名前を耳にするようになったのは数年前からでしょうか。そのことからしても、近年の流行に乗って作られたものなのは察しがつきました。小耳に挟んだところによると、たしかにカレーの消費量は全国的に見ても多いものの、そのほとんどは家庭で消費されるということのようです。つまり浜松の餃子と同様、家庭でいただくのが本来の姿であり、よそ者が飲食店でいただくのはそもそも筋違いということになります。
そのような背景を知っていただけに、もともとカレーをいただくつもりはありませんでした。しかし鳥取の飲食店事情はきわめてお寒く、市街を少し走った段階で、めぼしい店がそう簡単には現れそうにないと悟りました。出がけの軽食から飲まず食わずで限界に近かったこともあり、手近なカレーの店に飛び込んだというのが真相です。
このような事情もあり、鳥取カレーに過大な期待をしていたわけではありません。そしてその実態はよくも悪くも想定通りでした。楕円の皿にご飯を盛って黒っぽいカレーを全面にかけ、皿に近い大きさのカツを乗せた出で立ちは、キャベツの有無、アルマイトと陶器の違いを除けば金沢カレーによく似ており、味わいも少なからず似通っています。要は話の種に一度試せば十分といえるもので、次からは駅そばでいいというのが率直な印象です。ただし、古いアーケードの一角にある年季の入った店構えと、観光客が一切来ない地元客御用達の雰囲気だけは秀逸でした。

ベニ屋
鳥取市末広温泉町151
0857-22-2874
800AM-1845PM(LO)
水曜定休
カツカレー800円
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早春の出雲を行く - 若桜街道

2017-03-18 13:57:58 | 中国
月並みながら、まずは駅を背に城へ向かって走ります。若桜街道大通りというらしく、少し走ったところにとぐろを巻いたような変わった欄干の橋があり、その袂には「道100選」の碑が建っていました。しかし、「道100選」の触れ込み通りの美しい町並みかといえば、全くそうは思われず、あえてはっきり言えばうらぶれています。
一目見て気付くのは、高い建物がほとんどないことです。アーケードに沿って建つのはモルタル二階か三階建てがほとんどで、昭和の頃から景観がほとんど変わっていないようにも見えます。高い建物が少ないといえば福井もそうですが、あちらに比べても一軒一軒の低さと小ささは歴然としています。およそ県庁所在地とは思えないささやかな町並みです。
しかし、「道100選」に値する点もないわけではありません。一見する限りうらぶれたアーケードとはいえ、空き家になったり更地になったりしている箇所がほとんどなく、俗にシャッター街と形容される廃れた雰囲気は感じられません。むしろ高山の商店街のような、古びてはいながらも小ぎれいに保たれ整然とした雰囲気は好ましいものがあります。

ちなみに川沿いには立派な桜並木が続いており、花が咲けばさぞやと想像させられます。蕾は緑に色づいていて、昨日眺めた近所の桜と比べても大差はありません。開花までは一週間前後といったところでしょうか。夜桜に備えたらしきぼんぼりも建ち、山陰の春は間近に迫っているようです。
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早春の出雲を行く - 罪滅ぼし

2017-03-18 12:29:44 | 中国
山陽本線内で四分ほど遅れが出て、それをほぼ保ったまま鳥取に着きました。これが一年ぶりの再訪です。
鳥取はいくつかの点で佐賀に共通しています。国鉄末期に改築された高架駅であること、駅前に酒屋があること、それ以外には何もないこと、ついでにいえば県の存在感自体が薄いことなどです。そのような場所だけに、今まで泊まったこともなければ呑み屋に入ったこともなく、毎回記念撮影して酒を買い、時間があれば駅前の温泉で一風呂浴びるのがせいぜいでした。要は、県庁所在地であるが故に無理矢理立ち寄っているに等しかったわけです。それではあまりにお粗末という考えがかねてからありました。そして今回せめてもの罪滅ぼしができそうです。自転車を借りて市街を走ります。
まとまった時間にわたって滞在したことがないだけに、走るといっても心当たりは何もありません。とはいえ、何もないと思っていた岐阜でさえ、走ってみればうらぶれた問屋街に商店街、古い城下町に宿場町があり、先月訪ねたときには梅林まであることを知りました。適当に走っていれば、鳥取ならではの何かを発見できるのではないかと期待しています。
三時過ぎの特急に乗ると、五時前という頃合いの時刻に松江へ着くため、それまで滞在しようかと考えています。ただ、連休初日という条件もあり、「のぞみ」と「スーパーはくと」は通路まで立ち客が出る混みようでした。ぎりぎりまで粘るより、早めに戻って並んだ方がよさそうです。
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早春の出雲を行く - スーパーはくと3号

2017-03-18 09:29:22 | 近畿
予想を超える混雑により、予定よりも二本後の列車に回るという誤算はあったものの、結果としては程よい間合いで「スーパーはくと」に乗り継ぐことができました。鳥取まで三時間の乗車です。
発車の30分前に並ぶつもりが10分前となったことにより、最前部の特等席は先客に譲る結果となりました。とはいえ京都から乗る物好きの数はたかが知れており、展望席を除けばどこでも選び放題です。一本見送り「第一旭」か「新福菜館」に寄るのも捨て難く、そうすれば改めて展望席を狙うこともできます。しかし、晴は晴でも快晴というまでには及ばず、京都にしばらく滞在したいと思うほどでもありません。ラーメンをいただくのはよいとしても、その後は中途半端に時間が余ってしまいます。加えて展望席には既に何度も乗っており、今回それほどのこだわりはありませんでした。むしろ今日は粛々と移動し、その分山陰での滞在時間を延ばしたいという考えが勝った次第です。

★京都850/スーパーはくと3(53D)/1157鳥取
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早春の出雲を行く - のぞみ153号

2017-03-18 07:27:28 | 関東
山陰へ行く場合、京都から「スーパーはくと」に乗り継ぐという行程が定着して久しくなりました。京都へ行く場合、始発列車の6分後を雁行する新大阪行の臨時列車を利用することについても。ところがそのつもりで東京駅に乗り込むと、始発列車の次が博多行になっていました。今度の改正で変わったのかと得心しつつ、ホームへ上がるところまでは一応想定の範囲内です。しかし、自由席が発車の10分以上も前から早々と埋まっていたのには面食らいました。続行する16分発の博多行も、既に埋まっているのが遠巻きに見えました。30分に出る博多行の乗車口にまで列ができている中、幸い20分発の広島行ならまだ余裕で座れる状況だったため、こちらに落ち着くという結果です。
そもそも東京駅に着いた時点で、人出が全く違いました。一月の三連休と比べてもです。もともと人出の多い彼岸が三連休になったことで、こちらの想定をも超える乗客が殺到したということでしょう。帰りを一日延ばしたのは正解だったようです。

★東京620/のぞみ153(6153A)/838京都
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